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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター6「心を持つ者達」
55/196

55話「戦争の渦中で。」





 「トーマス報告せよ。」


 「は。戦線は膠着状態、魔王軍に元勇者ウチムラが加わったことによって本来の進軍速度の約50%ほどの遅れが出ています。」


 「聖騎士隊でも難しいか。トーマス、別の策はあるか?」


 「そうですね………。」


お父様とトーマスさんの会話を除き聞いていた。私は話の内容に耳を傾け続ける。初めて聞いた時から、どこか変だと思っていた。お父様は聖騎士隊を作って勇者様達の手助けをしようと私に仰っていた。

でも、現実は聖騎士隊は逆に不要になった勇者様達をトーマスさんと一緒に攻撃した。


 (お父様……貴方のやり方は、、間違っています───っ!)


話は聞かされていた。勇者様達はこの世界じゃないところからきて、私たちの手助けをしてくれる。でもその後は捨てて、私たちが再びこの世界に君臨する。勇者様達は私たちの世界を着実に乗っ取ろうとする人たちだと。


 (でもそんなの、全然違う。本当は勇者様達はこの世界に無理やり来させられた被害者。本当は戦いとは無縁のはずなのに、私たちが呼び出して勝手に利用して勝手に捨てた。こんなの、どう考えたって間違っています……!)


私はお父様をら止められる力なんてない。だから、せめて期を伺って今もどこかに隠れている勇者様達の力になるしかない。


 「勇者をもう一度使って見てはどうでしょうか?」


 (!───勇者様達をもう一度使う…?)


 「どうするつもりだ。奴らの逃げ足は速い。見つけられたとしても、協力はしないだろう?」


 「簡単で、私が作成した強制魔術を使えばいいのです。これを使用すればどんな相手であろうと確実に手中に収めることができる、勇者がどれだけの耐性を持っていたとしても関係ありません。」


 (それは……奴隷と、何も変わらない!)


よくないことになった。急いで勇者様達に知らせないといけない。お父様達よりも早く勇者様を見つけないといけない。このことを伝えないと今度こそ勇者様達は!


 もう一刻の猶予もないって感じた私は旅支度を急いで整えて、昔城を抜け出す時に使っていた裏道を使って勇者様達を見つける小さな旅へと身を駆け出した。


 (勇者様!カテナが今参ります!!)






<──|||──>






 俺、魔族将軍パルワルド、そして大魔族になったウチムラの三人は魔王からの命令を受けるためにわざわざ王座の間に足を運んでやった。


 「ったく。どうしてこうなんだよ……」


 「それはこちらのセリフです。私としては貴方と組みたくないのですが。」


 「あぁ?喧嘩売ってんのか?」


 「そう捉えても、構いませんよ。」


剣に手をかけ、引き抜こうとする。パルワルドの方も杖俺に構え、後1秒あれば激突!って所で毎回邪魔が入る。黙っていたウチムラのやつが銃口を俺たちの頭に向けた。見えなかったわけじゃあねぇ、ただ意識外の行動に反応できなかっただけだ。


 「魔王様の御前に入る。無礼は後にして。」


 「………ッチ。おい、パルワルド。お前の研究成果さんは大成功で終わったようだなぁ?」


 「……えぇ。正直自分でも驚いてます。」


武器を納めた俺たちは扉門の前に到着。ゆっくりと音を立てながら扉が開いて魔王の前に立つ。


 「よくぞ来た。近衛魔将バークーサー、大魔族ウチムラ、魔族将軍パルワルド。お前達に新たな任を与えよう。」


 「あァ〜勿体ぶらず早く言え。」


 「──もちろんだ。バークーサー。お前達には勇者残党の捜索及び、殺害を命じる!」


 「おぉ、やっぱりアイツら生きてやがったのかよ。教えてくれてもよかったんじゃねぇか?」


 「すまないな。私も随分と意地悪でな。異論はあるか?」


 「ねぇ。」


 「ありません。」


 「……ライは?」


パルワルドと俺の返事を無視してウチムラのやつは直接聞いた。こいつはあのコーズと同じくらいの忠犬だ。でも、まだ強ぇから面白い…!


 「ライ。あぁ大魔族ユキシマライのことか、」


 「殺していいの?」


 「……任せる。」


 「わかった。」


魔王のやつ、あの死鎌のことさてはこいつと同様に仲間に入れてぇとか思ってやがるのか。俺は正直無理じゃねぇかな、とか思ってる。なぜかって?アイツは心の底から完全に魔族になっている、魔王が世界を手にしたいのと同じように、俺が面白え戦いをしたように、アイツは魔族を皆殺しにしたい。簡単に捻じ変えれるなんて無理な話だ。


 「それでは我が精鋭達よ。己が任を果たせ!!」


俺たち三人は魔王に言われた通り勇者の捜索を開始した。こういうのは普通ならクランクインのやつが大得意だとか思ってんだけどよ。でもまぁ、アイツは死者の蘇生に頭を悩ませてやがるっぽいから、今回は仕方ねぇか。


 「で、どうやって探すんだよ?」


 「策はあります。勇者達はそれぞれ特殊な神聖も纏っています。それは私たち魔族と反発する。必然的に長時間滞在すればたとえ神兵武装を身につけていなかったとしても、漏れが出るはずです。」


 「つまり?俺たちが気持ち悪くなる方に行けってか?」


 「そうなりますが、そうではありません。ここにちょうどクランクインが遊び半分で作った。神聖に向かっていく魔獣がいるので使いましょう。」


 「おいおい、アイツ変に便利だろ。」


俺は頭を抱えるしかねぇ。なんでクランクインは魔王のやつと同じで未来を見ているみたいな行動ができんのか。ま、遊び半分でって言ってるわけだから、真意なんてわかんねぇけどよ。


 「……行こう。皆殺しに。」




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