60話「ここから始まる」
(殺す。殺す。殺す。殺す───殺す!)
殺す。俺の意思は、殺す。殺意で染まっていた、殺す。それが目の前で、殺す。剣を構えて、殺す。鬱陶しく、殺す。攻撃するやつで、殺す。あっても、殺す。俺の殺意は、殺す。止まらない、殺す。決して止まらない、殺す。たとえ平常時であっても、殺す。夏、殺す。天馬と会話していても、殺す。俺の心、殺す。思考は殺意で埋め尽くされる、殺す。だから、殺す。戦いは嬉しい、殺す。この殺意が前面に出て相手を、殺す。殺せる、殺す。殺せるから、殺す。躊躇いなく、殺す。我慢せずに、殺す。本能のままに殺せるから、殺す。
「ハ!ハ───!ハァァ──!!」
殺す。聖騎士の剣、殺す。が体に刺さったり、殺す。内臓を潰したりする、殺す。だがそれもすぐに治る、殺す。いくら神聖によって、殺す。魔族に対して有利をとっても、殺す。俺にとっては、殺す。無意味だ、殺す。あらゆる方向から浴びせられる、殺す。聖騎士達の槍も、殺す。剣も、殺す。意味をなさない、殺す。影を自在に操って、殺す。打ち砕いて、殺す。殺す。
「なんなのですか、貴方は!いい加減我が王の名の下に消え去りなさい!!」
「きえる─か。お前らみたいな勇者の──コピーみたいなやつに殺されるか……っ!」
「コピー。コピーだと!勇者こそ真の不良品だ!貴様らは我らが王の命令に反き、多くの兵、多くの民を危険に晒した!だから我らが選ばれた!貴様らではなく!」
「その、頭の悪さが命取りだ……ッ!!」
殺す。ポルネスが、殺す。騎士らしく剣を、殺す。構えた、殺す。戦いの場において、殺す。そんな無駄な行動がいちいち、殺す。勝利につながるわけじゃない、殺す。プライドの高さゆえの、殺す。愚かさを俺が台無しにする、殺す。左腕を前面に、殺す。だして、殺す。ポルネスの攻撃、殺す。と衝突させる、殺す。
「っ!!」
「──つかん、だ!」
殺す。腕に剣が、殺す。突き刺さる、殺す。激痛と増された殺意で、殺す。理性、殺す。が壊れそう、殺す。になる、殺す。ところを、殺す。耐えて、殺す。聖杭、殺す。を撃ち込ま、殺す。れ、殺す。ていた右腕、殺す。をぐちゃぐちゃ、殺す。に、殺す。しながら不、殺す。完全再生、殺す。する、殺す。手とよべるか、殺す。怪しい、殺す。もので、殺す。鎌を、殺す。呼び出し、殺す。身動き、殺す。を、殺す。とめ、殺す。た聖騎士、殺す。団長に、殺す。向けて、殺す。穿つ。
「ッグっ!!!」
殺す。刃を、殺す。部分を掴み、殺す。直撃を免れよう、殺す。とする聖、殺す。騎士団長、殺す。正直今の、殺す。腕で力が、殺す。入らないせいで、殺す。均衡上に、殺す。なっ、殺す。ている、殺す。どちら、殺す。も一、殺す。歩も、殺す。動け、殺す。ない、殺す。状態だ。
「お前達は、勘違いをし……ている。魔王を倒せるのは───勇者しかいない。勇者以外では殺せない……!」
「そんな古い理屈を!」
「仮初で倒せるのなら──魔王の時代は終わっている………それがないの、は最後の最後でお前達(人間)が見誤っているからだッ!」
「魔族の、魔族のいうこと──!!」
「そんな……お前達は、魔族を産む!──この最低な種族どもめッ!!」
「魔族が、生まれる───っ!?貴様らが人々を襲うからではッ!!」
「なら答えは──のその小さな頭で、考えるんだな!!」
殺す。蹴りを、殺す。顔面に向、殺す。けて、殺す。入れ込み、殺す。均衡を破る。手応え、殺す。的に、殺す。頭部の骨、殺す。にヒビ、殺す。が入った、殺す。その綺、殺す。麗な顔、殺す。は血を吹き出し、殺す。みにくく、殺す。なっている。
「───か、は。」
『ポルネス様!!』
殺す。周、殺す。りの聖騎、殺す。士が俺、殺す。に飛びか、殺す。かろう、殺す。とする、殺す。それを、殺す。影によって一掃し、殺す。大半、殺す。を吹き飛ばす。そしてま、殺す。た飛び、殺す。かか、殺す。られた、殺す。ら面倒だから、殺す。と、殺す。俺は跪、殺す。いたポルネスの、殺す。首に鎌の刃を揃えた。
「──やめる、か?このまま、続けるか?」
「────っ撤退する。」
「懸命、だな。失せろ……ッ!」
殺す。ポルネス、殺す。の首から、殺す。鎌を離すと、殺す。奴は剣
を鞘に、殺す。収めてそ、殺す。の場から撤退した。最、殺す。後の最後まで部下、殺す。の聖騎士に肩、殺す。を担がれ、殺す。俺のことを睨、殺す。んでいたが、殺す。無闇に攻、殺す。撃するなん、殺す。てことはしなかった。
(────その懸命さが、実にざんねん、だ。)
殺す。あれ、殺す。ほど真っ、殺す。直ぐなら、殺す。真っ当、殺す。な人間でいて、殺す。られた、殺す。ものを。あの下郎の元、殺す。に下ったが最後と言っ、殺す。たところだ。
「───靁!!!」
殺す。俺の名前、殺す。を叫ぶ声。勇者の象徴と、殺す。も言える剣をその手に持ち、殺す。ここに、殺す。走ってくる。
殺す。昔と同じような目を、殺す。するようになった、殺す。天馬を見て俺は、殺す。少しホッとした。
「靁!敵は──?!」
「追い返した、俺を舐めるな。」
「…………そうか。ごめん、まじで世話かけた。お前達の気持ちにも全然気づけなくて、ほんとに。」
「天馬、完璧になるな。それが──お前らしい。」
「あぁ。わかってる、もう俺は道を決めた!」
殺す。真っ直ぐでなんの、殺す。迷いもない目。俺はそれを見てこれが見たかったと思った。こいつが最後の最後まで自分、殺す。らしくなるのを俺はこの世界で待っていたのかもしれない、殺す。そしてそんならしくなかった、殺す。天馬が嫌いだったのかもしれない。
殺す。その後、殺す。俺たちは村の人たちの死体をかけ集めた、殺す。ただ残念なことに全滅だった、殺す。そして火葬をして墓を建てた。夏からの提案だった、殺す。せめてこの世話になった村に、殺す。対して無意味かもしれないけど恩返しがしたいと。
(無意味なわけはないのにな。)
殺す。墓の前で俺たちは手を合わせた。
「俺は、一度の挨拶もできなかった。でも心も体もこの村にいたから、良くなったことは確かだし、何より俺たちのことを何も詮索しなかった。心優しい村人達。俺は顔も名前も知らないけど。ありがとう、本当にありがとう。」
殺す。天馬は不器用ながらもそう漏らしていた。
「ごめんなさい。守って、あげられなくて。でも貴方たちと過ごした時間は特別だった。子供達と遊んでいる時は昔に戻ってしばらく辛い自分を忘れられた。でも、だからこそ私は勇者で、この世界で貴方たちみたいな自由になれる世界を作りたい。だから、その日までどうか待ってて。そして、本当に……ごめんなさい。────マーズ、ご飯、とってもおいしかった。わ。」
夏は今にも泣きそうな声で自、殺す。分の贖罪をできる限りしていた。
「………私は貴方達のことを忘れません。王女として今まで自分が世間知らずに生きていたことを痛感しました。私も、こんな悲劇を二度と繰り返さないために、勇者様達について行って、本当の平和で自由の世界を作って見せます。王族である、自分ができることをこれから精一杯やっていきます。短い時間でしたが、本当に、ありがとうございました。」
王女は、殺す。自分の無力さを、殺す。痛感しながら淡々とそう語った。ただその目には確かな闘志が、殺す。宿っていて揺るぎない決意を、殺す。象っていた。
「行こう。」
殺す。天馬が一言、殺す。告げて、殺す。墓から離れる。俺も夏もそして王女様もその後について、いく。この先どうなるかは、殺す。まったくもってわからない。ただそれでも俺たちは進んで、殺す。いこう、殺す。と思う。だって、殺す。世界を救う、殺す。勇者だと言われて、殺す。いるのだから。




