32話「神力に勝利を。」
「獅子王剣!!」
「オォォォォーーラッ!!!」
武器と武器がぶつかって、衝撃波が生まれる。
鍔迫り合いの中バークーサーの武器の操ってる剣が動けない俺に向かって攻撃をさかけてくる。
「暴風剣!」
一旦後ろに下がって自分を中心に竜巻を発生させる技で向かってくる剣を薙ぎ倒す。技の後隙を狙ってくるバークーサーとまた剣を交える。
「なかなかやるな勇者!!」
「まだ、こんなもんじゃない!!」
剣と剣が無数にぶつかり合って火花が散る。どっちの剣も刃こぼれはしない最高の一品。勝負がつくなら技量だけだ。
「海光剣!!風殺剣!!」
水と、風を纏った剣をバークーサーに向けて放つ。でも魔力を纏った剣によって攻撃は防がれる。
「今回の勇者ってのは多芸なんだな!!」
「っ今回の!!」
押し返され、また拮抗状態に戻る。バークーサーの一言が妙に引っかかって俺は口に出す。
「あぁ、なんせ俺は昔からの英雄殺しだからな。お前達が英雄とか祟っていた連中の大半は俺が殺してやった。ま、もう数百年前の話だけどな!!」
「っ!勇者を殺したのか!!!?」
獅子王剣の炎でバークーサーと鍔迫り合いを始める。
「あぁ、ただ───1人を除いてッな!!!」
これも、すぐに純粋な火力で弾かれてる。早く強い無空の型が再び俺を襲い続ける。
(剣の攻撃が激しい。アイツ、自分の心臓と頭が刺されない限りはどんな攻撃も防いで当たってもびくともしない。消耗戦じゃこっちが不利だ!)
バークーサーの操る剣はかなり厄介だった。本体に意識を向けた時に狙って攻撃を開始してくる。おかげで常に全方位を警戒していないといけないからゴリゴリに集中力が持っていかれ続ける。
「なんか考えてるらしいけどよ……死ぬぜッ!!」
「オォォォォッ!地仙剣!!」
周りの大地を動かして足場を作り、属性がついた剣で再び攻める。でもギリギリのとこ裏でガードされる。
「生真面目なやつだな!そんなんじゃ勝てねぇぞ!!」
「いいや、勝つ!」
「なら、この剣──捌いてみろぉッ!」
バークーサーの剣の数が増えて俺の周りを取り囲む。次の瞬間止まっていた剣達は一斉に俺の方へと放たれる。
「───使うしかないか!能力解放!!"プロヴィデンス・フォース"─────ッ!!!」
剣を前に構えて天に向ける。天から放たれる一筋の光が剣にあたり、刀剣を金色に発光させる。同時にあたりの重力が軽くなってバークーサーの剣の軌道がずれ始める。
「"これは人を指す世界の光!"神光力剣!!!」
剣から巨大な光が放たれてバークーサーを飲み込む。同時に向こう側にあった魔族の前哨拠点も一撃で粉砕して粉微塵にした。
光が消えて目の前が鮮明になっていく。攻撃は大地を抉ってバークーサーは姿を消していた。
「やったか?」
「─────うぉぉぉ!勇者様が大魔族をやったぞー!!」
[ザシュザシュ──ブシャァ!!!]
「そんなわけないだろ。人間共。」
バークーサーの剣が周りにいた兵士たちの顔や体を最も簡単に切断する。そしてみんなはすぐに生き絶えた。
「ッ!!バークーサー!!!」
怒りはあるだけど、そんなんが前に出たってどうにもならないのはもうわかってる。だから俺は剣を構えてバークーサーと再び対面する。
でもアイツはまるで降りてこない。もう戦う気がないみたいに。
「っは。ダメだな。つまんねぇ……神とかいうふざけたやつの力借りて戦う──俺はなぁ、嫌いなんだよ。お前もアイツみたいになれば、めっちゃ面白いんだろうなぁぁぁ………」
「───アイツ?」
「あー。言ってもいいが言ったらつまんねぇな。お前達が直に聞けよ。魔王に………!」
「!」
こいつの言っているやつは魔王なのか。魔王と勇者、だから比べてんのか、それとも何か他に理由があるのか?
「その前には俺と戦うかもだけどよ。そん時までにはもうちょっと面白く戦えるようになっとけよ、ゆーしゃ!」
バークーサーはそう言い残して満足げに空へと飛び立っていった。
「待て!」
俺のことば届かず。この日俺の率いていた部隊は7割の損壊を負って、作戦は成功、でも戦いは敗亡に終わった。




