40話「取り戻す決意」
大規模な戦いが終わった。犠牲者の数と被害を頭の中でまとめながら俺は1人椅子に座って考える。
報告や、夏の証言から奏が生きたまま魔王軍に拉致されたことがわかった。つまり俺たちは目標を達成できなかった。もっと早く気づけばこんなことにはならなかったんだとおもってクソ後悔する。
それどころか夏は軽傷、正治は全身の骨が折れるほどの重傷。診断によれば生きているのは間違いなく勇者の力だと言われた。そして、靁は
(──)
俺たちが靁の姿を見た時、無事だったと安堵した。でもそれと同時に。
[ザシュ────]
アイツは自分についている魔族の腕をその大鎌によって切り捨てた。側から見てもわかるように痛々しい様子だった。ただアイツはそのことを一切触れてほしくなくて、そして気にするなと言っていた。
とりあえず治療を目的に連行はできた、でもきっと心を開くのはもっと難しいんだろう。今一番辛いのは間違いなく靁のはずだから。
「……………。」
どうすればいいのか、わからなくなって大きなため息を吐いた。ため息を吐けば解決策が思い浮かぶわけじゃない。ただ、今はそうしたかった。でもこの今が終われば。
(必ず、奏を助けに行く。)
だから今はじっと止まって力を貯める。奏は拉致されただけだ、きっとそう簡単にはやられないそう、信じて。
アイツらから奏を取り返すために俺たちはまた立ち上がって奏を助けに行く。
(待っていろ。奏、絶対に……!)
今度は絶対に手を届かせる。




