Chapter 1未来錯誤 10フェンス3兄弟
10フェンス3兄弟
マッドサンダーの周りには飛行する物体は何もなかった。
マッドサンダーはゆっくり高度を落とすと、急にエンジン音が虫の羽ばたき程の音になった。
“ステルスモード実行中!”とモニター画面の右下にロゴが点滅し出した。
ジョーがスロットル脇のキーボードをはじきだした。
着陸ポイント検索中とモニター画面に表示されてしばらくすると
地点の座標が示された。
と、同時にオファーコールが鳴った。
強制的に画面が切り替わり
ヘリオスベースの司令官が8インチの画面にに映し出された。
「タピオンベース第一警戒ライン攻略おめでとう。
出撃オファーとは、関係なくタピオンベース第一警戒ライン攻略には
コンプリートクレジットが、設定されていた。
よって、君の口座にボーナスクレジットが振り込まれる。」
少し間を空けて司令官はきりだした。
「攻略ついでと言っては何だが、
パルスレーザーのコントロール施設を破壊してはくれんだろうか?・・
もちろん、コンプリートクレジットが、設定されているので、
ボーナスクレジットも発生する。」
「悪いが野暮用で来た。ミッションにエントリーする気はない」
とジョーは答えると同時に回線をきった。
マッドサンダーがステルスモードに切り替わった瞬間!
タピオンベース内でざわめきが起こっていた。
「あのまま、パルスレーザーのコントロール施設を破壊しに来るかと思ったが
着地しているのか?」
司令官が、オペレターに問い詰めた。
「いえ、速度も落ちていましたし、おそらくステルスモードに入っているのかと、」
「はじめて、奴に出くわしたが、あそこまですごいやつとは思いもしなかった。」
司令官は驚きの表情を隠せない
「先ほどの戦闘で燃料、弾薬などはかなり消耗しているはずです。
乏しい残量で、パルスレーザーのコントロール施設を破壊する他にゆとりはないでしょう、」参謀長が補足事項をつたえた。
「なるほど、では、もう一度包囲網を引こう、
特Aソルジャー、のみにオファーコードを送れ、奴が動き出すまで待とうではないか、」
司令官の口元がニヤリとつりあがった。
マッドサンダーは木々の隙間に着陸した。
と同時にローターが回転数を落としてゆく
ジョーはヘルメットをはめたまま草地におりたった。
すると、開いたままだったコクピットのキャノピーが自動で閉まり
モニター画面に“待機、遠隔脳波感知モード”のロゴが表示された。
ジョーはマッドサンダーを左後方に置き、木々の間を歩きだした。
突然周りの木陰から、トータス3機が飛び出てきて
とっさに身構えたジョーを取り囲んだ。
フェンス3兄弟のトータスだった。
ガリィがジョーの正面に
ザビーはジョーとマッドサンダーの間ジョーの左後ろに
バリィは右後ろに
「わはっははは~、こいつはとんだとこで出くわしたな、
あんたがスカイ・ジョ―だろ、そしてあれがマッドサンダー
第一警戒ラインを越えて来るとは流石だ。感心しちまう!」
と叫ぶとバリィの乗ったトータスの左腕が真横に上がり
マッドサンダーをさした。
マッドサンダーの機種下部バルカン砲が音もなく静かにガリィのトータスをとらえた。
マッドサンダーのコクピットモニターには、トータスの情報が浮かび上がってきた。
それはジョーの被っているヘルメットのゴーグル部にうかびあがった。
「こんなところで呆気なくスカイジョ―をやれるとは思わなかったぜ、」
ガリィが声にドスをきかせて、ジョーに言った。
ジョーのヘルメットのゴーグルに映しだされる情報には
トータス装甲の固さが表示された。
「現状のバルカン砲弾では、一撃でしとめることは無理だな」
一撃で仕留めれなければ包囲が崩れず。殺られてしまう
少なくとも2機同時に動きを止める必要があった。
「ATL準備!」頭の中でジョーはそうつぶやいた。
『Advanced Tactical Laser』(高度戦術レーザー兵器)
の準備をマッドサンダーに脳波で指令した。
ゴーグルに前方ガリィ機に照準ロック、チャージタイム180秒と表示、
ATL砲のチャンバー内にエネルギー充填が始まりカウントダウンされだす。
時間稼ぎが必要になった。
「スカイ・ジョーを殺っちまえば、
フェンス3兄弟の名が上がる、そうすればオファークレジットも上がる。
金なんざ、どうでもよいが、あるにこしたことはねぇ」
ザビーが、付けくわえた。
ジョーはその言葉を聞いてにやりと笑った。
「金が欲しいなら、今すぐ俺を殺さないことだ。」
「おや、命乞いか?・・スカイジョー抹殺の名誉も欲しいんだが、」
バリィが
「今、俺にはある会社からオファーが来ている。
もちろん断るつもりだ。だが、そうなると、
その会社は、おれの首に賞金を懸けるらしい?」
「そうか、賞金が掛ってからやっちまえばいいのか。」
ザビーが舌なめずりをした。
「はったり、かましやがって、俺らを担ぐきか?」
そういったガリィにジョーが
「ピュアアイランドって会社検索してみな!」
と同時にトータス内でザビーがキーボードをはじいた。
「ピュアアイランド者懸賞金対象者候補、・・検討中!と出てる」
「なるほどな、ザビー、業者に連絡して、タピオンベースにトレーラーを
用意させろ」
「ジョーをさらって、マッドサンダーをいただく!」
バリィがそういうと同時に
ジョーのゴーグル内のカウントが0になった。
ビュンと風を切る音がしてマッドサンダーから放たれた閃光は
ガリィのトータスを貫いた。
と同時にマッドサンダーのバルカン砲が、うなりだす。
ザビーのトータスに何発も何発も至近距離から着弾、装甲を貫きはしなかったがその機体を押し飛ばした。
すぐさまバルカン砲の銃口はバリィ機をとらえ
連射して押し倒した。
とまた、倒れていたザビー機を容赦なく掃射した。
分厚い装甲は凹凹と、くぼんでゆく
ジョーはすきを見て倒れていたバリィ機に近寄り
トータース外部に設けられたコクピットの強制解放レバーを引っ張った。
分厚い鉄のキャノピーが開き頭を抱えた。ガリィにハンドガンをつきつけた。
容赦なく掃射されるバルカン砲
ザビーは、押しつぶされていく装甲の中で、身動きが取れなくなっていた。
バリィのトータスはロケットランチャーを構えたままピクリとも動かなかった。
キャノピーの正面に小さな穴があいている。
それと同じものがコクピット内に座っていたガリィの額にもあった。
バルカン砲の連射音が止まった。
パン、パン、パン、パン
ハンドガンを発砲すると、
ジョーは再びマッドサンダーに乗り込んだ。
「邪魔が入った。」と呟くとキーボードをたたきただす。
ローターが回転しだし低空飛行に入る。
モニターにはアルバート班トレースと表示された。
凹凹にへこんだトータスの中でザビーがもがいていた。
「た、た、たすけてくれ、あにき・・・・たた、た」
バリィは身動きが取れなかった。
「痛え、痛えよ、…痛え」
両肩の付け根と、両大腿の付け根を打ち抜かれていた。