Chapter 1未来錯誤 13 強襲
13 強襲
アルバート班の5人を乗せたボールフィッシュ567SYS揚陸用ヘリが
森林の上空を西に向かって飛んでいた。
「箱河豚08より、ヘリオスベースへアルバート班を回収、帰還飛行に移っています。」
パイロットが無線連絡をした。
「了解、他の箱河豚も、生存者を回収後、間もなく合流するだろう。
合流まで低速飛行し、合流後編隊を組み、全速で帰還の途に着け」
ヘリスベースより指示がでた。
森林の上空を西へ向かい低速で飛行する
アルバート班を乗せたボールフィッシュ567SYS揚陸用ヘリに
キース班や先遣部隊の生存者を回収した数機のボールフィッシュ567SYS揚陸用ヘリが近づいてきた。
「箱河豚08より、ヘリオスベースへ箱河豚01~07と合流した。
編隊を組みこれより帰還する。」
「こちらヘリオスベース。了解した。
マッドサンダーが、貴君等の編隊を、最後尾から護衛してくれるそうだ。
箱河豚01~08は01を先頭に順に直列編隊を組め!」
散り散りに飛んでいたボールフィッシュ567SYS揚陸用ヘリが
一直線に並び速度を上げていった。
ヘリ軍が向う西の空から、マッドサンダーがやってきて編隊の上空を通り過ぎ反転して
箱河豚08の後ろにピッタリと貼りついた。
ジョーは目の前を飛ぶ箱河豚08を、睨んだ。
窓硝子越しにマッドサンダーを見ていたアルバート班の面々
「やっこさん、お前にどうしても会いたいらしいぜ」
ギルがそういうとノーバディーをみつめた。
「スカイ・ジョーとどういう関係なんだ?・・ノーバディー・・」
ハンスが訪ねた。
「わからない、わからないんだ。
・・・・あのときだって、どうして身をごまかしたのか、
わからないんだ。」
と、またあのペンダントを握りしめノーバディーが答えた。
「確かジョーは、ロブ・キンスキンと言っていたな。
その名に聞き覚えはあるのか?」
アルバートが質問した。
「嗚呼・・・・」
知らない名じゃないが、
それを思い出すと、恐ろしいことも思い出してしまいそうで
ノーバディーは頑なにそれを拒んでいた。
アルバートが頭の中で
『ノーバディー・コロイド・・3年半以上前の経歴は不明とあったが、その時に
何かしでかしたのか?』
『うむ、待てよ、ロブ・キンスキン・・聞いたことのある名前だ・・・
ギディオン社専属の特Aソルジャーだったような・・・』
“ギディオン社” “コ・モンランム”とは常に対立紛争状態にある
世界最大手NO5に入る総合企業である。おもに、都市開発、造船を専売としていたが、
武器開発から日常電化、食品に至るまであらゆる商品を世におくりだしていた。
『そうだ、確かにそうだ。』
アルバートは頭の中によみがえった記憶を整理しだした。
『ジェット戦闘機から、ラウンドモービルまで、すべての戦闘兵器を扱え、
2093年のグローリアーナ攻防では
ラウンドモービル単独で一個大隊の敵を殲滅し民間人を救出
“グローリアーナの野獣”と呼ばれた男だ。
理由はよくわからんが
確か3,4年前突然消息を絶っている。』
『ノ―バディ・コロイドの経歴と一致するな』
アルバートがノーバディーを見据えた。
箱河豚部隊とマッドサンダーは森林地帯を抜け砂漠地帯の上空に入った。
初めのうちはごつごつとした岩が転がる地帯だったが、砂丘へとかわっていった。
「うむ?」
いち早くマッドサンダーのコンピューターが異変を察知しジョーが読み取った。
「マッドサンダーより箱河豚編隊へ
前方7200m付近の砂丘に何かしらの反応がある。
警戒態勢をとれ、マッドサンダーが前方警戒にあたる。」
ジョーが、警戒を促した。
「箱河豚01よりマッドサンダーへ了解した。」
「箱河豚01より02~08に直列体系をとき、散開飛行にうつれ」
突然、砂丘の中から閃光が発せられ箱河豚05を貫いた。
箱河豚05はエンジン部から爆発し黒煙を吐きみるみる高度を落としていった。
「”ATL”」
『Advanced Tactical Laser』(高度戦術レーザー兵器)
ジョーがそういうとつづけて
「全機高度を上げろ、もっとちらばれ!」
といい、最後のサイドワインダーをATLの発生地目がけ発射し
急上昇すると、残り全部の撹乱ブイを放出した。
また、閃光がニ回走った。
先ほどの閃光もそうだがマッドサンダーから放たれる“ATL”の何倍もの太さだった。
一筋は、撹乱ブイを貫き
もう一筋は、散開上昇中の箱河豚03を貫いた。
「間もなく砂丘地帯を抜ける。上空の雑魚どもを殲滅し、制空権を確保する。」
何か大きな基地のコントロールルームのような部屋の中で立っていた男が叫んだ。
「砂丘潜航を解除、浮上する。総員配備!」
「本艦はこれより砂丘潜航を解除、浮上する。
繰り返す、本艦はこれより砂丘潜航を解除、浮上する。」
オペレーターが先ほどの男の指示を繰り返し艦内放送をした。
地上戦艦、ここはそのブリッジ(艦橋)であった。
現在は、砂の中に埋もれているようだ。
人々があわただしく艦内を走り回る。
「本艦、オージアスは、砂丘浮上後、タピオンベースを攻略する。
モンランム軍が第一警戒ラインのパルスレーザーを復旧するまで50時間前後と予想される
よって、これをタイムリミットとする。」
「浮上後、全艦載機発進、護衛機を残しタピオンベース攻略に向かへ!」
と同時に本艦より、艦砲援護射撃を開始する。」
「浮上後、モンランム軍に感知され、レジアスからの援軍も予想されるが、
西方7km地点に配備された本艦と同型艦3隻がレジアスからの援軍を阻止する。」
本艦はタピオンベース攻略にだけ全力を尽くす。」
上空に散開した、マッドサンダーと箱河豚部隊は、少し南方に進路をかえていたが、
容赦なく、ATLが飛来していた。
箱河豚01が、閃光に串刺しにされ爆発墜落していった。
「くそ~、せっかく生き延びれたとおもったのに!」
「終わりが先延ばしにされてただけじゃないか・・」
ハンスが、揺れる機体の中で、ポールにしがみつき叫んだ。
「何からの攻撃なんだ?」
アルバートがそういうと
「ギディオン軍、砂丘潜航型最新地上戦艦!」
ノーバディーが、口を開いた。
一同はATLの飛来する砂の大地を見下ろした。
やがて、砂地がじわじわと盛り上げってきて、
大きな山のようになり砂が滝のように流れ落ちると。
全長457mの巨大なクジラのような物体が姿を現した。
パスパスと、エアーの吹き出る音が流線型の表面から起こり、
細かく付着していた砂を吹き飛ばしていった。
やがて、鉄の窓のような幾つもの蓋がスライドして開くと。
ミサイルの発射口や、発射台、大砲、対空銃座、ATL砲座がそこから顔をだした。
ATL砲座が真っ先にマッドサンダーと残りの箱河豚部隊を狙い掃射された。
08以外の残りの箱河豚は、いともあっさりと殲滅されてしまった。
箱河豚08も、ATLの直撃をテールローター部に受けコントロールを失い砂漠に墜落していった。!
マッドサンダーは、攻撃をかわしていた
「くそ、ロブの乗った機もやられたか?」
ジョーが、落ちてゆく箱河豚08を補足したが、攻撃の弾幕を回避するのが精一杯であった。
浮上した地上戦艦の流線型をした。上部甲板が持ち上がり、船底部との間に滑走路が現れ次々と艦載機が発進してきた。
その一部の隊にマッドサンダーの行動は制限された。
戦うにも、弾薬が殆どなく、
しかも、燃料も残りわずかになっていた。
「くそ~、いったん引き揚げざるを得ないのか?」
ドン!ドン!と大きな音たて
艦砲射撃を甲板上から繰り返しながら
地上戦艦オージアスは、ゆっくりとタピオンベースに向け動き出した。