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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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適応能力

 勤務時間については文句は無かった。午前9時に出社して午後5時に勤務が終わる。残業はあるが月10時間以内。サービス残業とは、無縁のホワイトな会社であった。

 幹部社員の事を入りたての留土羅が知るはずもないが、働きぶりは皆定時で切り上げている感じだった。それだけ定時で切り上げさせるのには理由があった。

 社長の増澤のポリシーで、残業する人間に優秀な人間はいないと言うものがあった事と、社訓に残業は一時間以内でと言う文言があるからであった。入りたての頃は中々定時で切り上げても、家に持ち帰ってやったものだが、要領を覚え始めるとそんな事は無くなった。

 よく仕事をコロコロ辞めてしまう人間がいるが、そう言う人間に限って要領を覚える前に辞めてしまうケースが多い。もう少し我慢をして体に染み付くまでやってみようと言う気持ちがそう言う人間にはない。

 逆を返せば一度ついた仕事の要領さえ覚えてしまえば、なんて事はないのである。個人差はあるだろうが、そんなに大きな差があるとは言えないし、要するに仕事をがこなせるまでは、仕事のせいにしてはいけないのである。

 仕事の後はノミニケーションと言うのがド定番だが、留土羅の場合はとにかく自炊生活である。ノミニケーションには否定的なタイプの人間であった。とは言え、社会人たるもの一定程度の付き合いは必要である。それが苦痛であったとしても、自分に利益をもたらすものならば、積極的に参加すべきである。

 それが最低限のマナーや礼節であり、日本人として軽んじてはいけないものである。ドイツ人系日本人の留土羅はれっきとした日本国籍を保有している日本人である。

 亜細亜出版は確かに小さい会社ではある。そう言う環境下にあって、人間関係を悪くする事は致命的である。会社に自分の居心地を求めるのであれば、苦汁であっても飲まなければいけない時もある。大人の社会は想像以上に複雑で面倒臭い。それは、ドイツでも日本でも同じである。

 寧ろドイツでは日系人と言う事で差別(ヘイトクライム)を受けていたかも知れない。青春時代を過ごした日本の方が水が合っていて、日本人として生きる方が適していると思うのは、不思議な事でも何でも無かった。

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