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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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留土羅の思惑

 寺川ひかるは留土羅の3歳年上だったが、留土羅は実年齢がもっと上の様に感じていた。仕事以外の話は聞き入れてくれそうにない、キャリアウーマンと言う言葉が似合う様な女性であったが、仕事上の話をする相手としては不足は無い。

 案の定、彼女の助言は的確であった。面白そうな物を紙に書き出して実際にイメージを膨らませる。そしてそれを誰でも良いから見せて形にする。他にも2つや3つはアドバイスがあったと記憶しているが、全て留土羅は彼女の助言通りにやってみた。

 しかし、留土羅には一つの疑念があった。あまりにも型通り過ぎやしないか?と。確かにひかるの助言は的確なものだったが、増澤社長のイメージするユーモアなものではない気がした。ただ、それをひかるにダイレクトに伝えるのは不味い。2度と口を利いてもらえなくなる恐れがあるからだ。

 なので、今度は話しやすい澤山ちひろ(21)に相談する事にした。彼女は留土羅の数少ない年下社員であり、高卒中途採用の彼女は新卒大学卒業の留土羅よりは勝手な解釈だがワンランク下の人間であるという偏見があった。とは言えキャリアでは彼女の方が1年先輩だし、留土羅より亜細亜出版の事を知っている。可愛らしい風貌もあり、そんなハンデはあって無かったのである。

 留土羅はそんなちひろを心のよりどころにしていた。勿論、ちひろはそんな事微塵も感じていなかったが。一応彼女にもひかるに相談した内容と同じ事を聞いてみたが、あまり期待はしていなかった。すると意外にもしっかりした答えが帰ってきたので、面を喰らったが、とてもマスゴットをギャフンと言わせる程の代物では無かった。

 もう一人留土羅は話をしたい女性社員がいたのだが彼女は留土羅にとっては、天敵の様な存在であり、正直彼女に相談するのは気が引けていたが、もうあてがないのも事実。彼女の名は本宮修子(22)。同期なのだが、性格も顔もスタイルも平均的で、取り柄はオールラウンダーにそつなく仕事をこなせる。そんな同期だった。良くも悪くもない影の薄い存在だったが、留土羅はよく仕事が出来る女性社員として、一方的に敵視していた。そんな同期の本宮修子にあえて相談したのは、留土羅のちょっとした思惑があったのである。

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