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祝言、そして契り

今日は祝言の日である。朝から奏家本家からも手伝いが来て、大広間には祝宴の準備がなされている。

御子姫と奏司も入浴を済ませると、各々に着物に着替える。奏司には奏家の紋が入った正装が、御子暇は淡い色合いの訪問着を着用した。

祝言は響家本家の大広間で行われた。一の段に御子姫と奏司が並んで座し、向かって左側に(となえ)と駿英の対、右側に言葉(ことは)駆成(かいせい)の対が座した。


御子姫が大祓詞を奏上し、次いで誓詞を対毎に続けて奏上する。三献の儀を行い終了。あとは祝宴となる。

まずは双子が対と一緒に御子姫と奏司に挨拶に来た。

広間に集まった者達は皆同じような年頃だった。

「みんな、戦人(いくさびと)なの?」

「そうじゃな…二百人近くおるじゃろうな」

「そっか。大将の船も入れて十隻で、交代制なんだよね、それくらいいないと無理か」


(となえ)、詰め込み過ぎと違うか」

「食事が済んだら酒を飲まない者達が帰りますので、もう少しゆるりとなるかと思います」

そういう矢先から、響紋衆の若手が御子姫に挨拶に来た。皆次々に祝辞を述べると、奥の手伝いへと下がっていった。


(となえ)言葉(ことは)も明日があるから、様子を見て切り上げてもよいぞ」

「はい、では姫様、奏司殿もお先に失礼します」

双子達は皆に挨拶しながら去っていった。

その後も祝宴に招かれた者達は、同じように挨拶に来てはまた宴の円へと戻っていく。

「なんか、めっちゃ疲れてきた。座りっぱなしだし」

「抜け出すか。少し散歩でもしよう」


屋敷の外に出ても、奏家の本家があり、近くには以前将隆の屋敷だった双子の家がある。その向こうには、(つい)の家々が続き、変わりばえのない景色が続く、船着場と造船所と。すると少し遠方に、星も見えない真っ暗な空が続く。

「あの真っ暗な空が常世(とこよ)じゃ」

「この里は、本当に戦のことしかないところなんだね」


「そうじゃな、訓練し、休息を取り、そして戦へ行くのじゃ」

「ごめん、俺は異形の里へ帰りたいよ。ここは息がつまるよ」

異形の里の話をしながら、二人は響家本家まで戻ってきた。広間の酒宴はまだ続いていた。御子姫の目があるので、和やかな飲み会になっていた。性的な悪習は無くなっていた。


「疲れたじゃろう」

「うん、俺の服出して。帰るよ、あっちへ」

「そうか…」

「そんな、寂しそうな顔しないでよ。今日も疲れてるから、昨日の夜みたいなことになるかもしれない」

「契りの儀をせねばならぬ。いつにしようか」

「もう何回もしてるのに、儀式は特別なんだね」

「そうじゃの」

御子暇は笑った。その笑顔があまりに悲しそうに見えたので、奏司は御子姫を抱きしめた。


「御子姫も、異形の里へ戻りたいんじゃない?あそこにいる時の御子姫はもっと自由だったよ」

「そうじゃな。ここでの役目が忘れられて…だからじゃろう」

「そっか、御子姫はここで一人で頑張ってるんだ。忘れてた、ごめん。俺にできることあったら手伝うから言ってよ。契りの儀式だっけ、早くやった方がいいならこれからでも、俺、全然おけ」

先程まで疲れただの何だの、いろいろ言っていたのが、嘘のような変わりように御子姫は声を立てて笑った。御子姫はあまり声を出して笑わない。よほど嬉しくておかしかったのだろう。



契りの儀を行うと奥へ伝えると、双子が用意を指示していたようだった。すぐに支度が整い、真っ新な白晒しの夜着に着替えた奏司は、御子姫に手を引かれ渡り廊下の向こうの(みそぎ)の離れへ入った。

「うわっ!こえーよ、なにこのローソク!」

「静かにせんか」

西側の壁上部に神棚が配されており、ちょうどその目前に同じように真っ新な晒しが敷かれた敷布団があるのみだった。


奏司はしきたりだというので、御子姫の部屋で儀式の前に食べるという御膳を食べ、気持ちが悪くなって仕方がなかった。

「御子姫、ごめん。さっき食べたのが気持ち悪くて、吐きそう」

「は、吐くだと!」

「ちょっと今すぐは、儀式、ムリ…ちょっとだけ待って…頭痛くなってきた。アレってなんだったの?」

「多分、精力剤じゃな」

「食べない方が良かったんじゃ…」


御子姫に促され、神棚の前で二拝し覚えた祓詞、祝詞の奏上、二杯二拍手一拝した。その後布団に仰向けに寝かされると、奏司は聞いていた通りまっすぐ上を向いていた。御子姫は、慣れた手つきで奏司の一物を勃たせていた。

「緊張しておるのか」

「なんか神様の前でとか、儀式っぽいよね…勃たないと困るから、あの御膳食べさせるわけか。鼻血とか出たりして」


「もう、静かにせい」

奏司の物が勃ってきたところで、唱え詞を唱えながら、御子姫は一物にまたがり腰を落として己の内に包みこんだ。

「奏司、よく見てておくれ」

そう言うと御子姫は変化していった。髪は白く、眼は紅く、肌は薄桃色に火照っていく。響紋が全身に現れ淡く光輝く。宙に舞う髪の毛は、奏司をさわさわとなぞっていく。

「綺麗だね、御子姫って感じだよ」


「コレって腰動かしたらアウト?」

「はあ…おまえってヤツは、もう…」

「コレって俺のがしっかり勃って、根元まで入ればいいんでしょ。そのあとは、どれだけ御子姫のこと大切に思ってるか、証明すればいいんだよね」

御子姫の腰に手をかけて起き上がると、ぎゅっと抱きしめて祈った。

「御子姫を傷つけることがないように、この背中の傷は俺をかばってついたんだ。戦に出ても、御子姫を守れるように誓います」


契りの儀を終えると、二人は一緒に湯浴みをした。寝間着の浴衣に着替えると、御子姫は寝屋に奏司を連れていった。

「ねえ、俺、精力剤でビンビンだよ?」

御子姫はまた笑い転げた。

「先程の契りの儀の時といい…もうわざとか」


奏司は唐突に、真剣な顔で御子姫に聞いた。

「昨夜、ここで何が起きたか、わかって連れてきてるの」

「ああ、わかっておる。今夜は一人でおりとうない」

耳をすませば、大広間からの声が聞こえてくる。まだ宴会は続いているようだった。


「じゃあ、教えてよ、御子姫の好きなこと」

「え…そんなこと聞くな」

「ねえ、舐められるの好きって、どこをどうやって舐めるの」

奏司は意地悪で言っているわけではなく、真剣に昨夜のように感じて欲しかった。

奏司は御子姫のあそこをぺちゃぺちゃと舐め始めた。

「ここじゃ…」


御子姫は肉のひだの付け根の、もう少しぷっくりしてきたところをいじった。すると奏司はあそこに指を入れて、ぷっくりしたものを押し出した。そこを舌先で刺激した。

「あっ、あん!ああ、いい…いん!あはぁ、うん、あん!いい…きもちい…」

奏司は舌でぺちゃぺちゃ舐めたら、舌先でぷっくりしてきたところを撫で回すようにしゃぶった。

「あああぁぁ…いい、あん、あああ…は…もっとこすって…」


御子姫は自分で唾液をねっとりつけると、指でこすり始めた。

「ああっ!あああっ!いいっ!いいっ!きもちい…あ…」

奏司は唾を垂らすと、御子姫のぷっくりとした蕾をこすり続けた。御子姫は足をつっぱって、ピクピクしてつま先をピンとした。

「入れて!こすって、もっと、あん!ああんっ!こすってぇー!はぁはぁ…」

奏司は入れたまま、蕾を唾と一緒にぐちゃぐちゃにこすった。


「あああっ!いいっ!いいっ!イク、イク、イク、あああぁぁーっ!」

蕾の先が赤くなってひくひくしている。すると入れてる(なか)がきゅうっと締まってきた。気持ち良くて根元までぱんぱんと出し入れしながら、何度もぷっくりした蕾を唾を垂らしてこすり続けた。

御子姫は何度も何度も、腰を動かしながらイクイクーッ!と叫び続けた。なまめかしいことに、御子姫は己の乳首をちねっていじったり、乳房を揉みしだいていた。体をそらしたりくねらせて、全身でイキまくっていた。


自分がイクのではなくて、御子姫のイク姿を見続ける方が、背筋がゾクゾクして、もう何回もイッたような気がした。奏司は激しく乱れる御子姫をもっと見ていたくて、言われるがままに指を入れて(なか)の膨らみを激しくこすり続けた。下に敷いた浴衣がぐっしょり濡れるほど汁が飛び散った。



若い戦人の中には奨弥のことを知らない者も多かった。

奨弥が失踪したのは三十過ぎくらいなので、同年代の輪紋衆の中にはまだ厄年前で現役で出陣している者達もいた。そういう者達からすると、奏司の出現は複雑であった。


当時、御子姫は総代の座をめぐり奏家の実権を握っていた将隆と話し合った末に、神守となった奨弥の息子を本家本元の血筋であるという理由で、ゆくゆくは総代の座につけることを確約した。


将隆が存命中であれば、その力の前に、影で何か言う者は現れなかっただろう。

かつて総代であったとしても実力は伴わず、その座を放棄し一度は失踪した、神守(かもり)に堕ちた者の息子である。

だが今や輪紋響紋衆にとっての実力者は、二度の大戦で成功を収め、表向きとの折衝もそつのない、御子姫であった。


ただ、将隆の目に見える形での恐ろしさなど、御子姫に比べれば知れているということは、誰も想像だにはしていなかった。


双子の(つい)の祝宴には、両家の親類縁者が集まった。御子姫にとっては重要な次代を支える家の者達であった。

双子の家の方は皆、御子姫の出自をよく知っており、一族の中でも最も近しい存在である。だからこそ、奏司の紋の見事さや、その他対(つい)としての力量も伝わっていた。


御子姫と奏司は、宴の初めから出席した。一の段に双子の対を据え、その両横に奏家側には奏司が、響家側には御子姫が座った。


奏家側は皆分家筋の者達であった。駿英、駆成(かいせい)兄弟は奏家の中でも随一の力量の持ち主であったが、分家筋でも末席に近かった。本来なら家柄的には釣り合わないと言って良かった。

御子姫は本来実力主義であったし、肝心の双子の家がこの縁組を望んだ。それは輪紋も響紋も関係なく、本家筋に先祖返りが生じているのではないかという見立てがあったからだった。


祝宴が始まると、奏司は御子姫に教えられた通りに、御子姫が席を立って双子を祝いに行ったら、駿英兄弟を祝いに行った。

「駿英さん、駆成(かいせい)さん、おめでとうございます」

「奏司殿…」

「殿なしで、よろしく。若って言うのもなしで」

「あ、じゃあ、奏司さん、ありがとうございます」


徐々にお酒が入ってくると、分家筋の者ではあるが、さすが力自慢の揃った家筋である。皆が奏司の紋を見たがった。

奏司もまた、神守の出とはいえ、血筋は本家本元である。どれほどの力があって、総代として立つのか気にならないわけがない。

「御子姫が許すなら」


「奏司、上半身見せておやりなされ」

奏司は羽織を脱いで床に置くと、袖から腕を引くと着物の合わせから手を出して、襟をグイッと押しやった。右肩、そして左半身がすっかり現れると、おおっ!という感嘆の声が上がった。拍手がわっと湧き上がる。

心の臓を中心にして、右肩にも届く輪紋が上半身を埋め尽くしていた。

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