136話「王都到着」
護衛を初めてまた数時間、道中は緩やかも緩やか、外敵一匹たりとも出てこない中順調に進み俺たちは王都に向かった。
「……!」
ある丘を超えた地点からなにやら大きな建造物が見えてくる。石によって構築された大きな城壁、聳え立つ城壁に立つ無数の旗、そこに描かれる紋章が夕暮れの風になびきその偉大な都を映し出す。
一面を圧倒するほどの巨大な壁、右端左端へと永遠に続いていると錯覚してしまうほどの長さと大きさ。一瞬ただの壁なんじゃないかと思ったがその奥にある立派な居城が何よりもそうでないと語っている。
そう、あれこそが王都であった。巨大な城、レオーナとは比べ物にならないほどの大規模な街、そしてそれを取り囲む大きな壁。
その全貌は見えないものの話に聞いていた時よりもはるかに大きい。想定外であることは確かだ。
「んな、、あれが都市じゃと?」
「ありえないくらい大きいな。」
っと感嘆する感想が漏れる。
「エルフの里、ドワーフの里がこの大陸にある中で、獣人はこの大陸の半分以上を牛耳っていることになっている。それゆえに象徴として、一国家であることを知らしめるためにあのように大きいのだ。」
目を輝かせる俺たちに辺境伯が窓だけ開けて口を挟む。そうか、考えてみればこの大陸は獣人族の大陸でもある、しかしその活動圏の広さから故郷と言えるものは少なそうに聞こえていたが、確かに目の前に広がるあの都市であるのならば獣人の故郷といっても差し支えないだろう。
「さて、ようやく到着だ。王都フラッグリン。」
「………。」
(ミィーナ。)
辺境伯が意気込むように王都の名を口にするとミィーナはなんだか気を落とすように黙っている。これが気にかけてやらないといけない理由、何があったかは詮索しないけど、これはかなりいい思い出がないと見える。
「ミィーナ、大丈夫か?」
「…大丈夫だけど?」
「そうか。」
今のところは大丈夫だけど、王都での別々の行動は控えた方が良さそうだ。
そう思いながら王都に到着したものの、そこから念入りな入国審査が入ってかなり時間を取られ、結局都市に入れたのは夜であった。
「長かったのじゃァ!」
「あぁ、まさかあそこまで厳重なんて。」
肩を回し首を回しで疲労を出来る限り取り除こうとする。そんな俺たちを馬車に乗った辺境伯が近づく、
「ご苦労だった。それでは5日後にまた頼む。」
「5日後?」
「護衛は何も生きまでじゃない。帰りもしっかり護衛しないといけない。予定じゃ5日のうちに仕事が終わる。からまたその時、そうですよね?」
「あぁ、ミィーナ君のいう通り。だが気負う執拗はない、少なくとも4日間は自由行動して、この王都を目一杯楽しんでくれ。」
「わかりました!」
「それでは私はこれで…」
辺境伯を乗せた馬車は道を進み、街の中へと消えていった。至る所に明かりがついたこの街はまさにレオーナとは違い夜の街と評してもいいような見た目であった。
城壁からは決して見えない、ありとあらゆる人の営みがそこには広がっている。
「さて、宿屋を探さないとのぉ。」
「だな。ミィーナ!」
「なに?」
「宿屋を探しに行こう。」
王都では出来る限りミィーナから目を離さないようにしよう。今みたいになにかボーッとしている時がある、実に彼女らしくないのは多分何か深い理由があるんだろうと思う。だから、そんな嫌なことを思い出させないように、出来るだけこっちが気を遣って助け舟を出さないと。
「私は…」
「なんだ、まさか単独行動するつもりか?初めての王都なんだこっちは、わからないことだらけだけど知りたいことだらけだ。悪いが仲間として付き合ってもらう。」
「そうじゃ!そうじゃー!」
「ピー!」
「……!わかった。」




