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SKY-JOE story   作者: hms
Chapter 1未来錯誤
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Chapter 1未来錯誤 07ドッグファイト

07 ドッグファイト


マッドサンダーは全速力で第一警戒ラインに接近していた。

第一警戒ライン内側では、タピオンベースのVTOLマーカス13機と傭兵達の戦闘ヘリが

ホバーリングして待ち構えていた。

ジェット戦闘機隊は高度をとりはるか上空を旋回していた。


ジョーはスロット脇のキーボードに、何かを入力すると

左翼のサイドワインダーを、前方に向けて一発、発射した。

サイドワインダーは真っすぐ飛んで行き、

第一警戒ラインのセンサービームに接触しライン内に進入したかと思うと

サイドワインダーのジェットエンジンが突然停止し失速しだした。

と同時に地表から迎撃ミサイルが飛来しマッドサンダーの放ったサイドワインダーを撃墜した。


「何を無駄な、あんな間抜けなことを・・ふっ」

マグワが、その行動を見て鼻で笑った。


ジョーがサイドワインダーの状況をトレースしていたモニターから目を離すと、

第一警戒ラインをまっすぐ見据えた。

「さすがに敵機数が多いな、少し数を減らすとするか」

速度はそのままで、マッドサンダーが風を切った。

第一警戒ラインにまっすぐ接近している。


「マッドサンダー、第一警戒ラインに侵入します。」

タピオン、ヘリオス各々の基地、待ち構えていたVTOL,傭兵達に緊張が走った。


何事もなく第一警戒ラインを通過しそうな勢いで接近するマッドサンダー


ゴーっとジェットエンジンの轟音をとどろかせながら

勢いがとどまらないマッドサンダー!


「ライン接近、接近!」


「接近!」


「なに~、ラインに突入??」

誰もがそう叫んだ。


突然、ライン寸前でマッドサンダーが機首を左に向けた。


第一警戒ライン内のVTOL部隊にその機腹部を向け、体勢を立て直すと速度はほとんど変えず、北に向かいラインに沿って並走飛行しだした。


「ふ~、驚かせやがって、越えてくるかと思ったぜ,」

マグワがそう言って、肩をなでおろした。


「越えれるわけがない、コントロール不能になるのは明白だ。」

VTOLマーカスの隊長らしき男がそう告げたが、一瞬の焦りは隠せていなかった。

「我々VTOL隊を先頭に追撃を始める。傭兵ヘリ部隊つづけ」

「戦闘機部隊は、高度を取って並走するよう」


VTOL、傭兵達の戦闘ヘリがライン内側からゆっくりと距離を置きつつ追撃を始めた。

VTOLの先頭三機が逆V字型を作り速度を上げた。

第一警戒ラインをはさんでマッドサンダー追撃戦が始まった。


「マッドサンダーのけつが丸見えだぜ」

先頭のマーカスのパイロットがテンションをあげた。


「先頭隊、ミサイルのロックオン圏内にまで接近しろ、!」

最後尾を行くVTOLマーカス隊の隊長が命令を発した。


「ラジャー、5番、6番、7番機、補足距離まで接近する。」

逆V字の先頭三機が速度を上げた。


マッドサンダーのシグナルを左前方少し上部に見据えた5番機

「ロックした。ミサイル発射する。」

マーカス5番機の両翼下部に備え付けられた対空ミサイルが発射された。

ミサイルは速度を上げラインを越えマッドサンダーに接近していった 。

友軍の識別信号が発せられているミサイルはパルスレーザーの影響を受けることなく

第一警戒ラインを通過した。


マッドサンダーの後部から撹乱誘導ブイが射出され、

ミサイルを引きよせ、それに命中し爆発した。

6番機、7番機もミサイルを発射した。

また、撹乱誘導ブイが射出された。

と同時に、マッドサンダーの機首が少し下がりジェットエンジンが逆噴射を始めた。

ミサイルはブイにつられ爆発した。

マッドサンダーはみるみる平行飛行していた。VTOLと距離が近づき

真左下方にVTOLが来ると

バルカン砲を右旋回させ掃射しだした。


鉄の塊である弾丸はパルスレーザーの影響を受けず

ラインを素通りし、5番機に命中

砲芯を右に回転しながらさらに掃射を続け6番機、7番機に命中

三機は一揆にマッドーサンダーのバルカン砲の餌食となり

爆発!空中分解した。


「VTOLマーカス3機撃墜されました。」

タピオンベース内で、オペレーターが叫んだ。


「何、ラインを超えずにやり合って3機を一瞬に、・・・・・・」

司令官が考えの甘さを実感したように絶句した。


マッドサンダーはそのままくるりと、180度転回し、今まで飛んできた方向に進みだした。

さらに距離を置いていた飛行していた後続VTOLの先頭機に、バルカン砲の弾丸を浴びせ

撃墜した。

すぐ後ろを飛んでいたVTOLが回避するため急上昇を始めたが

無防備な,機複部をマッドサンダーにさらけ出し、またもやバルカン砲によって撃墜されてしまった。

さらに後方の三機が牽制のためミサイルを発射し機種を下げ

高度を森林の木々すれすれにまで落す回避運動を決行した。

マッドサンダーはバルカン砲でミサイルを撃墜しつつ

ナパーム爆雷を投下した。

ナパーム爆雷が地上に着弾すると、すさまじい火炎が第一警戒ラインの内外に広がっていき

機体を下げたVTOL三機を包み込んだ。

ジェットエンジンの吸気口から火炎を吸気してしまったVTOL三機は

次々と、エンジンがら火を噴き、爆発していった。


後続の5機は、右旋回して追尾体制をときつつ、マッドサンダーから距離を置く位置まで回避した。

さらに後方に十分に距離を置いていた傭兵のヘリ部隊もマッドサンダーとの距離をおいた。


「なんてやつだ、VTOL八機を、一瞬で撃墜しやがった。」

マグワが感嘆の声を上げた。


「やつには、第一警戒ラインなんて、全然ハンデになってないじゃないか、

というより、俺たちのハンデにしてしまった。」

ガイルがそういうと


「接近したら、おまえのトンベリ号なんて、真っ先に餌食になってしまうぞ、」

マグワがガイルにくぎを刺した。


「そう思う、俺は一足先に離脱するよ!」


「そうしな、俺はもうちょっと、見学としゃれこむ」


「気を、付けなよ」

ガイルはそう告げるとミサイルをマッドサンダー目掛け数段発射して、大きな機体を右旋回し始め帰還体制に入った。


「何しやがる。あおってどうする。」

マグワが焦った表情で、マグワに叫んだ。


「置き土産だ。ははは~」


「アホか」

呆れ、顔でマグワがつぶやいた。



マッドサンダーは、ライン外側に沿って南へ向かっていた

VTOL5機は追尾する形をやめ、バルカン砲の届かない距離に遠ざかり

監視体制に移っていた。

傭兵の先頭ヘリ部隊もそれに続いた。


上空で待機中だったジェット戦闘機隊が痺れをきらし降下を始めた。

「イライラするぜ、マッドサンダー攻撃に移る。」


「待て、もう少し様子を、あちらが動くのを待つんだ」

VTOLマーカスの隊長が制止したが、聞かずにみるみる高度を下げていった。


「あちらが動いたからやられたんだろあんたたちは、」

「動く前に、スピードの違いを見せつけてやる。」

先頭の機体が両翼のサイドワインダーを、発射した。

マッドサンダーはぎりぎりのところでそれをかわした。


続いて機首に内蔵されているバルカン砲を掃射

これも、マッドサンダーは難なくかわし

すぐに右旋回し第一警戒ラインから離れ距離をとる。


ジェット戦闘機のパイロット舌をうった。

「くそ、小回りが利きすぎる。」


「当たり前だ、馬鹿!」

マグワが、ジェット戦闘機のパイロットに言った。


後続機も同じ動作で攻撃をするが、まったく同じようにかわされてしまった。

最後の戦闘機が攻撃を終えると右旋回で回避し上昇していった。

マッドサンダーは高度をVTOL隊と合わせ第一警戒ラインから距離をおいたところでまた進路を南に向けた。


「どうする気だ?ラインに侵入してくるでもなく」

VTOLマーカスの隊長がそういいながらマッドサンダーの様子をうかがっていた。










「動いた!」

マグワが叫んだ。

マッドサンダーが右旋回し更に第一警戒ラインから離れていった。



「退却する気か?」

戦闘機のパイロットが上空に戻った位置からそう告げ

「ラインを越え追尾する。」

と、行動に移った。


VTOLも並走をやめ少しライン内に近付きホバーリング状態で待機態勢に入った。

「何しでかすんだ?」


マグワの機がVTOLに接近し、待機態勢に移った。


突然、マッドサンダーが180度向きをかえ

4基のジェットエンジン全開でVTOLの方向へ第一警戒ラインに直角に直進してきた。

「ラインを超える気か?」

さまざまな憶測を飛び交わせたが、何が起こるかは誰にも分らなかった。


マッドサンダーはみるみる第一警戒ラインに接近してくる。


「さっき、みたいに猫だましくらわす気じゃねえか?」

マグワが叫んだ。


「マッドサンダー第一警戒ライン再接近!」

タピオンベースの管制塔より迎撃部隊各機に連絡が入る!


マッドサンダーはスピードを落とさず第一警戒ラインに接近してきた。


「突入してくる!!」

マグワが叫んだ。


「何、突入するだと、ありえん!」

司令官がこぶしを握り締めた。


マッドサンダーは今に第一警戒ラインに突入しようとしていた。

ライン突入寸前、マッドサンダーのジェットエンジン、識別灯ヘッドライトなどが突然消え

コンソロールモニターの明かりだけが

マッドサンダーのコクピットに座るジョーの姿を浮き立たせた。

すぐにその光も消えると、

あたりに、警戒音が鳴り響き、地上の自動砲台からミサイルが数段発射された。


「マッドサンダー、第一警戒ライン通過!!」

無線が、迎撃部隊に入ってきた。


マッドサンダーはコクピットのコンソロールモニターが立ち上がり光で浮きあがると同時に

4基のジェットエンジンを全開にして急速上昇を始めた。


「ラインを越えやがった。しかもまともに動いてやがる。」

マグワ達傭兵やVTOLマーカスは、ありとあらゆる武器で攻撃を始めた。

それは地上から放たれた迎撃ミサイルと混ざり合いいくつかは接触して爆発し

いくつかは、切り抜け、マッドサンダーを追尾した。


「越えてきたのか?」

司令官がオペレーターに訪ねた。


「はい、しかも、パルスレーザーの影響をなにも受けていません!」


「突入の瞬間だけ全ての機能を手動停止させたようです。」


「手動で全てをオフにしてライン通過後手動でオンにしたというのか、

全ての機能を呈した割には、起動が早すぎやしないか、」

司令官が疑問をぶつけた。

「マッドサンダーのPCは“コ・モンランム”の特殊な“レジアスCPU”を使っているようです。その処理スピードの所為でしょう!」

参謀長が答えた。


上昇しながらマッドサンダーは後部撹乱ブイ発射口に併設されている。

ミサイル口から、爆裂ミサイルを発射

マッドサンダーから一定距離を置いてそれは爆裂散開し

追尾してきたミサイルを巻き込んだ。

地上からは、初弾で撃墜できなかった自動砲塔やミサイル台が、攻撃を繰り返した。

上空待機中の戦闘機部隊がマッドサンダーめがけて降下を始めた。

「はさみうちにしてやる」


マッドサンダーはあえて、戦闘機隊のほうへ機種を向け上昇を続けた。

地上から自動砲台のミサイルや、VTOL等のミサイルが、再度、マッドサンダーの後方に接近していた。

すると、マッドサンダーはあおむけになるように、機体を反り返らせ、急速宙返りをして

下降を始めると同時に撹乱誘導ブイを、戦闘機隊の方へ発射した。

下方からマッドサンダーを追ってきたミサイル群は、撹乱誘導ブイに翻弄され

マッドサンダーへの照準をすでに狂わされていた。


「なにーっ!」

上空から降下中の戦闘機隊の正面に撹乱誘導ブイによって導かれてきたミサイル群が飛び込んできた。

先頭を降下中の戦闘機二機がミサイル群に巻き込まれ撃墜された。

残りは、ぎりぎり回避して旋回し、また上昇を始めた。

「ヘリにあんな芸当ができるのかよ!」

急激に降下しだした。マッドサンダーは、

真上から。VTOLや傭兵達の戦闘ヘリを襲った。

水平ホバーリング中のVTOLや戦闘ヘリには、真上からの攻撃に対抗する武器が装備されていなかった。

慌てて機首を上げ出すが・・・

地上からは、マッドサンダーを狙った自動砲台によるミサイルや対空機銃が発射し続けられていて、

行動が制限されていたため

VTOL3機と傭兵の戦闘ヘリ3機が

マッドサンダーのミサイル攻撃によって撃墜させられた。


「タピオンベース、自動砲台の攻撃が行動の邪魔になる。当エリア内の攻撃解除をしてくれ」

VTOL隊長機はミサイルのかいまをくぐり、マッドサンダーの攻撃もかわしながら

慌てて、交信していたが、マッドサンダーのバルカン砲に打ち抜かれ撃墜されてしまう、

戦闘ヘリも2機バルカン砲の餌食となった。


マグワの戦闘ヘリの、右翼にバルカン砲の弾丸をが命中した。

「やばいぜ、むちゃくちゃやばいぜ、」

被弾しながら大慌てで、回避行動をとる。

「リミットの、VTOL全滅、逃げたいが逃げるに逃げられねえ」

左翼にバルカン弾を着弾し、弾は翼を貫通して、装備していたミサイルポッドに命中した。

「ぐわっ!!!」

慌てて、ミサイルポットを切り離したが、爆発の衝撃は機体を包み込んで

体制を立て直すのはとても不可能なことであった。


マッドサンダーは、戦闘機三機を残し

地上の動作を停止した。自動砲台を確認すると

モンランム軍のミサイル基地にシンクロし、ミサイル発射台に攻撃を開始させた。


「ミサイル接近!」

タピオンベースに緊張が走った。

「第一警戒ラインの西北から戦闘空域に多数接近しています。」


「ライン通過後は、意味のないものになるのに無駄な事を」

司令官はそう叫んだ。


「いけません、指令!!オペレーター早く自動砲台を、停止させた自動砲台の起動を!」

参謀長が慌てて叫んだが既に遅かった。


マッドサンダーからのデータ指令でモンランムミサイル軍が飛来してきた。

第一警戒ラインを通過すると同時に推力をを失ったミサイルだが、


惰性落下で的確に、近辺の自動砲台、自動対空気銃を、せん滅していった。

ジョーはマッドサンダー突入時のマニュアルを、ミサイル群にもインプットしていたのだった。



上空でそれを見ていた。戦闘機隊が

「全滅だ、VTOLもヘリも自動砲台も!」

「明らかに我々に、勝ち目はないな、」

「マッドサンダー討伐、残存戦闘機部隊、帰還する。」




マッドサンダーの突入した第一警戒ライン辺りは静まり返り

マッドサンダ―の飛行音だけが残った。


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