同期のエース小倉先修也
ちひろと別れてからは仕事に力を入れる日常に戻った。一人身は自分の事だけ考えていれば良いので楽だと思っていたが、実際そうだった。そんな中で急に親しくなったのが、同期のエースである小倉先修也である。今日はその小倉先と初めて飲みに行く日であった。
「お疲れ様でーす。先ずは駆け付け一杯乾杯!」
「乾杯。」
「留土羅?お前みたいなイケメンが同期にいると困るじゃねーか?(笑)」
「何言ってんだよ?同期の中でコラム任されてるのお前だけだぞ?」
「あんなの人手不足だからたまたま頭数合わせでやってるだけさ。何なら代わるか?」
「そんな権限俺達に無いだろ?」
「確かに。そうだな。」
「留土羅はちひろちゃんと上手く行ってるんだろ?」
「いや、別れたよ。」
「早くねぇか?プレイボーイは贅沢だな?」
「俺なんてただ同期の中でエースってもてはやされてるだけだよ?」
「これから成長する会社なんだから、良いじゃないか?」
「そればかりは読者を増やさないとな。」
「仕事していると何もかも忘れられるから良いよな?」
「そうだな。仕事は楽しいよ。」
「仕事にやりがいを持てるって幸せだよな。」
「学生の頃は専ら使ってた言葉だもんな。」
「あながち間違いない言葉ではあるがな。」
「これからはプライベートも充実させないとな?」
「別れたばかりの男の台詞じゃないぜ?」
「修也だって嫁さんもらって子供欲しいだろ?」
「そりゃあ人並みにな。」
「職場恋愛充実してるぜ?今の亜細亜出版は?」
「女性の方が多いからな。争奪戦にはなる。」
「好い人いないの?」
「今の所はね。」
「仕事は仕事で割り切ってやっているからな。」
「恋には至らず…か。」
「その気持ちは何となく理解出来るかも。」
「留土羅と違って俺余裕無いのかも。」
「仕事に慣れてないからって言い訳を作って逃げてるだけじゃない?」
「そうか?俺にはそんな風には見えないが?」
「まだ焦ってないのが救いかもな。焦り出したらヤバイよ。」
「俺もそれは思う。」
「二人の前途に幸あれって事で乾杯して締めましょう。」
やはり持つべきは"友"なのかもしれないと留土羅は思った。




