110話「空を見たくて」
「っ、はぁ。はぁ……!」
「頑張れゼル!ふぁいとじゃぞー!」
「ピー!!ピー!」
果てしない道のりをただただひたすらに上り続ける。足がもう棒になっている状態だけど、そんなの関係ない。そんなので休んだりはできない。いや休めたりはできるけど、いつかはここを登らないといけないだからそのためにひたすら登るしかない。
でも、
「どうしてこうなったんだ……」
少し前に遡る。小屋を探索し終わった俺たちは少し先に歩いてまた大きな扉に出会った。
「エルザード。」
「ドゥガァァンじゃー!」
エルザードに扉を破壊してもらい、そして現れたのは途方もなく果てしない階段だった。上へと上へと続いている、そしてこの雰囲気多分この先には地上が広がっているはず。
第一この階段の他に、道はない。つまりここしか行くところがない。
なら、俺たちがやることは一つだけ登ることだった。
こうして俺たちは階段を登り始めたんだが、、
「何で俺が一番疲れてるんだ……!?」
「そりゃあ我は小さくとも翼があるし、」
「ピー!」
「エルフルはこの通り、元気いっぱいじゃろうからな。」
「、っ俺は正真正銘人間なんだぞ?!」
「それも推定じゃろう。まぁ、確かにこの感じは非力な人間に見えるが。」
「もしかして見下してる!?」
「いいや、違う違う。事実じゃよ。」
事実であってもいいことと悪いことが〜、とか考えている気分じゃない。
「ちょっと休憩。」
あまりの長い階段は精神的にも肉体的にも苦痛だ。ただ段差があるおかげでこうしてゆっくりと座ったりすることができる。急斜面を登るよりもはるかに楽というわけだ。
「エルザード、この階段あとどれくらいだ?」
「そうじゃの、だいたい後1000、2000、、」
「ごめんやっぱりいい。なんか心が折れそうだ。」
「折れたら困るぞ!」
「だから、あえて聞かずに頑張ってみる。」
「ピー!」
そしてそこから何十人間が経過した。俺たちは持ってきた食料があらかたそこをつき、水だけの補給となってからだいたい体内時間で2日くらい、満足な補給ができないまま階段を登っていく、足腰はかなり鍛えられたがそれでも限度はあった、登れば登るほど休む時間は増えていくし、集中力は切れてくる。
元気だったエルザードも、エルフルも流石に飽き飽きしてくる。
「我、ずっと寝るのはできるんじゃが、これは流石に無理じゃ。」
「ピィ。」
俺たちが限界を迎えそうな時、俺はここで初めて階段の先を見た。
「見ろ!」
階段の途方もない先はなくなり目の前には入り口にあったのと同じ大きな扉があった。俺はすでにその時体力の限界であったが、はや走りで残りの階段を登り切り、そしてエルザードにこう叫んだ。
「エルザード!!」
「うっ、おおおお!!これで、最後じゃ───ッ!!!」
石造の扉は砕かれ、眩い光が俺たちを照らす。俺たちはそこでようやく地上に辿り着いた。




