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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター6「イグニグラキエス」
152/199

152話「いざ、ドワーフの里に。」





 ここ最近色々ありすぎて忘れていたことがあった。カリスとサーノルドへの手紙、または報告書というべきなんだろう。本来ならもっと早くに送るべきだったが、次から次へとやることが舞い込んでくるとそんなこと忘れてしまう。ようやくいつもの日常に戻ってきたんだ、次また慌ただしくなる前にここで書いておかないといけない。


 「えーと、」


手紙の内容を書き始める。どこから言えばいいのやらとか考えながらとりあえず箇条書きにして出したものから順に書いていく。


槍のこと、

聖域の泉のこと、

グリンドルムのこと、


 「それとカリスと、サーノルドのこと。」


カリスにはサーノルド、サーノルドにはカリス。二人とも分野は違うかも知らないがどっちも竜力関連について調べていることに変わりはない。一文として書いておこう。もしかしたら意気投合して友達になれるかもしれない。


 (…。。)


いや、研究家のあの二人が友達って全然想像つかないな。まぁとりあえずそういう奴がいるということで書いておこう。気になれば向こうから送ってくる派だし二人とも。


 「こんなもんか。」


できた手紙を送る方法はギルドに行くこと、幸いもうすぐエルザードが起きそうな時間だ。ギルドで依頼を受けて今日を過ごすことも視野に入れて、受付で手紙を渡すとしよう。


 すっかり目が覚めたエルザードとエルフルを連れて俺はミィーナの宿屋に向かう。この時間帯なら流石に起きているだろうと見越してだ。パーティを組んだのなら仲間はずれにするのは良くない、できる限り行動を共にして依頼を受けたりするのがいいだろう。


 「ミィーナ、起きてるか?」


 「うん。」


扉を開けて出てくるミィーナ、彼女はすでに準備万端だ、後ろにいる大きな欠伸をした竜とは大違い。


 「行けるか?」


 「もちろん。エルザードはさっき起きたの?」


 「あぁ、なんなら今にも寝そうな勢い。」


 「流石に三度寝したから今日は夜まで寝んぞー!」


本当だろうかその割にあくびがまるで止まってない。


 「とりあえず目覚めがてらギルドに行こう。依頼を受けて運動すればしっかり目が覚める。」


 「本当におばあちゃんだね。」


 「なにおう!まだピチピチじゃ!」


ピチピチだったらじゃなんておばあちゃん言葉使わないんだけど。とか思いながら冒険者ギルドへ、朝書き上げた手紙を受付へと持っていく。


 「手紙です、お願いします。」


 「はい。承りました。あ、ゼルさんギルドマスターから伝言を預かってます、部屋に来て欲しいと。」


 「わかりました。」


プレンサから直々に呼び出しをくらう。呼び出された理由に関して心当たりはないがいくつか推測を飛ばすことはできる。まず一つ目、たしか辺境伯がドワーフの里で何か起こっていたとか言っていた。エルフの里の一件がある以上、似たように俺たちに回すために呼び出したと考えるべきだろう。そうじゃなくとも、普通の冒険者には回せない依頼であることに違いはない。とにかく行ってみることが大切だ。


 [コンコン]


 「ゼルです。」


 「入ってくれ。」


返事があったためドアノブに手をかけてゆっくりと開ける。


 「失礼します。」


 「失礼します。」


 「失礼するのじゃー。」


 「ピィー。」


 「多いな。」


俺たち5人の入室まで想定していなかったからか、プレンサは若干驚いている。5人も同じ部屋にいればあっという間に圧迫感が出てくるものだ。それにしてもプレンサは変わらない、いや前より多少柔らかくなった?


前は、こんなゾロゾロと入室しても何も言ってこない感じがしたけど、今はなんかツッコめるようになっている。いやコントができるとかそうじゃなくて、、


 「我らはパーティじゃからな。いつでもみんな一緒じゃ!」


 「なるほど。……そうか、」


プレンサはミィーナを一瞥すると安心したような顔をする。ミィーナがソロで活動していたことを心配でもしていたのだろうか?でもそれももう安心だ。


 「それで話というのは?」


 「あぁ、もしかしたら以前にクロージャーから聞いていると思うが、ドワーフの里での異常事態が大きくなった。ギルドを派遣しなくてはいけなくなったというわけだ。」


 「ほうほう、エルフの里となんだか似ているの。」


たしかエルフの里の時も最初は小さかったけど大きくなってギルドを派遣しなければいけないということになったという経緯があった。それに則れば今回も同じ展開に見える。


 「肝心の事態の内容は?」


 「ドワーフの里付近の異常気象だ。」


 「いじょうきしょう?竜巻でも起こっておるんか?」


 「その程度だったらよかったんだがな。それと、第一ドワーフの里に竜巻なんて怒りはしない。」


エルザードの言葉にプレンサは器用にに答える。まて、竜巻程度はもはや障害ではないのだろうか?怒らないにしても程度で片付けられる領域じゃない気がする。


 「改めてドワーフの里について話しておこう。ドワーフの里は地下にある溶岩地帯に位置する灼熱の里だ。私たち獣人族にとっては毛並みがチリチリになってしまう場所でな。」


やっぱりプレンサ冗談言えるユーモラスが出ている気がする。ていうのは本当にともかく。


 「だがそんな地帯だからこそ鉱石の採掘、および加工にはうってつけなんだ。この大陸においてドワーフが以外が作った製品を使ったことはないはずだ。」


なるほど、とんでもない熱が鉱石採掘と平温じゃ困難な加工を可能にしているわけか。ちなみに俺の槍もドワーフ製だったりするのだろうか?と疑問が湧いてくるが、パッと出てパッと消える槍を作れるのか?いや無理だろ。


 「だが最近ドワーフの里付近の気温が変化していてな。本人たち曰くマグマに活気がないや、全体的に火力が足りない。らしい、数値的な面で見てもここ近年じゃ異常とも言えるほどあそこの平均温度を下回っている。」


 「つまり寒くなっておるのか?」


 「彼ら彼女らからしたらな。私たちからしたらまだまだ暑い。」


平均温度が寒くなっている。ということはドワーフ達の仕事、にも影響してくるということか。さっきの説明を聞けば温度=仕事の捗りに関係する、ならば温度が下がれば鉱石の加工などもできなくなる。


 「それと、起こっていることは気温だけではない。鉱石の採取率も下がっているようだ。」


 「む?取り尽くしたとかではなく?」


 「私も専門家ではないからうまくは言えないがどうやらそこにあったものがない。という感覚らしい。」


 「???」


エルザードがついにわからなくなりすぎて、考え込んだまま黙った。俺もこれは理屈だとか数値的な問題以前にフィーリング的なアレがあると予想できた。


 「とにかく、普通じゃ起こってないことが起こっているっていうことでいいの?」


 「あぁ、もうその感じで構わない。」


 (ついに説明放棄した。)


プレンサも言葉を捻り出しながら語っていた。それほどまでに説明が難しいというか、なんとなく感が強いのだろう。まぁ気持ちはわかる、俺も自分の槍のことなんとなくしかわからないせいで今朝カリスへの手紙になんて説明すればいいのかといき詰まったほどだ。


 「これは臭うぞ、グリンドルムがいるに違いないと思うのじゃ!」


 「いて欲しくないんだけどなぁ。」


カリスの研究の役に立つことは結構なんだけどさ、ぶっちゃけあいつと戦うとか気が気じゃないのにも程があるし、何より大変。戦った後の神経疲労は魔物との戦いの比じゃない。それとエルザードお前は犬か?!


 「グリンドルム、君たちが遭遇した得体の知れない魔物のようなもの。だったか。」


 「うん!奴がいる先は厄介ごとで溢れておる!」


 「たしか報告書ではゼルの槍が有効だったのだな。」


 「まぁ。はい。」


自信なさ気に答える。あくまで結果論じゃ、はいそうです。なんて気持ちよく言えたものでもないのだ。だいたい、使っている俺自身が槍に対してあやふやで正確な情報を思っているわけじゃない。これも言ったら怒られるかもしれないが、さっきのプレンサと同じくフィーリング的な要素が大きい。


 「もしかしたら関係しているのかも知れないな。なら是非とも君達にお願いしたい。引き受けてはくれないだろうか?」


 「元から引き受けるつまりできましたから。受けさせていただきます。」


この手の依頼はお金をたくさん手に入るし、エルザードの未来の食費への貯蔵に使えそうだから」受けない理由にはならない。それとおもちろん人助けなら。


 「そうか、恩に着る。この手の依頼は君たちには任せる方が安心できる。」


 「我らを高く買っとるんじゃな!うれしぃの!」


 「話は以上だ。今回もよろしく頼む。」


 「りょーかいなのじゃ!」


 「ぁ、それとミィーナは残って欲しい。」


 「……わかった。ゼル、エルザードと外に出てて。」


 「わかった。」


ミィーナは何かを察したような顔をしていた。もしかしたら二人の内緒話だろうか。本来聞くべきではないんだろうが、パーティの隠し事もそれはそれでよくないと俺は思う、わけでー、つまりは気になったから少し扉に近づいて、聴覚強化の魔法で聞いてみることにした。


バレたらまずいけど、二人は獣人族。おそらくはバレないだろう。


 「───実は、顔を出していてな。」


 「そうですか。」


 「もしかしたら君のことを見たのかも知れない。これ以上隠し黙っておくのも限度がある、それにあの方はきっと君を連れ戻しにくるだろうな。」


 「………。」


 「だが君には色々と借りがあるからな、できる限りのことでやってみるが、」


 「大丈夫です。その時になったら、覚悟は決めているので。」


 「……そうか、なんとか彼らだけは味方につけたいものだが。」


 「無理ですよ、私はそれが嫌で出てきたんですから。」


話が終わりそうな気配がしたため、俺は離れてエルザード達の元に戻る。今の話し声的に何やら深刻な会話らしい。全く見当もつかないが、


 (でも、何か大事なことだよな。)


少なくとも生半可な話じゃなかった。きっとミィーナの人生に関わる話だ。あくまで予測だけど、わからないことだらけで碌に上手い考察ができない。でもいつか本人の口から聞けるなら聞きたい、だって俺たちは仲間で同じパーティだ。


隠し事をしちゃいけないわけじゃないけど、もし迷ったり苦しんでいるのなら相談して欲しい、もしかしたら何か力になれるかも知れないって思うから。


 (………でも、それでかえってミィーナを傷つけることになったら。)


俺は迷いながらもエルザードのところに戻った。今はこんな考え方しかできない。その時その時にならないとわからないことだってある。


でもこうも思う。その時俺は正しい判断ができるのかって。



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