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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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勢いでゴールするな

 若いカップルに欠けているもの。それは経験値であろう。何でも勢いで乗り越え様とするのは、若さゆえの特権かもしれないが、それは危うさを秘めている事を認識する必要がある。

 学生恋愛の様な将来がどうなるか分からない様な恋愛スタイルならまだしも、一定の収入があり将来を真剣に考えている大人の恋愛は、勢いだけで物事を決めてしまう事には賛同出来ない。留土羅とちひろの関係は、この勢いに任せたものと言える。学生気分が抜けきれていない若いカップルにはありがちなパターンだが、こうした恋愛スタイルは、そう遠くない未来に別れると相場が決まっている。

 その兆候は二人の間ではまだ見られていなかったものの、物足りなさを留土羅が感じる事はあった。疲れている時はちひろに癒されていたが、疲れていない時はちひろの真っ直ぐな愛情が少しうっとうしかった。確かに相性は悪くない。がしかし、二人の将来を展望するのは難しい。留土羅は確かにイケメンだが完璧ではない。ちひろも美形たが彼女も完璧ではない。それらの要因が二人の心地よい関係を形成していたのだが、こうした関係はもろい。

 耐震性能の低いマンションの様なものであると言える。そしてされは二人の知らぬ所で浸潤し始める。恋愛の怖いところは、一見順調そうに見えても、ひび割れが始まっている事を知らぬ事である。気が付きそうで気が付かない程度にひび割れが進む為、非常に質が悪い。静寂性こそ恋愛の最大のリスクである。その兆候は突然やって来て、心を支配する。そこからスレ違い、瓦解するのである。

 それは特段珍しい事ではない。その弱さを含めて乗り越えられれば結婚のスタートラインに辿り着けるはずである。結婚はゴールではない。結婚をゴールにしてしまうと、その先の目標が無くなる。結婚をスタートにする事でまた新たな目標を持って生きていける。この違いこそが夫婦円満の秘訣である。勿論、留土羅がどんな人物とどんな道程を経て結婚するのかは分からないが、それは20歳以上の恋愛の鉄則とも言えるのであった。

                                                                                                                              

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