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ケガレの変容

奏司と豪鬼は、毎夜八時頃から輪紋を繰り出す特訓をしていた。剛拳から、輪紋を繰り出すのに必要な気の溜め方と、気を溜める容量の増やし方を訓練されていた。

奏司は飲み込みが早く、どんなに難しいことをさせても器用にこなしていった。豪鬼は天才肌というのか、感覚で覚えていた。その点では豪鬼の方が御子姫に近いものがあった。


剛拳は最初、御子姫から奏司だけでなく豪鬼にも教えてほしいと言われ、できるかどうか不安だった。御子姫はどうやら倒れた時に豪鬼の素質を見抜いていたようだった。

身近に競争相手がいるのは良いことだった。二人はただの競争相手ではなく、共通の目的を持った同志でもあった。御子姫を守るのは自分達だという意識が芽生えていた。


外で訓練が終わったら、今度は家の中で戦法の勉強をしていた。豪鬼は、囲碁や将棋が強かった。我流で勝ち筋を見出していくのだ。それを受けていくうちに、奏司は記憶し豪鬼の勝ち筋を先手で防いでいく、すると今度は豪鬼がまた新しい勝ち筋を見出す。教則本なしでやることが、二人には楽しかった。


(ケガレ)との戦では、臨機応変が求められる。もちろん、剛拳との駒を使った盤面での戦法のやりとりも、二人には初めてのことでおもしろがっていた。それにも豪鬼の閃きは、一見めちゃくちゃなようで理にかなっていることが驚きであった。


二人が御子姫のためにきのこを取りに行っている間、御子姫は里長とお茶を飲みながら話していた。

「二人とも、たくましくなりましたな。先が楽しみでしょう」

「そうじゃの」

「豪鬼は化けましたな。奏司という良い手本を得て。互いの天賦(てんぶ)の才が刺激しあって花開いておりますよ」

「そうか、それは楽しみじゃ。頼もしいな。この先の戦は難しくなっていくじゃろう。恐ろしい(ケガレ)が現れよったわ…」


御子姫は里長と話し合った結果、今まで御子姫と同じように出陣していた異形衆の出陣を、次に里を訪れるまで休ませることにした。

一週間はあっという間に過ぎる。

二人は別れ際に、昨晩書いたという手紙と、山へ栗拾いに行って取った栗で作った渋皮煮を渡した。

「甘いの好きでしょ。無理はしないで」

奏司のそっと遠慮がちに抱きしめる、別れの挨拶が御子姫には散歩時の告白が思い出された。


帰りの車中で、御子姫は二人からの手紙を読んだ。奏司からは結婚誓約書なるものが、豪鬼からは囲碁と将棋の問題。

御子姫が手紙を 見ながら笑っている姿に、剛拳は奏司との関係性が一山越えたのを感じた。

「剛拳、帰りに(ケガレ)の研究をしとる(げん)のところへ寄ってくれ。報告書が出来上がってきとる」



神守(かもり)(げん)の報告書は、今までにないほど厄介な内容だった。

アカメの正体は、大河の水底(みなそこ)(よど)みに潜み、他の(ケガレ)に澱みから得た負の気を送り力を与える。それによって(ケガレ)が強大化し、巨大化している。ザコと呼ばれていたものが、一匹ずつが巨大化することで大きなうねりや波を立てて、船の安定性を損なわせる。運航にも支障が出る可能性がある。


ザコ以外にも、トグロの巨大化は船の動力部、機動部に巻き付かれることで、船が動けなくなることが起こった。これから考えられることは、イタチに関しては巨大イタチによる側面からの体当たりで船が転覆する可能性。カマに関しては巨大なカマで帆が切り倒される、船自体が切断で損傷沈没する可能性。


今以上に強力な輪響紋による攻撃が必要。アカメは決して水底から上がってくることはない。祓うためには、水面のザコの壁を切り裂き水底のアカメへと到達できる強力な一撃を狙い撃ちする必要性がある。アカメへの攻撃に失敗した場合の危険性、アカメは元々大型の(ケガレ)で水底から船底めがけて浮上するだけで船が転覆する可能性が大きい。アカメへの攻撃には、遠方からの大砲(おおづつ)が有効。


あのザコでさえ、巨大化して数にもの言わせて押し寄せられたら、津波のように(せき)を越えてくるかもしれない。大河は絶えず波立ち、船を大型化しないと波だけで持って行かれる。

今はまだそこまでの兆候はないが、アカメを見つけるたび一つずつ、確実に仕留め祓っていかなければ、放っておくことは驚異へ直結する。


ーー大砲(おおづつ)が必要じゃ、それも数が!


今、大砲が撃てるのは、双子の(つい)と御子姫と異形衆、気を集めて強力な一撃で祓うのは、かなりの消耗戦になる。短時間での出陣を休み休みしなければ、気力が持たず気枯れを起こして(ケガレ)に容易に呑まれてしまう。危機的な状況にすぐに陥るのが目に見えている。


眴による報告書は、まず上部の者達にのみ公開され会議が開かれた。今はまだ五年大戦の真っ只中である。影響は最小限に控えたい。

「どうじゃ」

「どうじゃ、じゃないですよ!これは大変なことになりますよ」

(となえ)、落ち着いて考えてみてくれ、一の大将がこれしきで動揺してどうする」

「そう仰られても、姫様。大砲(おおづつ)が使えるのは数えるほどしかおりません」


「先のことは考えるな。今の大戦をどうするかを考えてほしい。とにかく、事故が起こらぬよう、終わらせたいのじゃ」

「御子姫殿の御力を拝借できるなら、大将が大砲を撃ったところへ間髪入れず大砲を撃っていただく。これなら、水底のアカメへと届くかもしれません」

駿英(しゅんえい)の案に御子姫は頷いた。

「もちろんじゃ、頭数には入れてくれ。そうそう、言うのを忘れておった。当面、異形衆の大船は出陣せぬ。一月(ひとつき)ほど、よろしく頼む」


今回の大戦(おおいくさ)の目的は、水面を跳ねるカマ、大カマの掃討に加えて、水面から上に害をなす(ケガレ)を、できる限り押し並べて祓うことにある。そこでアカメと一戦交えるにしても、物見(ものみ)が見ただけの資料では、実戦でどのような急変が起きるかわからない。

「アカメを狙うのは、遠方から様子を見つつ行う。アカメは大きい。底におるので底まで術が届かねば意味がない。最初は私の采配でやってみよう。その後にまた会議じゃ」



双子と対は、今日は台所改修の打合せのため、元奏将隆の屋敷へ行くことになっていた。美琴が水回りの改修には立合いたいと、譲渡する際に約束していた。今回で二度目の顔合わせである。

二組の対、つまりは夫婦が住むので、大規模な改修をしていた。台所も別々にするかどうかで話し合っていた。結局、美琴の提案で、四名でも料理ができるよう台所も大改修することとなった。


以前将隆の自室だった場所は風呂になっていた。どうやら一階と二階とで住み分けるようだった。一階は言葉(ことは)が、二階は(となえ)がお互いの(つい)と暮らす。

美琴は改修の打合せが済むと御子姫に会いにいった。(となえ)と駿英は今夜の出陣の準備もあるため帰っていった。


「やっぱり、なんか奥様は迫力あるな」

「お風呂このまま使うのって、笑われちゃった。でも、檜風呂の手入れとお掃除してくれる専門の業者さん紹介してくれはって良かった!」

言葉(ことは)駆成(かいせい)は非番だったので、ついでに改修の進み具合を見て回ることにした。二人は新しく出来上がった自室に入るとドアを閉めた。一角に真新しい畳を入れた六畳の和室を作ったのだ。草履を脱いで言葉が入ってみた。障子を閉めると、薄明かりがちょうどよい。

「やっぱり畳がいいね。井草のいい香り」

駆成はごろんと寝転がると、これがいいよねと相槌を打った。横に座っていた言葉を引き寄せると、駆成は抱きしめた。

「まだ部屋の外に工事の人、いてはるよ」

「声を出さなきゃいいんだよ」

駆成が口づけながら、くすくすと笑っている。

「もう、そう言って意地悪するくせに」

駆成は後ろから袖の脇の身八つ口から手を忍ばせると、言葉の乳房を揉んだ。ちょっと乳首をいじってやると、言葉はすぐに声を漏らし始めた。

「あん…もう、ほんまいけず…」

「そう、そうやって時々出る訛りがいいよね、言葉は」

「あん…ん…ぅん…ぁん…ぃぃ、ぃん!…ぁん、ぅん、ぃぃ…」

駆成は着物の裾から手を入れ、股の間を指でいじっていた。

「言葉は、ここいじられるのが、ほんとに好きだよね。これって着物用のショーツ?もう湿ってきてるよ。ねえ、どうしてほしい?」

「あん…舐めて…ください…あ、あん、あぁぁ…」

駆成は着物の裾を少しはだけさせ、ショーツを脱がせると股の間に顔をうずめた。舌で言葉のあそこを舐め始めた。

「ああぁん…ん…うん、あん、あ、いいん、あっあん、あい、い、いん…きもちい…」

「言葉のここは、まぐろの身みたいだね。やわらかくてとろける…美味しいよ」

言葉は恥ずかしさで真っ赤になりながらも、うっとりとした面持ちをしていた。喘ぎつつ、脚がひくひく動いていく。

「あん、あぁ、いい!あぁぁ、ん、ぅん!」

「ここ、ぷっくりしてひくひくしてるよ、すごく感じるでしょ、もっとしてあげる」

「あん!だめぇ、もぅ、いっちゃう!いい、いく、いくうっ!いくっ!」

脚を痙攣したようにひくつかせていた。

「そんな声出すと、聞かれちゃうよ、その恥ずかしい声、いいの?」

「だって…声出ちゃう…」

言葉は駆成の大きく膨らんだ股間をさすりながら、ベルトを外してズボンを脱がし始めた。駆成も、う…っと声が出る。言葉はそそり勃った物を撫でさすりながら、口に含んだ。

「う…あっ…あっ…」

しばらくしゃぶられていると、駆成は我慢できず言葉を仰向きに押し倒すと、着物の裾を大きくまくり、一物を言葉の(なか)にずぶりと入れた。

「あああっ!ああ、はぁ…あああ…っっ」

奥まで入れられて、大きな喘ぎ声が出る。はっと気がつき口をふさぐけど、駆成が腰を振るたびに、あんっ!あんっ!とよがり声が出てゆく。

「ここもこすってあげるよ。いつもこすってって言うだろ」

そう言うと唾を垂らして、言葉のぷっくり膨らんだ芽をくちゅくちゅこすってやった。

「ああん、だめぇ、もういく、もっとして、ああん!いい、きもちいい、いっくっ!」

「うん、いくよっ!いく、いく、いくーっ!!」


言葉(ことは)は十七、駆成(かいせい)は十八、御子姫に(つい)の挨拶をして間もなく、どちらからともなく求め合い、大戦に入る前に血の契りを済ませていた。もう何度もこうして逢瀬を重ねている。そのおかげもあるのか、言葉と駆成の対は術を繰り出す息遣いがぴったりだった。

その後二人は、工事の音が聞こえなくなる夕方まで、もう一回もう一回と求め合った。

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