流行には乗っておけ
おれは転生した。
おれに。
え。
ふざけてんじゃねぇよって?
ふざけてねぇんだな、これが。
おれは、おれに、転生したのよ。
チートもなく、悪役でもなく、じゃないほうですらなく、価値を見誤られたわけでもなく。
おれは転生してもおれだった。
ただし、おれが生前暮らしていた地域でも国でもない、全く見覚えのない世界に。
転生してもおれだったのに、何故世界が違うのか。
世界が違うのに、何故おれはおれに転生しているのか。
全く以て理解不能である。
しつこいようだが、凡庸なおれは凡庸なおれに転生して、見覚えのない世界に突っ立っていた。
顔を掌で覆って溜息を吐く。
せめて、おれに転生したとしても、チートの一つや二つあれば、まだ転生ラッキーなんて状況だというのに、それすらなかった。
身体能力が向上してたり、頭脳明晰になっていたり、魔力を保持っていたり、転生でよくある特典が何一つない状況を嘆く以外にできることはない。
ちなみに生前のおれは営業スキルが高いとか、理系だったとか、乙ゲーにハマってたとか、転生系ラノベに没頭してたとか、料理が得意だったとか、そういったことは一切なかった。
ないない尽くしのおれが転生した理由はおれが知りたいくらいである。
見たことないカミサマよ。
何故おれは転生されたんだ?
教えてくれ。
おれはこれから何を為すんだ?
さぁ、至って平凡な人間が転生したらどうなるか。
キミたちも一緒に覗いてみないか?




