恥ずかしい部位の写真でできた紙飛行機の行方を追う話
ちょっと……変名でしか投稿する勇気出ませんでした。
絹を裂いたような叫び声で私は昼寝から目覚める。
休日の和やかな時間に水を差したのは弟の瞬だった。
「こ、ここに置き忘れていた紙、どこにやったの?」
瞬が一番下のパー坊に問い詰めている。
パー坊は窓の向こうをゆく紙飛行機を指す「あはーー!」と大口を開けた笑顔をするあたり、実に平和な年頃だ。
「んあーー!」
瞬はジーザス! と叫び膝をついた。コイツは実に多感な年頃と思われる。
「終わりだ!」
「なにが?」
「パー坊が飛ばした紙飛行機の紙……僕の、恥ずかしい部位の写真だったんだ!!」
「は、恥ずかしい部位って……やっぱり? あそこ?」
瞬は顔を両手で覆いコクコク頷く。
なんでそんなものがちゃぶ台に置いてあったのさ。
「こ、コンプレックスだったんだ、貯めたお金で手術してて、その時の書類で」
そんな場所を手術したなんて、心が強いな……しかし間違った金の使い方だった。
「と、とにかく! 回収に行かなきゃ」
「え!? そこまでする必要ある!?」
「……僕の名前入ってるからね」
たしかに、特定できる弟の局部写真が流れたとあっては私もおちおち眠れやしない。
私と瞬とパー坊の三人は、マンションを降りて猥褻物陳列飛行物体を探しに行くことになった。
「肌色っぽい……紙飛行機を見ませんでしたか?」
道ゆく人に尋ねてみる。
「あとちょっと黒いチリチリが……」
パー坊! やめー!
私は慌ててパー坊の口を塞ぐ。
「知らないなぁ」
「そうですか」
知られていなくて残念なようなホッとするような。瞬は血の気のない顔で、フラフラゾンビのようについてくる。
君の局部の写真なんだから、もっとシャンとして探そうよ……。
その後も空飛ぶ破廉恥の向かった方向にいる人に片端から尋ね歩いた。
けれど瞬の赤っ恥は見つからない。
もう諦めちゃダメかなあ。
瞬はブンブン首を振って否定の意を示した。
どうしたものかなあ。とトボトボ歩いていたら、女子高校生が折り畳まれた肌色を持っている。
「あ! あれ!?」
一気に私の背筋が凍った。今まさに折り畳まれた紙を開いてる!!
「あーーー!」
女子高生の手元に現れる肌色でちょっと黒が写った──
「え、ワキの写真?」
崩れ落ちる瞬に私は。
「って! ワキかい!」
「これさっきモイッターで見たワキ写真飛行機?」
「!?」
「え!? すでに拡散されていた!?」
青ざめている瞬を横目に私はモイッターをタップする。
「それだけじゃないな」
戦慄く瞬に画面をかざす。
「ぼ、僕のワキがトレンド入りに」
すごくふざけてしまいました。わたしはたのしかったです!
うっかり来ちゃった方、楽しんでもらえたらこれ幸いです。