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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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本宮修子との出会い

 本宮修子と知り合ったのは丁度1年程前だっただろうか。別の大学に通っていた留土羅と本宮修子は、大きめの就活フェスに来ていた。勿論、お目当ては大企業や優良中小企業である。この時はまだ早く決めなくちゃと言う焦りもない時期だったせいか、そこまで気合いは入っていなかった。

 さぁ、帰ろうとした時に誰もいないブースを発見した。1000人はくだらない大勢の就活生がいる中にあって、ブースに一人もいないのは不思議と言うよりは、異常であった。とは言え、誰もいないと言う事は丁寧に説明してくれるであろうし、企業の担当者と親密に成れるチャンスだと言うような下心が働いた。"亜細亜出版"出版会社など、当時の自分には考えていた事もないジャンルの会社であった。その時の説明者が寺川ひかる(先輩)であった。試しに一声かけてみた。

 「会社説明お願いします!」

 「はーい。」

 「もう開始から3時間位経つけど、会社説明をするのは貴方が初めてだわ。」

 「はぁ…。」

 新興の出版会社では知名度も無かったのであろうが、この就活フェスに来ていた就活生が亜細亜出版に興味が無かったお陰で、留土羅にとっては思わぬ活路が見出だされる事になった。

 すると10分後一人の女子学生が話を途切れさせない様にして留土羅の隣に座った。そう。その女子学生こそ本宮修子であった。留土羅は別に働ければ何でも良いと思っていた。働いていくうちに、好きになるのが仕事と言うモノだと理想していた。だがそんなんじゃ例え就職出来ても続かない。一般の大学生が3年と持たず辞めてしまうのは、何も会社のせいだけではない。

 いや、寧ろそうした留土羅の様な学生こそ、未来を曖昧に設計している。その曖昧な姿勢が数字に現れている。と、余談になったが、本宮修子は熱心な学生であった。恐らく別のブースも回ってきたはずだが、それにしてはメモの書き方が尋常ではなかった。寺川先輩の言葉を一言一句漏らさずメモしていた。留土羅も負けずにノートを出して意味も分からずメモをした。このフェスでメモをしたのは後にも先にもこの時だけだった。

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