111話「雪の大空」
冷たい空気が鋭い針のように頬に遅いくる。肺いっぱいに入れ込んだ空気は今まで吸ってきたものとはまるで違った。透き通っていて、どこまで行けるようなそんな自由さを感じた。
空気が自由なのは当たり前のはずなのに、俺の前の前に広がっている全ては今まで俺がこの洞窟という世界に繋がれていた鎖を一瞬にして断ち切ったようだった。
「………。」
一面の白の世界、地平線の彼方まで続くような真っ白な雪とこれ以上ない快晴が俺を迎えてくれた。
「ほおおぉ!!!雪じゃ!みるのは何年振りじゃ!?」
「ピィー!!ピィ!!!」
「……。」
いや、俺たちを迎えてくれただ。めちゃくちゃやかましい竜と空にも負けない青さを持つスライムがそこらじゅうを駆け回っている。
(………。)
この光景に見覚えはない。いくら記憶をなくしていてもデジャブなんかはすぐにわかる。そう俺は思っている、だからこの景色を知らないことはある意味良かったり悪かったりと、、
(……良かったり?か。)
ちょっと意外だ、自分が記憶の思い出すことは何かまずいことなのかもしれない。そう心の中で不意に思ったのだから。
「何をしているゼル!こっちじゃこっち!!」
「うわっ!?」
「ピィ!」
顔に雪の塊が投げつけられる。エルザードのもう片方の手に雪を小さく丸くした球を持っていた、多分あいつが投げたんだろう。
「やったな!!」
考えを後回しにして、雪を丸めてエルザードに投げつける。外に出れた喜び、見たことのない雪景色、何もかもが新鮮で何もかもが新しい。
どこまでも行けるような大空、俺たちの旅が味気ない旅は終わり。ここからはようやく出会いと目新しさに恵まれた旅が始まるんだと思った。




