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【この残酷な世界で俺は生きている】  作者: 半分死体
チャプター1「メタモルフォシス」
101/200

101話「生返」




 これは残酷な物語である。


人は死に、平和は砕かれ、世界は常に混沌を極め続ける。残された手段は自身の生存のために誰かを殺すということ。


そこに対話はなく、信仰はなく、調和はなく、


全てを生かし、全てを殺し、ただそれでもまだ穏やかな日々を求めるのならば、最高のハッピーエンドを求めるのならば、永遠に足掻き続けろ。


たとえ、死んだとしても。たとえ朽ち果てたとしても、たとえ裏切られたとしても、たとえ戻ったとしても、たとえその過程が、、どれほど残酷であっても。。。。



 (………。。)


浮遊感に包まれたまま、俺は体が真下へと落ちてくる。誰かの意思を、誰かの声を聞いたような気がした。ただもしかしたらそれは幻聴かもしれない、なぜなら俺は死んだからだ。いや正確には死に体で完全に死んでいるわけじゃない。


だがもうじき死ぬ。


死ぬことに恐れはない。死んでもいいようなことをこれまでやり続けたんだ。バチが当たっても仕方ないし、バチが当たってもそれは何の問題にもならない。ただただ、遅かった時が今更早くなっただけ。


しかし良かったとこればっかりは思う。なぜかといえば俺は最後に親友の手によって殺されたこと、偶然にもその親友は世界を担うやつで正義の存在だった。だから、悪の俺が退場すれば、あとはそいつがそいつだけが幸せになれる。


 (………。)


結局最後の最後まで自分が幸せになることを望まなかった。そこだけはちょっと心残りではあるけれど、でも。


 [───パキパキ……]


もう、それも考えられない。自分を模る全てが崩れていく。肉体は限界を迎えて死に至って、精神は肉体の死に伴って分解され、記憶も体から抜け落ちていく。


きっとだんだんと俺は、俺じゃなくなっていく。だってもう自分の名前すら思い出せない。


 (────)


あれ、何を考えていたのか思い出せない。あぁ、だかわかる。俺はもうすぐ死ぬんだ。



嫌だな。死にたくはない。何があったかわからないけど、もう少し長く生きていたい。


たったそれだけだけど。


 [グシャ─────]




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