表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの知らない世界  作者: はまゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/11

第3話「雷を宿した壺」――バグダッド電池の謎

1936年、イラクのバグダッド近郊、クジュート・ラブー村の遺跡発掘現場。

ドイツ人考古学者ヴィルヘルム・ケーニヒは、約2000年前(パルティア時代、紀元前250年頃〜紀元後224年頃)のものとされる陶器の壺を発見した。

高さ約14cmの素朴な粘土壺の中に、銅製の筒と鉄の棒がアスファルト(瀝青)で固定され、厳重に封じられていた。

最初は巻物入れや神聖な容器と思われたが、ケーニヒはすぐに異様な点に気づく。

これは、原始的な電池ではないか?

壺の構造は驚くほどガルバニ電池に似ていた。

銅筒が陰極、鉄棒が陽極、アスファルトが絶縁材。

電解液(酢やブドウ汁のような酸性液体)を注げば、電圧が発生する仕組みだ。

(画像参照https://www.instagram.com/p/DW5LY91kT1Q/?igsh=ZWZ1YW9ncnl1eDUy)

再現実験はすぐに始まった。

酸性の液体を入れ、電圧を測ると……0.5ボルト前後。

弱いが、確かに電気が生まれる。

MythBustersの番組では10個を直列につなげ、4ボルト以上を出し、小さな金属メッキを実演した。

だが、当時のパルティア人に「電池の接続方法」や「回路」があった証拠は一切ない。

謎は深まるばかり。

何のために作られたのか?

主な仮説は3つある。

1. 電解メッキ(金メッキなど)のための道具ケーニヒは、当時の銀器に金メッキが見られることに着目。電池で電流を流せば、薄い金層を付けられる。しかし、この時代に電解メッキされた明確な遺物は発見されていない。考古学者たちの多くは「証拠不足」で否定している。

2. 医療・電療のための装置微弱電流を体に流せば、痛み緩和や神経刺激が可能。古代ギリシャでは電気エイを使って同様の治療をしていた記録がある。壺を複数使えば、鍼のような針に電流を流す「電気鍼」も考えられる。だが、これも直接的な証拠はない。

3. 宗教・儀式用の「神聖な驚異」壺を偶像像の中に仕込み、信者に軽いショックを与えて「神の力」を演出。あるいは、呪文や護符を入れる容器として使われ、偶然電池のように機能しただけ。壺がアスファルトで完全に封じられていた点が、この説を支える。

そして、2026年現在、新たな風が吹いている。

独立研究者アレクサンダー・バゼス氏の再現実験(Sino-Platonic Papers誌、2026年1月発表)。

これまでの研究が見落としていた「壺の多孔質な陶器表面」に注目。

壺の外側に電解質を染み込ませ、空気と銅が反応する「空気電池」の仕組みを追加すると……

内側と外側の2つのセルが直列接続され、1.4ボルト以上(単三電池並み!)の出力が得られた。

(画像参照)

Chemistry World誌(2026年1月)でも取り上げられ、「もし本当に電池なら、最も効率的な使い方だった」と評価された。

だが、考古学者ウィリアム・ハフォード氏(ペンシルベニア大学)は懐疑的。

「回路の接続証拠がない」「2003年のイラク戦争で実物が失われ、再検証が難しい」

と指摘する。

今も国立イラク博物館の展示物は紛失したまま。

この壺は、2000年前の人々が「電気」を知っていた証拠か?

それとも、ただの容器が偶然生んだ現象か?

科学と考古学の間で揺れる答えは、まだ見つかっていない。

だが、もしパルティア人が意図的に電流を作っていたなら……

人類の「雷を操る」歴史は、想像以上に古いのかもしれない。



※このエピソードはすべて実在の事実と最新研究(2026年時点)に基づいています。

創作要素は入れず、発見経緯・実験結果・仮説の対立をまとめました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ