138話「王都の図書館」
王都2日目、俺達は王都の図書館を訪れていた。理由は俺の武器について知るためだ。辺境伯の話では俺の武器に関すること、勇者という存在についてはここの図書館でわかるかもしれないって言っていた。
ちなみに今回は一人で来ている。エルザードがミィーナを連れて甘い店に行ってしまったからだ。なので仕方なく、今回は一人で本を探す。
目的はもちろん、勇者の本というか勇者という存在をしれそうな本である。
まぁ主目的はそれとしてレオーナとは比べ物にならないほど大きいこの図書館を探すのは大変だ。合間に気になる本を手に取りながら、探す。
「料理の本か。」
思わず手に取って読み耽る。中には多種多様な料理のレシピが書かれてある、豪華なものもあれば庶民的なもの、流石に流行的なものはないが俺の中のレパートリーが増えたことには変わりない。
趣味程度の料理だが夕飯でエルザードがまたこれ?とでも言った暁には大変なことになるのでレパートリーは多い方がいい。料理の美味しさというか飽きにくさが戦力を決定づけるともいう。モチベーションは重要なのだ。
「ぁ、ドワーフの本。」
文字は幸いドワーフ語ではなかった。よかったらあの魔法書のような感じじゃなくて。ちなみに手に取った理由は辺境伯がドワーフの里で何かが起こっていると言っていたからだ、もちろん行くつもりはほとんどない。それこそ観光とかいう気分でもないしな。
でもいつか行く時のために知っておくのは悪いことじゃないはずだ。
この本のおかげでドワーフのことについて知れた。ドワーフの里の場所もだ。
「これは、竜の本?」
著者はどうやらとある科学者らしい。竜の研究をしていてその第一人者のようだ。もしかしてこれを書いた人が辺境伯の言っていた人なのだろうか?発行年月も新しいし、場所も丁寧に書いてある。
明日くらいに行ってみるか。
「……さて、人間の本、勇者の本。」
本の表紙を見ながら一つ一つ探していき、関係のありそうな本を手に取る。ちなみに勇者に関して書かれた本は単品ではなかったらしい。そもそも最近知ったことなのだが人間と獣人が争っていた時期自体、もう1000年も昔のことらしい、獣人の一般的な寿命が150歳くらいと考えるといかに昔かがわかる。もうひ孫とかそんなレベルじゃない。
(それでも、人間のことをよく思ってないって常識があるのはそれだけこっちが悪いことをしたってことなんだろうな。)
1000年先まで恨まれる。相当なことだ。
「………。ぁっ!」
人間との戦争に書かれた本の中で少し勇者に関する話が出ていた。どうやら勇者は人間の中でも特段強い部類の人だったらしい、それこそ力では絶対に勝てないはずの獣人にも打ち勝ち、剣を振れば大軍を薙ぎ倒し、悪魔の力とも比喩されるほどの猛者であったとか。
極め付けは、固有の武器をその手に取り、武器から迸る力は当時の獣人やエルフなどの他種族に壊滅的な打撃を与えたようだ。
文字に起こされているだけでマシに見えるほどの地獄がその時は広がっていたのだろう。直系かどうかはわからないがその子孫である自分は胸が苦しくなる一方だ。
固有の武器に関する記述は、特になかった。剣なのか、斧なのか、弓なのか、具体的な特徴は何一つだった。無論その他の本にも書かれていなかった。
(……。)
もし自分が勇者なのなら?っと考える。周りの人たちからすれば自分は大勢の先祖を殺した滞在人になる。先祖が起こした罪は自分の罪でもある。
(……いや、今は考えるのをやめよう。)
答えが見えない。不確定なままで何かを踏み出すのは良くない行為だ。少なくとも今日の大きな収穫は竜の学者、そして人間の勇者の戦争とのことを知れた。
今のところはそれで十分だ。




