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山麓の町、うたた寝の仔山羊。  作者: ねじろね
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【第一話】 日常と非日常

 小説を勉強中のねじろねです!

今回勇気を出して初めておはなしを書いてみました!


 こういうのというか、ものを作る事は好きなのですが、なかなか始めるまでに至らなかったので、頑張って色々調べつつ、手探りで一話仕上げました!


 全然拙すぎるぐらいの文章ですので、読み辛い場所が多々あると思いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです!(アドバイスなどもいただけたら嬉しいかもです!)


 これからより頑張ってより良いものにしていきたいです!

 窓から山を吹きぬけてきた少し青臭い湿気った冷たい風と、(ひさし)で防ぎきれなかった少しばかりの秋雨が、蛙やコオロギなどの秋の生き物達の声と葉が揺れる音と共に入ってくる。


 ――朝だ・・・

 寝起きで重い体を気だるそうに起こし、目をこすりながらベッドから外の景色を伺うと曇り空、今日は大学が連休中であったために少し気分が落ちてしまった。


 本と教科書と服で散らかった部屋を掘り起こし、寝てるうちに床へ落としてしまった携帯を拾い上げ、毛布から頭だけを出し、大きなあくびをしながらスマホの通知を確認する。


 そしてSNSを開き、ネット上の友達の投稿や、バズっている投稿を見て笑ったり、返信を書き残していく。

 スマホを見始めて一五分ほど経った時だったか、自分がこの時間に起きるのを分かっていたかのように丁度友達からのメッセージが入ってきた。


「おはよう水葉(みずは)! もう起きてるのかな、急でごめんなんだけどこの連休中私の学校もしばらく休みだし、良かったらうちの家に遊びにこない? 10時丁度ぐらいにはこっちは支度がすむよ~」


 自分が都会からこの田舎へ単身で引っ越して来て最初に知り合った島田 菫しまだすみれからだった。


「おはよう そういえば暫くそっちの家の方に行ってなかったし、久々に遊びに行こうかな~」


と寝起きで回らない頭を叩き起こし、即座に返信した。


「わかった! 楽しみに待ってるね!」


と直ぐに返信が帰ってきた。

 正直に言えば凄く寝たい。

 特段予定も無かったので二度寝したかった所ではあったが、親友の誘いをそんな理由で断るのも良い気がしないし、何よりも今日一日を有意義に使うイベントが欲しかった。


 ボサボサになってしまった頭を掻きながら、重い腰を上げベッドから立ち上がり、「ん~!!!」と大きな声を出しながら思いっきり背伸びをする。

 すぐに実家から持ってきた古いテレビをつけ、朝のニュースを見つつ髪を手入れしたり、顔を洗ったり、歯を磨いたりなど、支度を始めた。

 電気をつけていない少し薄暗い部屋にテレビの明かりが周りをほんの少し照らす。


 こんな生活でも都会で暮らしていた高校の時よりかは随分と良い生活になったと思っている。

 その時なんかは朝起きるのもままならなく、学校なんかも人間関係で沢山悩み、ついには学校を辞めて通信制の高校で人との交流を避けながらなんとか高校卒業の証だけは手に入れた。

 数え切れないほどの苦悩があり、今思えばそれを全て乗り越えてきた自分を褒めたいぐらいだ。


 そんな生活から逃げこむように、こんなドが付くような田舎へ遥々やってきたわけだ。

 あの時のことを思えば今のだらしない生活も、全く気にならないし何なら何倍も何十倍もキラキラしていると思う。


 そんな事を考えながらテレビに目を移す。

 朝のテレビやラジオの雰囲気は少し苦手だ、「今日も元気に行こう!」「目を覚まそう!」というのは、朝に弱い自分には少し気が滅入るものだった。

 でも同時に占いのコーナーや、カフェや飲食店などのリポート、自分の好きな天気予報士の天気予報を見るのは楽しみにしている。


 特に天気予報に関しては、なぜ朝にそのような元気が湧き出ているのかが不思議なぐらいのテンションでテンポよく進行していく。

 それが可笑しくて今ではすっかり毎日見るまでにハマってしまった。


 そんなこんなで朝食を軽く済ませ、傘を持って玄関を出て、スマホで時間を確認する。

「まだ四五分は時間があるのか、思ったより早く起きてたんだね・・・」

と独り言を漏らす。


 今住んでいるこの場所はさっきも言った通り山の麓にあるドが付くような田舎、もちろん都会のような大きいお店も無く、電車なんかもほとんどやってこない。

 その代わりと言ってはおかしいが、年季の入った建物に自営業のレトロな喫茶店、定食屋、弁当屋、美容院、小さな街のクリニックなど何処となく時代が戻った様な、心地の良い空間が広がる。

 それに畑や町工場、街角の弁当屋などのおじさんおばさん達はいつも笑顔と挨拶をくれて、とても良い人ばかりである。


 ただ、菫の家はそんな町から少し外れた山中に家がある。

何がどうしてこんな所に住んでいるのかはよく分からないが、本人はかなり気に入っているんだそうで、本人がそれでいいなら全然良いのではあるが、おおよそ二〇分間坂を登らなくてはいけない。


 玄関ポーチから傘をさし、歩き始めた。

冷え込み始める時期で肌へ微かに打ち付ける小さな雨粒がとても冷たい。

まだ10月が始まったばかりだったのに・・・


 少し歩いた先に交差点がある。

信号機はあるもののほとんど車が通らない。

ジョギング中の人や、何か怪物に襲われているかの如く必死な顔をしながら何かに慌てふためき走る人、空き家の広めの花壇に腰掛け缶コーヒーの空き缶を片手にタバコを吸う人、色んな人がちらほらといる。


 信号が青に変わりそのまま真っすぐに進むと自分と菫のバイト先の古民家カフェがある。


「黒江(くろえ)さんおはよう! 今日はお出かけ? 雨だから足元には気をつけてね~」

「水戸辺(みとべ)さんおはようございます! お気遣いありがとうございます! 今友達の家に向かってる所なんです!」

「島田さんの所かな? 坂道だからくれぐれも足を滑らさないようにね!」


 彼女はバイト先の古民家カフェの店主である水戸辺 透花(みとべ とうか)。

25歳で地元であるこの地にカフェを開き、それなりに繁盛している。

この行動力と努力は本当に尊敬している。

 いつもバイトでは相談に乗ってくれたり、周りの人への面倒見が良かったり、とても良い人で近所の人からも慕われている。


「はい! ありがとうございます! それでは~」

と言い軽く会釈をし、歩みを進める。


 次の交差点もそのまま真っすぐに進むと山奥へ続く坂道がある。

これを菫の家まで登らなければいけない、普段外出しない自分にとっては途方もない距離だ。

 山肌をなだらかな弧を描いているこの道を転げ落ちそうになりながら、足でしっかりと地面を踏みしめ歩いていく。


 辺りは使っているかどうかわからない寂れたトタンの物置小屋と、落石注意の看板、申し訳程度のガードレールに落ち葉で詰まりかけの側溝、左右には畑と森林があり、その中には大きな滝や川が流れているという、なんとも牧歌的な風景が広がっている。


 最近覚えた流行りの歌を口ずさみながら歩いていた。


 ――カサッ・・・


 何か森の方から落ち葉に何者かが歩いたような物音がした。

「そういえば最近熊とかイノシシの目撃情報が増えてるって聞いたことあるな、」

と怯えつつ、森林の方に注意し凝視した。


 「ん?」


 何か白と黒のものが見える、黒いものであればイノシシや熊であることは容易に予想がつく、それにしても小さく、白いものも見える。

うさぎにしても大きく、ましてやパンダなんて居るはずはない。


 「なんだろう?」


 目を凝らすと何か足のようなものが見える

それも人のような足だ。

もし遭難者などであれば今すぐ助けに行かなければならない。

様々な不安が急激に自分を襲った。


 側溝を越え、森の中に入り先程の白と黒の何者かを探した。

あまりにも目立つ色合いだったのですぐに見つかった。

(かし)の木の下にそれがいた。


 「大丈夫ですか!?」


 慌てて大きな声で問いかけたが、意識は無さそうであった。

ただ、息と脈があるので生きているのは確認できた。

しかし安堵する暇も無いまま、それ以上の謎で自分の頭の中はいっぱいになった。

それは、


 「女の子・・・? でも、山羊(やぎ)のツノ?」


 そこに倒れているのは人間で言う10歳ほどの可愛らしい顔立ちの女の子、しかし妙なことに大きく円を描くような立派で真っ黒な山羊のツノを頭に持っている。

髪の毛や着ているワンピースは純白で肌も色白、こんな山奥のはずなのに汚れも一切なく本当に自分が目にしているものがとても現実とは思えなかった。


 「そんな、まさかコスプレとかだよね。。。」

ツノを触ってもびくともしない、髪をかき分けても明らかに頭から生えていることは一目瞭然であった。

夢だろうと思い頬をつねってもやはり痛い、これは現実だ。


 それであればこの子は何者なんだろうか、今までの不安や安堵も全てかき消す様に様々な考えが頭をよぎった。


 けれど考えるだけ無駄だと思った、なぜなら山奥に山羊ツノが生えた女の子の目撃情報なんて聞いたこともない、そんな生き物がこの世に存在するなんて聞いたこともない、恐らく誰も見たことがないものだから。


 「後は本人から聞くしか無い、とりあえず安全な場所で保護しよう。」


 幸いにも、丁度この地点は友達の家へ後三分ほど歩けば到着する場所だ。

しかしこんな子供をそのまま背負って登っていくなんて、第三者から見ればただの誘拐犯だ。

それにこんな目立つツノがあるから、変に目立って仕方がない。

その様な事があればたちまち噂が広がってこの子がどうなってしまうかは想像もつかない。

ツノを持った人のような生き物なんて、病院や警察署よりも保健所に連れて行かれてこの子にとって不幸せな事になりかねない。


 とにかく、信頼できる友人を頼ることにした。

この少女の頭に持っていたひざ掛けを、体は着ていた上着で覆い隠して、誰ともすれ違わない事を祈りながら道なりに進んでいった。


 もちろんこんな大きなものを抱えながら傘をさすなんて出来なかったので、傘をささずに雨に濡れながら運ぶことにした。


 歩き始めて二分ほど経った所でようやく菫の家が見えてきた。

楽しみそうに自分を待っていた菫が、息を荒くさせながら何か大きな塊を持っている自分を見て駆け寄ってきた。


 「凄く濡れてるじゃん! こんな所まで呼んじゃってごめんね! 疲れたでしょ? 早くうちに上がって!」

と優しく元気に話しかけてくれた。

すぐに雨から逃げるように菫の家へ入った。


 「ありがとう、全然気にしなくてもいいよ、それより……」

「これ、何?」

と話を被せるように抱えている大きな塊を指差し怪訝そうな面持ちで質問してきた。


 「それ丁度話そうとしていた所。」

と少し呆れたような顔で思わず言ってしまった。


 「あぁ、ごめんごめん! だけどそれって?」


自分は黙って信頼できる友人だとしても、どの様な反応をされるか不安な気持ちでいっぱいであったが、勇気を出してこの少女の頭に被せていたひざ掛けを取って見せた。


 「これ、本当に、何・・・?」

もちろん分かるはずがない、最初に自分がこの少女を見た時と全く同じ目と表情をしていた。

しかしあまりにも驚いていたので、少し見せるのはマズかったか、と更に不安な気持ちになった、しかし見せたからにはこの子をどの様な経緯で拾ってきたかを説明した方が良いのは確かだ。


 「わからない、」

そして道中の事を洗いざらい話した。


 菫は本当に良い友達だ。

頭は悪い方であるが、この状況を全てとは言えないがどうにか飲み込み、理解してくれた。


 「でもどうしたら良いんだろう、まだ意識が戻ってないみたいだし、とにかく、この子が目を覚ますまで安静にできる場所を作らないとね、」

と心配そうに少女を見つめながら菫は言う。

そして何かを思い出したかのように

「そういえば私が小学生の時に使ってた布団があるからそれを使おう!」


 と物置部屋に駆け足で行ってしまった。

自分はまだ気を失っている少女に目を落とした。


 本当に神々しいまである純白の髪とワンピース、美しく黒光りする山羊のツノ、絹のようにきれいな色白の肌が自分の視線を飲み込んでいった。

そして力が抜けきった少女の手をとると、黒く硬い爪がついている。


 「おまたせ~! 持ってきたよ~!」

小さな布団と毛布を持ってきてくれた。

「ありがとう じゃあこの子を寝かせようか。」


 自分は菫と一緒に少女を空き部屋へ運び、布団へ寝かせる、

運んでいる最中、少しこのツノが突き刺さりそうで怖かった。

ここでやっと安心することが出来る、体の奥底からの安堵の息が漏れる。


 「でもどうして森の中で倒れていたのに汚れ一つもないんだろ、髪の毛サラサラしてるし?」

「そもそもこの子は何者なんだろう、人間のように見えるけど、」

と話し合っていると菫が、


 「でも何かおかしい、もしかしたら神様みたいな人でも生き物でもないものだったりして?」

と冗談交じりでその様な事を口にする。

しかしそれを冗談と捉えるのも出来ないぐらい、不思議な存在だ。

でもそんなものがこの世にあるはずがない。

なので思わず、「そんなわけ、」と言いかけたが、すぐに口を閉じてしまった。


 なんとも言えない空気間の中。


 「う、うぅ……」

 ――謎の少女が目を覚ます・・・

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

慣れないことで頭がパンクしそうになりながらなんとか書ききりました!


 当たり前ですが、まだコレを書いている時点では投稿できてないので、投稿したら見てもらえるのか、評価が一つでもきてくれるのか、ワクワクとドキドキでいっぱいです!


 これからも応援していただけるととても嬉しいです!

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