表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/360

タメ口

 とは言え互いに新人。二人の休日が重なる事はほとんど稀であった。同じ会社でも、自分のスケジュールを自由に決められる地位にはいない。公務員の様に土日祝日休業と言う訳でもない。その為、二人が共通して予定を合わせられるのは、ノー残業デーの水曜日の夜だけであった。

 亜細亜出版社長の増澤の方針でノー残業デーを導入した所、社員の能率やヤル気が向上。試験的な導入ではあったが、社員の声も多く常態化されていた。出版社にとって仕事の能率を上げるのは、至上命題とも言えた。

 さて、そんなノー残業デーを留土羅とちひろは有効活用していた。若い二人のデートスポットとしては色々あったが、仕事帰りともなると居酒屋やカラオケ位しか行く選択肢は無かった。それでも必死でちひろは場所を探すちひろに留土羅は好意を持っていた。ちなみにこの日は大手居酒屋チェーンでいつもの様にくつろいでいた。

 「先ずは駆け付け一杯!ちひろお疲れ!」

 「お疲れ様です。…っくうー!やっぱり仕事の後のビール最高ですね!」

 「相変わらず飲みっぷりがいいな?ちひろ酒強いもんな。」

 「そんな事無いですって。留土羅先輩には敵わないですよ?」

 「その先輩ってのやめろよな。大して入社時期変わらないんだし。」

 「いえ。1ヶ月でも留土羅先輩は先輩社員です。」

 「ちひろ、ごめんな付き合ってだいぶ経つのに旅行とか連れてってやれなくて?」

 「いいんです。こうして毎週水曜日のノー残業デーはこうして一緒にいられるんですし。」

 「ま、その内有給休暇も取得出来るようになるし、新人の今だけは我慢しようよ?」

 「そうですね。でも先輩達はそんなのなりふり構わずで誰も有給休暇を取得している人はいないようですが?」

 「人は人。でも同じ会社で恋人を作るのは勇気がいるかもな。」

 「そうですか?留土羅先輩はそんな感じには見えませんけど?」

 「俺だって色々根回ししてるんだぜ?ちひろの見えない所で。」

 「男って面倒臭い生き物なんですかね?」

 「男とか女じゃなくて社会人と言う生き物が面倒臭い生き物なんだよ。」

 「これからも私達の関係は良くなりますか?」

 「それは自分達で良くしていくしかないだろうね。」

 「創意工夫も必要なのでしょうか?」

 「ま、時間がどうにかしてくれる事もあるさ。」

 「二人の時は敬語使うの止めていいですか?」

 「いいよ。」

 「ありがとう。」

 「さて、明日も早いし今日はこの辺で解散するか。」

 この時はまだ二人の幸せな未来を疑う者等、誰もいなかった。 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ