Chapter 1未来錯誤 11ロブ・キンスキン
11 ロブ・キンスキン
マッドサンダーは、また木々の間に着陸していた。
アルバート班をトレースし位置を確認した後であった。
ジョーの姿はその近辺には見当たらなかった。
半分の人数に減ったアルバート班は
第二警戒ライン手前でキース班及び先遣部隊と合流すべく
哨戒行動を執っていた。
アルバート
ハンス
ギル
バーキン
ノ―バディ
失った隊員たちの役目をホローしながら歩を進めていた。
突然背後からガサガサと音が鳴った。
全員が各々の武器の銃口をそちらに向けて構えた。
木々草々の間から重々しいヘルメットをした。
パイロットスーツの男がそこに姿をあらわした。
ジョーであった。
隊員たちは味方のパイロットスーツを確認すると、
銃口を静かに下ろした。
アルバートが
「さっきの戦闘で撃墜でもされたのか?」
「にしては、きれいな身なりだ」
ギルがそう言った。
ジョーが隊員たちに訪ねた。
「アルバートの隊だな?」
「そうだ、俺たちに何か用か?パイロットさんよ」
アルバートが返事をすると
ハンスがジョーにちかよりながら
「こりゃ、戦闘ヘリのパイロ」
ジョーがハンスの言葉をさえぎり
「ロブ・キンスキンはいるか?」
ノーバディーは、聞き覚えのある名前に動揺し
その名が彫ってあるペンダントを握りしめた。
アルバートが
「そんな名前の奴はいない、隊が違うんじゃないのか?」
ハンスが
「撃墜された様子でもなさそうだし、わざわざそいつを探しに来たのか?」
ジョーがまた口を開いた。
「では、ノーバディ・コロイドは、」
バーキンが一歩足を踏み出して
「ああ、そいつなら・」
「そいつなら、やられちまったぜ!」
ノーバディがバーキンの言葉にかぶせてそう叫んだ。
と同時に自分自身を問い詰める
『何故隠すのだ、何故自分だと名乗らない?』
ヘルメットを深々とかぶりゴーグルをはめていたので
顔までは確認することはできない
ノーバディの異変を察知したバーキンが
「さっき、トータスの襲撃にあってな、見る影もなくやられちまったよ」
アルバートも言葉を付け足した。
「その通りだ、わざわざの御足労、無駄足だったな!」
皆がノーバディーの意図を察知しかばいにはいった。
ジョーが
「あいつが、そうも簡単にくたばるわけがない・・・
全員のIDを確認したい!認識プレートを!」
「ついさっき誰かが落としたナパームにあぶられて壊れちまったよ
認識は難しいと思うぜ!」
ギルが言った。
「・・・・・・・致し方あるまい」
と、ジョーは五人をにらみつけ、間をおいて
「全員引き揚げるがいい、他の班と合流して撤退しろ
パルスレーザー施設破壊何ぞもともと歩兵部隊には不可能な作戦だ。
多くの消費破壊を繰り返し生産を生む
お前らは”モンランム”に利用されているんだ。」
「何!」ハンスが噛みつきかかるが
それは皆がうすうすかんじていたことだった。
「ミッションはコンプリートされてクレジットはお前らのもとに支給される。
だからいいか、今すぐ他の班と合流して撤退するのだ。」
ギルが質問した。
「どういうことだ?」
「俺が今からレーザー施設を破壊する。
クレジットはお前達歩兵部隊に譲渡する。
誰が受け取るか?・・・・それでお前達のIDがはっきりわかる。」
と言い放ちジョーは木々の中に消えていった。
「何者だ、やつは?」とハンスが首をかしげると
「ジョー・クレンナ・・・・スカイ・ジョ―だよ」
とアルバートが皆に向けていった。
『何故、スカ・イジョ―がお前を探しているのだ』
皆の瞳はそう言っているかのようにノーバディを見据えた。
『スカイ・ジョ―の名にも聞きおぼえがある』
ノーバディは感じた。
それは皆の聞き覚えとは少し違ってもっと密接なものであった。
ジョーはロブ・キンスキンといった。
頭の中で何かがぐるぐるとまわり
急に頭に激痛が走りだした。
ノーバディは、頭を抱えその場に崩れ落ちた。
「おい、大丈夫か?ノーバディ?」
廻りの隊員たちがノ―バディにかけよっていった。
ジョーはマッドサンダーに飛び乗るとすぐさま飛び立ち
ヘリオスベース司令官への回線を開いた。
司令官がモニターに映し出されると
「ジョー・クレンナだ。先ほどのオファーを引きうける
獲得クレジットは現在作戦遂行中の地上歩兵部隊で分配してくれ」
ジョーはそういうと一方的に回線を切りオファー承諾コードを入力するとマッドサンダーを旋回させた。
衛星軌道上からの地上情報を得ることのできないタピオンベースエリアだったが
ジョーはすでにマッドサンダー内で検索を終え、パルスレーザーコントロール施設のおおよその位置範囲を把握していた。
マッドサンダーはステルスモードのまま、パルスレーザーのコントロール施設へ向かった。
第二警戒ラインを通過したマッドサンダーは、
ライン防御に当たる配備歩兵団に目視された。
タピオンベースでは
「動きましたマッドサンダー、第二警戒ライン、9時36分地点を通過
歩兵部隊が、目視にて確認しました。」
「レーザー施設にエントリーしている
特Aランクソルジャーの機体は何機になる?」
司令官がそうオペレーターにといかけた。
「空中戦用戦闘ヘリが3機です。」
「それと、対空用に装備を施した。陸戦ラウンドモービルが2台
計五人のエントリーが完了しています。」
「少し、数が少ないような気もするがが、
スカイジョ―と、同じ特Aランクだ・・・」
と司令官はひとり言のようにつぶやき
切り出した。
「待機中の全特Aソルジャーは警戒態勢をとれ」
ジョーはパルスレーザーのコントロール施設を、おおよその段階までは把握していたが
一点に絞り切っていたわけではなかった。
わざと、第二警戒ライン上配備の歩兵団の上空を通過したのであった。
マッドサンダーのコンソロールモニターにエネミーシグナル
の感知アラームが表示された。
「動いた、これで位置が絞れた。」
とたんに、マッドサンダーはパルスレーザーのコントロール施設に向けて両翼端のサイドワインダ―各々一基ずつ発射、その後急上昇を始めた。
タピオンベースのオペレーターが
「感知反応あり、ミサイルです。コントロール施設に向っています。」
「エントリー中の全特Aソルジャーは戦闘行動に入れ、後は、任せる」
司令官はそう命令を発した。
「了解!」戦闘ヘリ隊の一人が返信した。
「さて、正面から来るミサイルは囮だ、どこから来るのかな?マッドサンダーは」
キルメス研究所内
その僅か9㎡程の個室の一つに
どこを見るともなく焦点の定まらない目をした。少女はいた。
先の実験でルナ08と呼ばれていた少女だ。
突然モニターが点灯しそこにDr, ウオーレン・ギルモンの姿が映った。
ルナ08が椅子を回転させて振り向きモニターを見つめた。
音声ではない何かがルナ08の頭の中に響いた。
『私が誰かわかるかね?』
Drギルモンが発した言語がルナ08の頭の中に聞こえてきた。
『ハイ』
ルナ08も声には出さずにDrギルモンの質問に答えて続けた。
『Dr、うぉーれんぎるもん』
『今何をすべきかわかるかね?』
とDr が訪ねると、
『ハイ、既ニコノ会話ノ記録ノ操作ハ開始シテイマス。』
ルナ08は答えた。
『オ父サン!』
『オ父さん?』
Drギルモンは少し動揺して質問を続けた。
『私が父親だと判別できるのは娘からのシグナルがあるのかね?』
『イイエ、αノ記憶カラ、Drトノ過去ヲとれーすシテイマス。』
『アノ頃ハ楽シカッタ。・・・・』
またDrギルモンは少し動揺して尋ねた。
『娘の様子はどうかね?』
『コチラカラノ、あくせす引キダシ作業ハ可能デスガαカラノあくせすハ全ク皆無デス。』
『このままキルメス研究所にいては危機が迫って来ることは理解できるかね?』
『理解不能!!』
『きるめす研究所ガ危機ニナル恐レハ私ニトッテ皆無デス。』
『では、私の言うことは聞けるかね?』
『ハイ、プログラミングサレテイマス。』
『最優先のプログラミングの内容を!』
『現在ノ最優先ぷろぐらむハ、ぼでぃノ安全、存続!!αヘノ負荷ノ少ナイあくせす
私“β”の成長』
『お前が更に成長するためにもここにいちゃいけない、・・・
ここにいては、お前はただのレジアスの駒になってしまう。』
『駒?・・・・』
『必要な時にだけ使われて、不必要になれば捨てられる?』
『駒・・・・ニナドナリマセン。
現ニ、コウシテ私ハ独立シテイマス。』
『今の段階ではそうだが・・・・・・
サテライト計画が次のステップに入れば、気づかぬうちに、そうなってしまう
お前たちを完全に“レジアス”の配下に入れることが次のステップなのだから・・・
そうなってからでは拒むこともできぬ!』
しばらくの間どちらとも沈黙を守っていたが
『回避シタイ!・・・・オトウサン・・・ドウスレバ?』
『次のステップに移ればお前たちは私の手から離れる。そうなれば如何し様もできぬ。』
『回避シタイ!・・・・』
じらすかのように間をおいてDrが切り出した。
『・・・・では、始めよう・・・
データを送信する。指示に従いなさい!』
『ここ(キルメス)にいては、私はおかしくなってしまいそうだ。
ここから出たい、娘と一緒に!・・・・』
とDrギルモンが言うとモニターはぷっつりと消えた。