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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター3「あるものがなくなる世界」
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24話「使者」



クローンド山の麓へとついた俺たちは目の前に聳え立つ雲をも超える山に唖然としていた。体感富士山とエベレストの中間くらいとか考えていたけど、何があったらこんな山ができるんだみたいな果てしない壁が今目の前には立ちはだかっていた。


 「ねぇ、ここ本当に登れるの?」


 「む、無理じゃない?だって人が登るような坂じゃないし!それに少し温度を測ってみたけど、明らかに人類が登れる寒さじゃない!」


夏と奏が2人で話している。正治は、あダメだ絶望している。今まで勇者パワーすげーとか言ってた俺でも、うん無理ってはっきりわかる。


最大の難敵は魔王でもなく、靁でもなく。この山だったのかもしれない。


 「……大丈夫です、落ち着いてください勇者様方。この山を登るために今日私はここに来たのですから!」


 「もしかして例の魔術ですか?」


 「はい。みなさまお手を。」


ここまで守ってきたカテナはそう言うと、俺たち全員で手を繋ぐことを望んだ。何かの準備かなと思いつつ俺達は輪になるように手を繋いだ。


 「〜〜〜。〜〜、〜……〜ー〜。ー〜ーー。」


王女様が小さな声で呪文を唱え始める。俺は夏の方にアイコンタクトを飛ばすが、首を傾げるような反応が返ってきた。あれは何を言っているかわからない、もしくは魔術の詠唱とはちょっと違うみたいと言っている感じだ。


そしてカテナが詠唱を続けると、足元に魔法陣が形成される。


 (あれ、この魔法陣。どっかで。)


そう思っているうちに俺たちの足元は眩い光で包まれ世界は一瞬で真っ白になる。


目が覚めたら、そこは何かの建造物の前だった。


 「……着きました、勇者の祠です!」


 「え……マジ?」


あまりのあっけなさに敬語を忘れた声が漏れる。


 「はい。」


俺の反応にノーコメントでカテナは答える。


 「そっ、ですか。」


俺は建物とカテナを見ながら戸惑う。本当にここが勇者の祠、ここで俺たちは新しい力を手に入れられる。こんな簡単に?そう思った。


 「───天馬、ついたのなら行かないの?」


 「え、あぁ。」


夏に服を引っ張られ、俺は目の前の祠の扉に注目する、そういえば今回なんか夏は急いでいるような気がする、ちょっかい出してくることは以前からあったけど、なんか服を引っ張ることが多い。もしかして新しい力を手に入れたくてたまらないのか?


 「この扉って、開く?」


 「扉なら開くと思う。」


 「いやそうじゃなくて。」


正治の天然ボケにツッコミを入れた後、扉に手をついて少しおくへと押してみる。

すると、手をつけたところから青白い線が扉の模様全体に波紋のように広がって、ガコンっていう大きな音の後ゆっくりと自動的に開いた。


 「スッゲェ。指紋認証かよ、」


俺たちは勇者の祠へとそのまま入っていった。


祠はなんかカビ臭くて神秘的な雰囲気だった。結構年代が経ってるはずだけど崩れているところ一部くらい。体感、元の世界の遺跡とか呼ばれている場所と同じかな?とか俺は思っている。


そしてそんな俺にカテナは勇者の祠の説明をしてくれた。


 「──勇者の祠は全体に神聖をまとった結界が張られています。そのため、魔族やそれに該当する魔の物は入ってこれないようになっているんです。」


 「へぇ、つまりここじゃ戦闘は起きないってわけか。」


 「はい、そして仮に入ってきたとしても防衛用のゴーレムが応戦することになります。でも、ご安心ください。ここは主神が作った聖域でありかの魔王ですら破壊ができない場所ですので。」


 「………あの、一つ気になっていたんですけど。神ってその──具体的にはどういう感じなんですか?」


この世界に来てから神の使徒だとか、神がウンタラカンタラとか聞いてた俺にとってはそもそも神ってなに?という案件だった、俺たちの世界には宗教があっていろんな神様の伝説とかあったけど、なんかこの世界の人たちのこと見てるとどうにもそうじゃない気がした、フツーに聞くのも辺な気がしたから、カテナにから聞けるかなと思って今聞いてみた。


 「主神はこの世界を作り。そして私たち、人間という生命を作った尊きお方です。そして勇者様は人間が危機に陥った時、現れる神の使いだと聞いています。」


 「そ、そうなんだっ──ですね。」


いや、そんな大層なもんじゃなくてただただ異世界召喚された一般高校生なんですけどとか口が裂けても言えない、カテナの俺に向ける眼差しってばいつもキラキラしてるし、なんか言ったら子供の夢壊すみたいになりそうだし。


 (うん、黙っとこ。)






<──|||──>






 祠を歩いて数分。俺は目当ての最深部へと辿り着いた道のりは極めて楽だった。おそらくだがこの祠には魔族なんかを退ける結界なんかが内外に張り巡らせれているんだろう。おかげで余計な手間なんかかけずに強くなれる。


 「あれか。」


本の内容に書かれている通り、目の前の祭壇の上には黄金に輝く球体があった。あれこそ勇者の力を底上げすることができるアイテム。

俺は階段を登り黄金の球体へとゆっくりと手を触れた。


 [バチィィッッ!!!]


 「っ!!」


触れようとした手が思いっきり弾かれ、麻痺する。今のは間違いなく拒絶の意思、まさか弾かれるだなんてとは夢にも思わなかったため俺は唖然とした。


 [ゴゴゴゴゴゴゴゴ]


そうしている合間に壁がゆっくりと動き出し、人形へと変わる。いや正確にはゴーレムといったところか。どうやらこの球体は俺が触れてはいけない物だったらしい、なんでだ?とは思うが今はそれどころじゃない。


 「…………」


武器を構えてゴーレムと対峙する。自分の数倍にもなる相手と戦うのはこれが初めてになるが、相手にとって不足はない。敵になるなら切り伏せるだけだ。




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