12話「終わりを知らず。」
あの日から大体1ヶ月くらい経った。俺は色々なところを転々としながら、魔族に関する情報収集を行っていた。そして今魔族の前哨基地を壊滅させた。
「ナ、なんなんだァッ……お前は──!」
「…………質問に答えろ。」
大鎌を魔族に向けて尋問を開始する。こいつらは頭と心臓を潰さない限りは中々死なない。だから、場合によっては片腕をもいだりして情報を聞き出す。
「なんでここに基地を作れた?」
ここは人間の領地だ。本来ならここに魔族の基地があるなんてのはおかしいはず、だが近隣住民、そして情報から俺はこの基地を割り出すことができた。魔族にしては細々としていたため壊滅させるのは実に容易だった。
「ひっ。人間だ!お前達のナカに裏切りモノがいてココニ俺たちを呼んダ!」
「裏切り者?」
「ミナミのメイビェっていうトコの領主ダ!」
「………つまりそいつがお前達を人間の領地に呼んだんだな?」
「アァ、ソウダ────ッ!」
「そうか、死ね………。」
大鎌で一瞬にして魔族の首を刈り取る。随分とスラスラと話してくれたおかげで手間が省けて楽だった。
(つまりそいつが1ヶ月前の城への襲撃を手引きした人物である可能性が高い。)
俺はここ1ヶ月なにも目的なしに魔族をしらみ潰しに殲滅していたわけではない。いやもちろん途中まではそうだったかもしれないが、だが魔族を殺して、拷問して、次の魔族を探しているうちにとあることに気づいた。
それは城の襲撃のことだ。地図を買って、魔族の動きに関して観察しているうちに不自然な点が見つかった、それは奴らの襲撃があまりにも早すぎることだ。魔族は翼が生えていて移動速度が速い、しかしいくらなんでも魔族の領地から飛び立って人間の城に攻め入るにしては早すぎる。そしてこの前哨基地だ。
(かなり前から使われていた形跡がある。)
そしてここ以外にも魔族の前哨基地はあった。
ここから導き出される答えは魔族の達はこれらの基地から飛び立ち、城を迅速に攻撃できたのだ。そしてここにいた奴らはその残党ということだ。
(まぁそれも残らず潰しているからもう関係ないけどな。)
だがここで一つ問題がある。魔族の見た目は人間とは異なりかなり目立つ、それなのにここまで侵入してほとんどの人に知られていないのはおかしい。つまり誰かが魔族を人間領地に招き入れた可能性がある、裏切りだ。
そして今の拷問で具体的な奴が絞り込めた。
(城の襲撃、あの娘の仇をこれで本当に終わらせられる。)
俺は魔族の前哨基地を近くの街の衛兵に適当に報告して、南のメイビェという領地に向かうことにした。




