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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター1「メタモルフォシス」
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104話「問答」





 「さて、ゼル。お主、記憶喪失とか言っておったよな。我であれば答えられることなら何でも答えるぞ、」


 「随分とお人好しなんだな。俺が、嘘ついているとか考えないわけ?自分で言ってて何だけど。」


 「うーむ。ない!それにな、別にお主が秘密兵器を持っていたとしても我ならそれを何とかできるほどの力がある。人を見る目、っと言っても碌に会ってないがな、それでも我は竜としてお主の存在がどれほどのものが一瞬にしてわかる。強者の余裕とでも思っておれ。」


 「は、はぁそうか。」


エルザード。意外にチョロそうではあるけど、実際のところは心の余裕からくる部分が多い、何か決定的にこっちとは格の違いがあるらしい。


でも、こっちを無条件に信用してくれているのはありがたい、記憶喪失の自分が元々どういう存在かは知らないが、人とのつながりっていうのはいつだって大切にしなきゃいけないって、そうあー。誰かが言っていた気がする。


 「それじゃあ、遠慮なく質問させてもらう。」


 「うん!何でもいいぞ!」


 「それじゃあ、まずここがどこだか知っているか?」


 「洞窟じゃ。」


 「そうなんだけどそうじゃなくて、どこのどこの洞窟だ?」


 「わからん!」


 「そか、わからないか。」


なるほど、堂々としている=知識が豊富。ではないということか、なんだかエルザードがどういう存在か、またちょっとしれたような気がする。


 「それ、じゃあ……えと、俺のことはなんか知っているか?その気づいたらいつのまにかここにいたもんだから、エルザードなら何か知っているかなって?」


 「お主のことについて聞いているならそれはさっぱりわからん。ただ、お主がどうしてここにいるのかという問いについては答えることができる。」


 「本当か?」


 「うん。いいとこ、お主はどうして人間の自分がこんな薄暗い洞窟にいるかとか思っての質問じゃろう。まぁと言っても全ての経緯を説明することは我が知らんからできん。だから、我が見たところまででいいのならな、」


 「よろしく頼む。」


 「うん!それではうおっふぉん!これはこれはちょっと昔の話。」


 (なんか、長くなりそうな予感がする。)


 「我はいつも通りこの薄暗い洞窟で昼寝をしていた。そんな時じゃった、空から何やら肉の塊が落ちてきての、我はビックリしながらもそれに恐る恐る近づいた。何とそれは人の死体じゃった!と言ってももはやそれは人の形を保ってはいなかった言葉通りの肉塊。それも強烈な死の匂いと、ボロボロの布切れを纏っての、ひどい状態じゃった。」


 「我はそんな姿にもう助からないと思い、もう一眠りしようと思った。だが、その肉塊からは意思を感じた、生きたいという意思をたとえ体は原型を留めなく意識をしっかりと保っているのか怪しいほど悍ましくあっても、それは生きようと必死に生きようとしていた。ゆえに我は自身の力を使ってその肉塊を蘇らせた。全ての生物に一度は訪れる奇跡、我はそれを自分の意思で扱うことができたからじゃ。」


 「そして奇跡を使った我はまた眠くなって寝た。そこから何日か経ったあと、目覚めたのお主、ゼルじゃ。」


 「────、」


 「これが、つい3日前の出来事じゃ。」


 「───ちょっと待て!昔って言ってたよな!?てっきり数十日単位の出来事かと!?」


 「そんなんお主の方が空腹でぶっ倒れておるじゃろうて。」


 「た、確かに。」


 「な。これが我の知っている全てじゃ、あの日お主がボロボロのひどい状態で落ちてきて、我が力を使ってそれを助けた。これはたったそれだけじゃ。」


空、、。この洞窟には空の光が指すところはどこにもないけどあの天井にある上へと続くような穴がある。多分あそこから落ちてきたんだろう。


 そして俺は何でかわからないけど多分みるも無惨な傷だらけの状態でここにきた。何でそうなったとか全然知らないし、わからないけど。そして、そこをエルザードに救われた。


エルザード、やっぱりただの竜じゃない。言葉からわかる通り俺はほとんど死にたい、それこそ長生きのエルザードが無理と判断するレベルだ。それを、何の違和感も生まないレベルで回復するなんて、それこそ神業に等しい。


聖刻竜。それを自称するだけの力が確実にあるってことだよな。


 「───エルザード、ありがとう。俺を、助けてくれてたんだな。」


 「なに気にするな、こんなの風が吹いて葉っぱが落ちるのと同じ、我が勝手にやったことじゃ。だから、お主はそんな感謝するでない。」


 「それでも礼しっかり言っておかないと、もしエルザードの力がなかったら、俺はきっとここにいない。」


 「そうじゃな。我は気ままに生きておるが、あの時お主を助けたのは正解じゃったと思う、ずっと一人で退屈していたところじゃったしな、こうしてお主と話すと長生きも悪くないと思うぞ。」


 「それはよかった。」


疑問が一つ解決したけど、また疑問が浮かんだ。何で俺はボロボロの状態でここにきたということ、すごく気になって仕方がない。でも、多分それを知っている人は今ここにはいない、いくら考えたって今答えは出てこないんだろうな。


 「ちなみに我の力に記憶喪失の副作用はないはずじゃ………多分。」


 「多分って。。」


 「いや、我も使うのはかなり久しぶりなんじゃ!それこそ最後に使ったのがいつだった忘れておるくらいに!」


また疑問が増えた。エルザードのその力、それはどういうものなのかを。聞いたところ死からの蘇生も簡単にできるほどの大技のように聞こえるけど扱っている肝心の本人がこれじゃなぁ、聞くのはかなり先になりそうだ。


 「………まぁ、それで助かっているからとやかくは言わないよ。」


 「う、うんん。」


 「じゃあ次の最後の質問だ。」


 「む、そうか質問をしておったのだったな。」


 「そう。エルザードはどうしてここにいるんだ?」


 「どうして……。うーん?」


 「、、エルザード?」


 「う、うーん。うーん?うーん、うーん。。」


ま、まさかこの竜。


 「す、すまん。忘れた。」


 「………忘れた?」


 「う、うん。忘れた、ここにはそれこそハチャメチャに長くおるせいで、ここにいることがほぼ当たり前になったというかここにいない方がおかしいというか、じゃがりこお主に言われて確かに、何で我ここにいるんだろうって今思った。」


 「ま、まさかの。」


 「……ダメじゃやっぱり思い出せん。じゃが、何か理由があったことは確かなんじゃ、それこそ我は格別に強い竜じゃからこんな薄暗いところにいず、堂々と草原のふさふさベットで寝ててもおかしくないんじゃがな…?本当にどうして何じゃろ。」


 「……とりあえず、今わかんないならそれでいいか。」


 「すまんの。答えると言った手前。」


 「いいんだ、それにエルザードが俺を助けてくれたことを知れてよかった。本当にありがとう、お前は命の恩人だよ。」




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