109話「洞窟の終わり」
エルフルという新しい仲間が入った俺たちはまだまだ洞窟を進んでいた。そういえばと考えると、俺は風呂に入ってない。いやまさかね俺でも風呂の存在を忘れるほどヤバいやつではない。風呂にはいい思い出があるけど、何だか直近1ヶ月は入ってないみたいな気分になっている。まぁ、記憶を落とす前の俺が入っていたかなんてまるっきりわからないけど。
エルザードの魔術によって水は作り出せるからそれで体を軽く流してはいたけど、ここで救世主が登場した!そう、エルフルだ!!
というのもスライムはその存在自体が酸の塊みたいなやつで、何かをその体内に入れると何でもかんでも消化酵素を出して、分解して栄養にするらしい。その水っぽい体のどこに栄養が行き渡っているかわからないけど。
それで話を戻すけど、そのエルフルのいいところは対象に合わせて酸の度合いを変えられるというもの、これは弱酸から強酸までかなり幅広い、つまり、体の老廃物をエルフルに食べさせることができる。エルフルは天然の掃除屋というわけだ。
もちろん許可はとっている。エルザードの翻訳越しにはあるけどエルフルは食べることが好きで、偏食をしない傾向にあるらしい(偏食で片付けられるレベルじゃないと思うけど。)
それで体を洗うということに関してはエルフルの右に出るものなしというのが現状だ。おかげで髪はしっかりサッパリするし、体はかなり綺麗なままだしで大助かりだ。
さて、そんな俺のエルフルは大活躍エピソードはともかく、問題は洞窟に移る。
「なぁ、エルフルってこの洞窟のこと何か知らないのか?」
エルフルはこの洞窟に元々いたのなら、ある程度は知っているんじゃないか?という意思の元俺は聞いてみる、もちろんピーと返すエルフルではなく答えるのはエルザードだ。
「ふむ、どうやらこの洞窟生まれらしい。」
「洞窟生まれ?」
「何じゃ知らんのか、いや知らなくても仕方ないのじゃったな。魔物は基本的に二つの方法で生まれる。空気中の魔素が偶然にも凝縮され生まれる、自然発生型。親から生まれる、子孫型。エルフルはこの様子的に前者じゃ。」
「なるほど。つまり何も知らないってことか。」
「そうじゃな、気づいたらここにという感じゃろう。」
じゃあエルフルに道案内をしてもらうなんてことは無理か、というよりかはまともよりエルフルがみちあんないするかんじがないっててんで察しをつけとくべきだったなぁ。
そんな調子であってるか間違ってるかわからない道を進んで数時間。俺たちはこれまた馬鹿でかい扉に遭遇した。
「でッッッッかぁ、」
今まで殺風景な岩岩しかなかった俺たちにとって扉の衝撃は大きかった。だって絶対この先に何かあるって言っているようなもんじゃんこんなの、でも開く気配はないし、開かせる気も感じられない。でも俺たちには頼りになる策がある!
「エルザード!!」
「うむ、開かなそうじゃな!よしきた!」
[ドガァァァン!!]
何ということでしょう。あんなに立派な石壁が、エルザード(竜体)の鋭い一撃によって木っ端微塵に崩れ去ったではありませんか!
「ピー!」
「これで、通れるの!」
「あぁ、困ったときはエルザードに限るな。」
「むふふ、そんなに褒めるでない!」
エルザードは人型にすっと戻った。目の前のとにかくでかい扉はほぼほぼ木っ端微塵に砕け散った。扉は開けるためにあるとかいうけど、
「開かないなら壊して見せようとホトトギス」
「ぬ?ホトトギス?」
「何でもない。突然頭をよぎったんだ。」
「ほー。記憶に関係しているといいのぉ。」
そんなことはないかもな。っという前に俺は歩き出し先へと進んだ。
進んだ先にあったのは、ボロボロの小屋だった。何でこんな地下の洞窟に古屋があるんだろうとか思ってたけど、いやそれをいうなら何でこんなところに竜と人とスライムがいるんだろうってことになるから、考えないようにしてとりあえず物色を始めた。
「ケホ!なんちゅうところじゃ。埃っぽくてかなわん!」
「竜の肺って清潔なんだな。」
「当たり前じゃ!新鮮なブレスが覇権じゃろうて!」
(新鮮なブレス……?)
めちゃくちゃ暑いってことなのかな。とか思いつつ、小屋を隅々まで探索して出てきたものは
「古いボロ本と、あとはかなり状態がいいローブじゃな。」
「これは俺がもらう。」
「うむ、我はいらんからの。」
人がいた痕跡は確かにあったものの、見つけたのは読めないボロボロの本とこのかなり状態のいいローブ、それと服だった。今まで服とも言えないボロ布で過ごしていた俺からすればまともな服にありつけるのは正直ありがたい。
っと、服といえば。
「ていうか、エルザードの服ってどうなってんだこれ?」
「我のは魔力で編み出しておる。我の魔力が竜から人になる時、少し漏れ出てな。これをそのまま服に使っておるから実質我の残り香じゃな。」
「なんか臭いそうだな。」
「失礼な。。」
「それよりこの本、何もわからないんだけど。」
ペラペラとめくってみても文字が滲んでいたり、そもそもその文字が読めなかったりとしていてほとんどわからなかった。
「うん、我も知らん文字じゃ。じゃが誰かが書いたということは少なくとも誰かが読めるということじゃ。この本は、一応保管しておくのが吉じゃろうな。」
「よし。それじゃあこの先にいくか。」
「ピー!」




