118話「冒険者になるぞー!」
冒険者になるために俺たちはある建物にきた。そこは冒険者たちが集う場所、拠点といってもいい冒険者ギルドというやつだ。聞いた話によるとここで冒険者登録から依頼の受注まで行えるらしい。
建物に入るといろんな人たちがいる。大半が武器を持って談笑したり老若男女問わず腕っぷしがありそうな人たちばかりだ。
(ちょっと怖いな。)
って一瞬思ったけど、隣に竜がいると考えたら意外とそうでもないかも?っと考えて受付までまっすぐ向かった。
「こんにちは!どのようなご用件でしょう?」
「冒険者登録を。」
「はい、かしこまりました!」
「。。」
なんだか冒険者登録って言葉を口にした瞬間、こっちに睨みをつけてくる奴らがいる。実際にそいつらをこの目で確認したわけじゃないのに、この邪気が俺には背後越しにでもわかる。
「では手続きをお願いします。お名前とどんなことができるかを。」
(面接……?)
っと思いつつ俺とエルザードは素直に目の前の受付の言葉に従って質問を返していった。個人的なことには何も踏み込んでないところを見ると、ミィーナが言っていた余所者でも大丈夫というのはかなり本当らしい、ただそれって余所者はダメなところが存在するってところなんだよな。
そして質問を終えた職員は身分証兼冒険者カードを作るために奥へと入っていった。その間何もすることがないのでただ待っていると。
「おいおい、」
(来たか…)
さっきから俺たちのことをじっと見ていた輩がこっちに向かってきた。数は三人。強そうな感じはしないが声からこっちを目の敵にしていることは伝わる。
エルザードもそのことがわかっているからか、前に出て今すぐにでも喧嘩腰になっている、だが俺は手でそれを静止。相手が仕掛けていない、そして俺たちは人間と竜、少なくとも余所者の中では別格の余所者だ。
正体がバレでもすれば間違いなく不利になる。
だから穏便に済ませる。
「エルフ、それとドワーフか?こんなところで何してんだよ?」
(正体はバレてない、か。)「何って、冒険者登録をしにきた。」
「ハっ、ここは赤子が来る場所じゃねぇんだよ。さっさと帰れ。今なら痛い目を見ずに済むぜ。」
(……武器に手をかけている。これは、完全に喧嘩腰だ。変なことは言ってないから多分最初から───)
「──なんか言えよオラァ!!」
「!」
武器を振り上げてから攻撃に移るまでは早かった。最初からこっちを攻撃することを考えていれば穏便に済ますなんて思考にはならなかっただろう。だが、俺はわかっている相手の剣が俺に当たるより早く俺の相棒が相手の武器を砕くということを。
[バ──ギィン!]
「、、は?な!」
「なんじゃ、これ。なんという粗末な武器じゃ、こんなのよりあの獣人が持っていた武器の方が100倍強かったぞ。」
「な、なななどうなってんだ。素手で剣を、わ割った!?」
エルザードは振り翳される剣を竜の爪で受け止め少し力を入れて粉々に砕け散らせた、もちろん彼女なりに頭を使っていたからかその当たって砕けるまでの瞬間は1秒とない、おかげで普通の人から見たら素手で触れて剣が粉々になったように見えた。
(さすがエルザード、ピンチの時にはしっかり頼りになるな。)
「それで、お主達。我達に何か用事かの?ないならさっさと──失せろ。」
「───ぃ、!!」
エルザードの気迫に負けて三人組はギルドを飛び出していった。少しあらごとになってしまったが、エルザードのおかげで比較的にましにこの場は収まった。ちなみに周りの冒険者達はエルザードの行動に驚いていたが賞賛も疑いの目を向けなかった。まるで触らぬ神に祟りなしというかのように。
「お待たせしました──、なにかありましたか?」
「いや、なんでもない。」
そう粉々になった剣が床に散らばっているという事実を除けば意外となんでもない。
「それでは、こちらが身分証兼冒険者カードになります。早速依頼を受けますか?」
「あぁ、それじゃあお願いする。」
「かしこまりました!」




