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SKY-JOE story   作者: hms
Chapter 1未来錯誤
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Chapter 1未来錯誤 02 前戦

02 前線


バタバタとプロペラの轟音が

決して小さくはない“ソルジャー(傭兵)”達の声を掻き消していた。

歩兵部隊輸送ヘリが、ヘリオスベースから出動してすでに3時間が経過していた。


岩肌がごつごつとむき出しの荒野から、緑豊かな森林地帯に地上の景色は変わっていった。


「こちら、ドラフトキング、まもなく、タッチダウンポイントだ。」

輸送ヘリ”ドラフトキング(作戦コードネーム)”のパイロットがヘルメットから突き出ている

ヘッドマイクに向かいそう告げた。


「オメガ01から04、オメガリーダー含む4機が先行する。」

護衛の戦闘ヘリからの無線連絡と同時に

4機のヘリがスピードを上げ輸送ヘリの前方へ、遠ざかって行った。


オメガ隊を構成する戦闘ヘリは、

機種下方に単芯のガトリンクガンを標準装備、単座式コクピット、

一基のジェットエンジンをプロペラシャフト後方に備え

コクピット側面から張り出した両翼には、各種爆雷、ミサイルポッド、

サイドワインダーなどがオプション装備できる。

20年ほど前にコ・モンランム社の傘下にはいった。

ブラウニー重工業社製の”ブラウニー32式FH戦闘ヘリ”で編成されていた。

装備しだいであらゆるタイプの戦闘が可能で

小型で小回りの効く、生産コストを押さえた万能型ヘリである。


ドラフトキングと呼ばれる輸送ヘリも

ブラウニー重工業社製”ビッグベアー102式SYH輸送ヘリ”

機種前方にコクピットをかまえコクピット下部に唯一機関銃の装備がほどこされている

上部に2連のローターを備え、後部大型ハッチ内の格納庫には、小型の装甲車も搭載できる。

おもに兵員や陸戦部隊の輸送に主力配備されていた。


「オメガリーダー及び,02.03.04はT3ポイント通過後、3キロ先で警戒に当たれ!」

「05は、ドラフトキングの前衛警戒を

06以下の残りの各機は周囲を左右展開、各自上空を確保しつつ警戒に当たれ」

ビッグベアー102輸送ヘリの格納庫で、隊長らしき男が、

30人の歩兵部隊に作戦の最後の支持を与えていた

30人の歩兵は、3班で各10名

各々リーダー1名、アシストリーダー1名計6名が、コ・モンランム社の専属ソルジャーであり

残りはすべて、スラムの低レベルソルジャーで構成されていた。

「いいか、最終確認だ。タッチダウンポイントに本機着陸後

アルバート班、ノエル班、キース班の順にタッチダウンポイントから、散解しろ

本機カが着陸して、離陸するまでの時間は1分30秒

タイムオーバーのやつは俺が突き落としてやる!」

タッチダウンの間、敵の攻撃がなければ

全員、降機後、本機及びオメガ隊とも即この場を離脱する

タッチダウン中、もしくはそれ以前に攻撃を受けた場合

本機は貴様等を棄てた後すぐに離脱するが

オメガ隊は貴様らが姿をくらますまで、援護する。

第一警戒ライン通過、先遣部隊と合流前にフラックス軍との交戦は出来る限り回避しろ、

ターゲットポイントの制圧完了時に、貴様らの口座にボーナスクレジットが振りこまれる

各自、装備確認!」

30人各々の兵士が自動小銃、防弾ジャケットなどの装備を確認する

ヘルメットの左目上部部分の、可動式ナイトスコープ謙サーモスコープをチェックする者や

防弾ジャケットに取付可能な、弾薬、手榴弾、数をチェックする者


ズド-ン!!!

突然、爆発音が鳴り響き、ビッグベアー102輸送ヘリが大きく揺れた

格納庫に警報が鳴り室内が真っ赤な警戒ランプで照らされた

ビッグベアー102の左翼に展開していたオメガ隊の戦闘ヘリ07が

火の塊となって墜落していった。


「オメガ07対空ミサイルによって被弾撃墜された。」

「ドリフトキング高度をあげろ、狙いうちされる。」

速度の遅いビッグベアー102は真っ先に対空砲火の餌食になりえる

オメガリーダーからの指示でビッグベアー102輸送ヘリは上昇体勢に移った。


森林の間からオメガ07を撃破したミサイルの発射痕煙が、尾を引いていた。

オメガ06が煙の根元に向け対地ミサイルを威嚇発射した。

と同時に、森林の各所から地対空砲の砲弾がいっせいに発射され

ビッグベアー102とオメガ部隊を掃射した。

ビッグベアー102に何発かの砲弾が命中したが、

数が少なかったため致命傷になるほどではなかった。

身の軽いオメガ隊は軽く掃射をかわし、対地攻撃を開始した。

機体重量の重いビッグベアー102には、この弾膜網を抜けることは難しかった。

弾丸が鉄の表面に叩きつけられる音が鳴り響き機銃の掃射を受け続けていた。


「放火が、激しすぎる。回避は不可能だ。タッチダウンポイントを変更する。

9時の方向に“ステージ(着陸可能地点)”がある。」パイロットがそう叫んだ。

左翼を見据えたパイロットの目の先に森林間沼地があった。

「オメガ隊、タッチダウンポイントを左翼沼地に変更する。援護を頼む」


オメガ隊の返事が返らぬうちにビッグベアー102は大きく機体を傾かせ左旋回を始め下降しだした。

機体右側に、何発も被弾するも、機能部に損傷はなくホバーリング体制に移った。


高度の下がったビッグベアー102を補足したフラックス軍のハンター(AIを備えプログラムによって動く無人のロボット兵器)が、森林の木々の間から沼地にとび出してきた。

少し立ち止まると上空を見上げロケットランチャーを放った。

近距離から打ち放たれたロケット弾はドラフトキングの機体をかすめ前部ローターにからんで爆発した。

ドドドドーーン!!!

致命傷である。もはや高度や姿勢を維持することは出来なかった。


「まずい」オメガ15の機体がロケットランチャーを放ったハンター目掛け

ガトリンク砲を掃射する。

ハンターのはばらばらに砕け散り、沼地にオイルや破片が飛び散った。


前部ローターを破壊されバランスを失くしたビッグベアー102が機体を大きく回転させながら沼地に

墜落した。

沼地の水が大きく飛び散り、ドラフトキング墜落の衝撃をつつみこむ。

水しぶきの中に美しく虹があらわれた。


「オメガリーダー、こちらオメガ09 ハンターが多数森林内にいる模様、

電磁パルスナパームを投下ます。」

「致し方ない、許可する。派手な戦闘は避けたかったが

このままではドラフトキングのソルジャーがなぶり殺しにされる。」

オメガ09が対空砲火をかいくぐり、墜落したビッグベアー102からある程度距離をおくと

木々の間に電磁パルスナパーム弾を投下した。

高々と落下地点から火柱が上がると周辺の森林が火炎に包まれた。

フラックス軍のハンターは燃え盛る火炎に包まれる中、

電磁パルスによって一時的に機能を停止ていった。

動かなくなった火の中のハンターを、オメガ隊が上空から狙撃していった。


頭を手で押さえながら、ドラフトキングの指揮管が傾いた機体の中で

立ち上がった。

「炎が収まったら。総員本機を離脱

俺と本機乗員はキース班と同行する。」

とコクピットにつながるマイクを取るが、

少し耳に当てた後マイクを床にたたきつけた。

パイロットはすでに息絶えていた。


沼地を取り巻く森林が焦土と化し、

電磁パルス歩兵達は勢いなく森林地帯に降り立った。

墜落の衝撃で、もうろうとしている者がほとんどであった。

オメガ隊は機能障害で一時的に停止いているハンターを殲滅し変更されたタッチダウンポイントの安全を確認すると

ヘリオスベースへの岐路についた。


ビッグベアー102の歩兵達は、ゆっくりと夜の近づいた森林へと足を踏み入れていった。



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