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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター9「魔王軍」
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83話「人魔大戦」




 「。」


吹き荒れる風。嵐が向こう側からやってくるみたいに、目前には魔族の大軍勢。ほとんどが取るに足らない的だとわかってはいるが、どうにも気押されている自分がいる。


 「天馬。」


夏の声に振り返る。準備は万端だ。隣にいる靁も今じゃ傷一つ見当たらない。


 「………」


手に持った。オーブ方の魔術秘宝"スワップ"は輝きを失っていない。これがあればあの失歌姫の歌声の中でも戦える。俺たちが今から起こそうとするのは、真の大戦でそしてその終結だ。


 「いくぞ、出陣だ───ッ!!」


掛け声と共に剣を抜いて、まっすぐ魔族領の前線に広がる魔壁へと一直線に駆け出す。同時に魔族の大軍勢が飛び、地を駆け、使役魔獣を解き放ち俺たちに向かってくる。その中でも一際大きな影がいくつか、おそらく魔王直属の魔族将軍。大きい体のものや、小さい体のもの、それぞれが特徴ある師団を率いてこちらに向かって対応する。


 (正治は、、!!)


いた。だがその表情はかつての味方を見ているような優しいものじゃない。いや、わかっていたはずだ。アイツはもう勇者じゃない、俺たちの元を離れた元仲間で今は敵の身、それ以上でもそれ以下でもない。


そう思い直せば、きっと戦える。


 「プロヴィデンス・ブレインド───サンクリットプロミネンスッ!!」


神聖を解放した夏が前方に飛び立って、太陽を召喚するそしてそこから放てられる灼熱をも超える無数の熱線が前線にいるすべての存在を焼き払う。


数多くの魔族達が死ぬ中、一際大きな存在感を放つ魔族将軍達は飛び立ち、俺たちの前に立ち塞がる。


 「やっぱりそう簡単にはいかないわね。」


 (………バークーサー、他にも四人。。正治は、、どこだ?)


アイツも立ち位置的には魔族将軍のはずだ。さっきまでいたことが確認できたのにここにはいない、夏の魔術で死んだ可能性はほぼない。となると、


 「───二人とも魔術秘宝を使え!!」


俺が叫ぶと、夏は戸惑いながら、靁はすぐ理解して魔術秘宝を使用した。そして使用した次の瞬間。


 [────luaaaaaaaaaっ!!!!]


戦場に死の叫び声が響き渡った。大地は揺れ、建物はその音波に当てられ崩壊生物はことごとく死んでいく。そしてそれは魔族将軍も同様だった。


 「っがああぁぁっ!!!!」


 「ぁ、ああああああああああああっ!!!」


 「あのっ!ウチムラ─のッ野郎があああああっ!!!!!!!」


バークーサーたちの叫び声が聞こえるもそれはすぐに失歌姫の歌声によって潰され、魔族将軍達は無差別攻撃の歌を聴き体全身から血を吹き出し、ボロボロと肉体が崩壊していく。最後まで原型を保っていたバークーサーもみるも無惨な姿になりこれによって魔族将軍は壊滅した。


 「っどう言うこと!味方でしょ!!」


 「───味方でも、目的のためなら。裏切る。それがウチムラショウジのはずだッ!」


 「正治……ッ!」


失歌姫の歌声は数十秒間続いた。だが俺たちはそれぞれ魔術秘宝を持っていたおかげでそれらを難なく回避することができた。

あらゆる攻撃を跳ね返す、魔術秘宝"カガミ"

とあらゆる攻撃を吸収する魔術秘宝"ウズ"

とあらゆる攻撃から身を守る魔術秘宝"カベ"

の三つ。


それぞれにで非なる防衛型の魔術秘宝。カテナが俺たちに託してくれたおかげだ。だが魔術秘宝を使ってなお歌声とそこからくる衝撃波のような副産物まではギリギリ防ぎきれなかった。


それほどこの失歌姫の歌声っていうものは全てを破壊するに等しいほどの能力だといえる。


 「なんだ、まだ生きていたんだ。」


 「───ッ」


 「内村。」


 「正治。」




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