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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター3「プログレス」
123/196

123話「依頼の説明」





 依頼を受けることになった俺達は改めて詳しい内容を聞くために後日、ギルドに向かった。紙に書いてある情報は実のところかなり少なく期限とタイトルと報酬しか書いてない。

きっと情報漏洩とかを防ぐ目的があるんだろう。詳しく聞きたいなら受けろというあのギルドマスターの魂胆を垣間見ながら俺たちは再び彼女のもとに訪れた。


 「さてさて、どんな話が待っておるかノォ」


 「なんか楽しそうだな。」


 「それはの!我はこう見えて知らないところに行くのがちょっと楽しみなのじゃ!」


 「知らないところってたって、昔はその翼でいろんなところに行ったんだろ?」


 「全く、お主はたまに気がきかんのぉ。確かにその通りではあるがそれも数万年前の話じゃ、我が知らない間に大陸が二つに割れておったのじゃぞ?地形の一つや二つがなんなら全部が変わっていてもおかしくなかろう!なれば、もうここは我が知っている土地などではない!」


 「たしかに。」


こんなにも身近にいるせいかエルザードが太古の生き物だってことを忘れそうになる。寝相は悪いしお腹はよく空くし子供みたいに元気だし、日常のエルザードを見ていると背景にある歴史を忘れそうになる。


 「─もう戻ってこないつもりか?」


 「?何の声じゃ?」


 「扉の中からだ。」


ギルドマスターの部屋の前に立った俺たちは中から聞こえる誰かと誰かの会話に耳を傾ける。盗み聞くつもりはさらさらない、ただ話している間に入室するのは個人的に気が引ける。話のタイミングを見て中に入ろう。


 「正直、この仕事には向き不向きがある。いつ死ぬかもわからない時だってある。私みたいに偶然あがった例外はある。明日もわからないような生活をすることは望んでないだろう?」


 「……それでも私は飛び出してきたの。もうあんなところには戻ったりしない、自分の力で自分ができるをことをしていきたい。」


 「……外から変えるのは困難で、だいたいの人はうちから物事を考える、多少の精神的苦難を考えながら確実に。」


 「それでも私はこの世界を自分の目で確かめたい、これは悪いことじゃないはず!」


 (この声は、ギルドマスタープレンサとミィーナか?)


ミィーナがギルドマスターに俺たちのことを話した件、そして今の会話。もしかしたらミィーナとギルドマスターにはただ親しい以外の何か関係があるのかもしれない?


 「……わかった。君の意思を尊重する、しばらくは誤魔化して見せるさ、ただそれもしばらくだ。」


 「…わかってます。」


二人の会話は円満に見えてどうやら影を残して終わったようだ。色々気になることはあれも今は。


 「失礼します。」


扉を2回叩いて入室する俺達、ギルドマスターとミィーナは顔を変えて待っていたという表情になる。さっきの話を続けるつもりも大っぴらに話すつもりもないようだ。なら、この話はこれで終わりだ。


 「さて、それでは偶然全員揃ったところで依頼の話をしようか。」


 「……これで全員かの?」


エルザードは頭に乗るエルフルからミィーナ、と俺という順番にキョロキョロしながら答える。


 「これで全員だ。」


 「ふむ。」


 (少ないのか多いのか、、)


経験が少ないおかげでよくわからない。ただ、異常事態の解決にこれだけの人数だけで果たして可能なのか、という疑問は残る。


 (集まらなかっただけなのか、それともエルザードとミィーナを高く買っているギルドマスターの判断なのか、わからないな。)


 「依頼内容は見てもらっていた通り、エルフの里の異常事態の解決だ。具体的にどういう異常事態が起きているかというと、世界樹の不活性化だ。」


 「不活性化?」


世界樹、たしかエルフの里にあるとされるこの大陸中に根を張る大きな木、エルフ達が使用する魔法の源ともいえるマナというやつを出しているとか。それが不活性化というと。


 「原因不明の不活性化によってエルフ達はこのところ魔法の調子が上がらない。」


 「ほう、それは重大じゃの。」


 「それだけじゃないさ、世界樹の不活性化によって与える影響は。エルフは世界樹が大陸に根を下ろしているからこそ、大陸全土に進出している。世界樹によるマナの供給が日常的に行われないのならエルフは必然的に里に籠るしかなくなる。つまりは貿易の遮断だ。」


 「ははぁ、エルフにとってマナは空気も同然。それがないとなれば確かに奴らは里に籠るしかなくなるな。」


そうなのか。俺が読んだ本にはそんな記述なかったが、でも確かになんかありそうな話だ。


 「……そうなのか?」


 「む?そうじゃないのか?」


 「……あー、エルザードの知識はかなり昔のものだからあくまでそうなのかもしれないってことで。」


 「なるほど。」


 「な、まるで我が嘘を言っているような言い方じゃないか!」


嘘っていうか、真実っていうか。実際何千年、何万年と経っていれば流石にエルフだって少しは進化するって考えになる。人だって昔は猿だったのが万年、億年かけて今みたいな知識をつけたっていうし、どちらにしてもエルザードの信用度は50%くらいだ。


 「ともかく。世界樹を何とかしないとエルフが大変ってことね。」


 「実際、大変どころの話ではないがな。エルフとの貿易が滞るとなると、最悪大陸全体に悪影響が出る。エルフの扱う特産品はどれも需要がすごいからな。」


今までとは違う。スケールが大きい話だ、失敗すれば多くの人たちを助けられないことになる。気を引き締めて取り組むべきだろう。


 「というわけで、君たちにはこの世界樹の不活性化の調査と、および解決を依頼したい。」


 「わかった。」


原因不明の異常事態。世界樹の不活性化。言葉だけ読み取るならとても大変な仕事になりそうだけど。エルザードや、手慣れているミィーナだっている。何もできない俺がお荷物になるかもしれないけどきっと何とかできる戦力のはずだ。でも、


 (なぜだろう、、それだけでは済まない気がする。)




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