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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター2「ノヴァテラ」
113/200

113話「信用尋問」





 何かが上に乗っている感覚がする。エルザード?いや違うこれはそれよりも大きい。


 「……!」


 「動かないで、少しでも動いたり、声を出したり。こっちの言葉を無視したり質問に答えなかったらその首を切る。」


目を覚ました俺は瞬きを2回ほどして目の前の状況を確認する。昨日捕まえた少女が俺に馬乗りになってナイフを首元に押し当てている。


正直訳もわからないが、どうやら絶体絶命らしい。


俺は冷静になるために周囲を見回した。体に少し力を入れるが、体勢が悪く、加えて相手が自分より優っていると感じた俺は抵抗は文字通り無駄だとすぐに理解した。次に、エルザードがいた方に視線をやる。エルザードは


 (……縄でぐるぐる巻きにしてある。しかも寝てるし)


自分がかけた縄で爆睡中に逆にかけられるとかどんな精神しているのか。これが竜の余裕とでもいうのだろうか。


 (エルフルは、、居ない。うまく逃げたのかな?でも流石にエルフル一人で何かできる状況じゃない。)


状況はまとまった。昨日エルザードが捕縛した少女は多分隙を見て縄を解いて、脱出そして俺たちが寝ている隙にエルザードを拘束して、そして昨日の会話から俺が話の通じる相手、そしてこのグループのリーダーだあることを見抜いて今こうしている。


 (かなり冷静だな、俺。)


前にも、こういうことがあったのか…?


 「答えて、貴方達の目的は?」


今は嘘をついて誤魔化せる場合じゃないよな。よし。


 「俺の記憶を探すことだ。俺は今記憶喪失で何も覚えてない。」


 「……。」


少女は怪しんでる。そりゃ何も動じてない人間が記憶喪失って言ったって信ぴょう性がないことくらい俺でもわかる。それに自分でいうのもなんだけど俺って記憶喪失の中ではかなり堂々としていると思う。


 「なんで、ここにいたの?」


 「……昨日、近くの洞窟からやっと抜け出せて、そして晴れた雪山で遊んで、天気が悪くなったからこの洞穴に。」


 「……。」


全部正しいことを言っているけど、やっぱり怪しんでいる。余計に怪しんでいる。ただ、でっちあげにしたってこんなトンチキなこと言う輩は逆に信用できなくないはずだ。


 「あれは何?」


少女はぐるぐる巻にされながらも爆睡中のエルザードを指した。俺は苦笑いしながらこうこたえる。


 「聖刻竜エルザード、自称だけどな。洞窟で出会った竜だ。それと長生きのおばあちゃん、今は人間形態。俺が知っているのはそれくらい。」


 「………竜、」


少女は信じていなさそうだが、それでもエルザードに対する警戒を上げているようだった。


 「……貴方は、獣人?エルフ?ドワーフ、それとも妖精?」


 「……それらは知らない。ただ、俺は人間だ。」


 「!?人間、、」


少女は驚きの声を上げた、まるで人間なんているはずがない、人間なんてありえないと言っているようだった。


 「………。」


 「これこれ、あまり大声を出すでないぞ。竜はお眠りの間音に敏感になったんじゃから。」


 「っ!」


少女が振り返ると、そこには鋭い爪を首の後ろに突きつけたエルザードがいた。表情は笑っているがその目の奥にある怒りは誰が見ても明らかだった。


 「エルフルに起こされなければ、今頃ゼルが大変なことになっていたかものぉ。それと獣人、覚えておくんじゃな。遥かに強い相手を縄で拘束する時は力技で抜け出されぬようしっかり見張っておくことを。」


 「っ。」


 「さて、形勢逆転じゃ。ゼルから降りろ!」


 「ピィー!」


少女は俺から降り、壁にまで追い込まれる。苦そうな彼女の顔はまさに絶体絶命だ。


 「ゼル、お主が決めていいぞ。ナイフを首に当てられたんじゃ。我やエルフルとの被害の差確実じゃ。恐怖を与えた相手に恐怖を叩き込むもよし、この爪で引き裂き一瞬のうちに殺すのもよし。我に任せよ、多分お主の要望に全て応えられるはずじゃ。」


 「…………。」


エルザードは怒っている。俺が傷つく一歩手前まで行ったからだろうか、それとも竜と違い人間の脆さは比較にならず、その俺がたったナイフ一つで殺されかけたからだろうか。


どちらにせよ、エルザードに人殺しをさせるのは気分が良くない。


 「エルザード、俺たちの目的はなんだ?」


 「お主の記憶を戻すことじゃ。」


 「なら、いい考えがある。そこの人に案内して貰えばいい。」


 「なぬ?」


 「………案内。」


 「俺と違って君には記憶があるはずだ。それなら、人が集まっている村だとか街の情報を知っているはず。もしかしたら、そこに俺を知っている人がいるかも知れない。今の俺たちには情報がない、情報は生きるのと同じくらい手に入れるのが難しいはずだ。」


 「ほう、つまりはこやつに案内させながら情報を手に入れて、今後の我達の記憶探しの旅をより楽にしようと?」


 「あぁ。」


 「………なるほど。ゼル、お主に任せて正解じゃ、我はそんなこと微塵も考えられなかったからな。」


エルザードは俺の顔を見てやれやれと言った表情をし、切り替える。


 「おい小娘、聞いていたな。ゼルへの攻撃未遂、そして我への攻撃。お主は二つの借りがある、我はともかくゼルが満足する答えを話してもらうぞ。」


 「………わかった。」


 「了承したな。破ったら、流石に我の方で判断させてもらう、良いなゼル?」


 「あぁ。俺より世界のルールはエルザードが上手そうだからな。」


こうして少女を連行兼案内をしてもらいながら俺たちは雪山を後にした。




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