75話「関門」
「このまま突っ込むぞ!」
聖騎士達を軽くあしらった俺たちは、残りの負傷している奴らのことを気にも止めずに、城内へ進軍。過去の記憶を頼りに複雑な廊下を駆け巡り、最短距離で国王がいる王の間へと駆け出す。
「いたぞ!勇者だ!ここから絶対に通すな!!」
「天馬!」
「あぁ!」
そこを対策されていたのか、道一派には聖騎士達の群れが存在していた。俺たちはそんな相手に遅れを取らないとわかっていたからか、まっすぐに突撃し、その分厚い肉壁を蹴散らして進み続けた。
聖騎士達の力はまるで下級魔族のように貧弱だった。それこそオリジナルとコピー品の格の差を見せつけてしまっているように。
(…………。)
俺は靁と少し前に話していたことを思い出す。あれはまだ靁の体が完全に回復しきっていない頃だった。
『靁、聖騎士ってあれって?なんなんだ、普通の人にしては強いよな。もしかして、クリンタルみたいな………』
聖騎士達が跋扈する街中で屋根から偵察をしていた俺は靁を懐に忍ばせて質問する。
【いや違う憶測だがあいつらはお前達勇者の持つ神聖を一般人でも使えるようにした存在だつまりは量産型の勇者ってところだ】
『量産型の、』
【差し詰め勇者が使えなくなった時のことを考えて聖騎士なんてのを作ったんだろう元は人間でも少し戦えば本質が見える魔術による精神操作星戦争って映画のクローン達ってわかるか?】
『。。。そうか、つまり今の俺たちはオーダー66のジェダイってことか。』
【たとえ方がこんなので悪いがそういうことだあいつらは元からそうだったが聖騎士は一般人に強化を施してああしている神聖を持った強力な人に仕立て上げているだがな本来神聖を持たない人間に神聖を持たせるにはリスクがある】
『それ、俺たちにも同じこと言えるよな。』
【あぁ勇者の場合対魔術の耐性が高いだから耐性が弱い一般人を洗脳して聖騎士に仕立て上げているそれも見えない範疇でだたぶん奴隷なんかを使ってるんだろうな戦ってて個体差があった】
『……最低だな、どこまでも。』
【だから俺たちがなんとかしなくちゃいけないそうだろ?】
『あぁ、当たり前だ!それで、靁。そいつらを救う方法は?』
俺が靁に質問すると靁は手のひらサイズの紙に何を書くか少し手間取っていた。書いては消して書いては消して、動きから既にその苦悩が見ていた
【わからない洗脳状態が解けたとしてもあいつらが報われる方法は平和に生きるかそれとも戦場で死ぬかの二つだ】
『………神聖を持つ人間。なんて、危険だから?』
【あぁ勇者はその力による代償も過程も理解しているだが普通の人が持つにしてはこれは行きすぎた力だ誰もが銃を持つ世界では平和は永遠に訪れない必要なのは誰かが銃を持つ世界だ知らない人間は一生そんな苦しいこと知らなくて生きれるようなそんな世界が】
『差は対立の元って、いつかお前が言っていたよな。』
【よく覚えているな】
『そりゃ、親友だからな』
【とにかくこれは国王の横暴だ確かに人を強くさせることは最終的には平和につながるかもしれないただその先にあるのは力あるものだけが統治する混沌な戦争だけだ】
『魔族と同じ。いやあいつらよりもっと不当で残酷な世界、そんなの作っちゃいけない。世界は誰かのためのものじゃなくて誰のものでもないものじゃいけないよな!』
【そうだ】
靁の返事を聞いた俺は下にいる聖騎士達を見た。その鎧は俺に負けず純白なものだったが、その兜は決して外せないほど強固のようなものに見えた。息をするのもままならないほど固く、開けることすら許されないような鉄壁の仮面
『靁。』
【なんだ?】
『もし、あの聖騎士を助けられるんだったら俺は助けてみたい。望んでそうなったとか望んでそうなってないとか関係なく。俺は、、』
【全てが終わったら夏に相談してみろ時間はかかるかもだがなんとかなるのかもしれない】
『あぁ!そうだよな。』
靁の言葉に俺は喜んだ。靁が言うんだきっと間違いないはずだ。あの聖騎士達の兜の下がどうなってんのか俺は全然知らないけど、でももし助けてって言ってるなら助けたい。だって勇者とか関係なく、それは俺がずっとやっていたいことだから。
【ただ天馬覚悟しておけ世の中には変えられるないものだってこの世界にはある】
[ガァァン!!!]
鋭く地面へと差し付けられた剣、一人の聖騎士団長が王の間を上がる階段の前で立ち尽くして俺たちを待っていた。聖騎士ポルネス。
俺はその立ち振る舞いから、靁の言っていた言葉を思い出していた。あぁ、そうだ。
(靁の言っていたことはいつだって間違い無いんだよな。)




