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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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社会人的な思考

 ロマンスと言える程のトキメキは無かったのかもしれない。それでも同じプロジェクトをしたり、雑務を一緒にこなす中で少しずつ気持ちが高くなって来た事は確かである。好きでも無かった存在であったとしても、何が起こるのか分からないのが人生であり恋である。

 付き合う事になってからも、それまでと変わる事をする様になった訳ではない。仕事が終わってから、一緒に飲みに行く回数こそ増えてきたものの、デートと言うデートをする事はほとんど無かった。仕事に慣れて来て出勤も増えて来た為、それどころではないと言うのが実情であった。

 デートしたいな。けど忙しいし。そんな日々を二人は過ごしていた。留土羅も本宮も御互いに背伸びをしなくて良い関係を心地良く、背伸びをしなくて良い充実した日々を送れていた。きっと亜細亜出版に就職していなければ、出会う事は無かった二人はピタリと重ねあって、フィットしていた。

 周囲も認める仲になる頃には、冬も終わり春を迎えていた。新人も入社してくる時期になった。今振り返ればあっと言う間であった。色々な事がこの一年であった。様々な人々との出会いと別れ。人生はとどのつまりがその繰り返しである。その中で運命の糸が重なる人に出会えるかどうか。その一点に尽きる。結婚はその延長線上にある。タイミングと運が重要である。

 忙しい日々の中でもそう言う気持ちになれたのは、冷静な判断力がついた事の証なのかもしれない。どんなに仕事が大変でも、一度就いた仕事をコロコロと変える若者が多いと嘆く世間であるが、肝心なのはそう言う若者が多い事ではない。魅力的で長く働きたい会社が少ない事が問題なのである。

 自分がその仕事にフィットしていないなと思い職場を変える事は、寧ろ自然な事である。その事を寛容出来ない社会や、若者が定着しない土壌を産み出してしまっている企業の責任ではないか?と言う様な社会人的な思考も、今の留土羅にはあった。

 1年前に亜細亜出版の面接で、悪戦苦闘していた留土羅の姿はそこにはなく、明らかに成長した事は自他共に認める事であろう。本宮修子もそう言う成長をした所はあって、1年前の自分とは、違い明らかに進歩している所があった。御互いにまだまだ発展途上ではあったが、互いを高め合える良好な関係にあった。

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