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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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理想と現実の間で

 ハーフであるという自分にとっては、ことのほか嬉しいものであった。女性ファッション誌を作る上で大切な事は、男性の目線からどう映るかという事を意識する事であり、その為に女性社員だけでなく男性社員を入れていると言う理にかなった方法をとるのである。

 これは何も女性ファッション誌に限った事ではなく、必ずターゲットと真逆にいる人達の事を考えるというのは、ヒット商品を生み出す為には欠かす事の出来ないスパイスの様なものであった。ファッション誌と言うのは、流行り廃りが激しい商品である為、カスタマー(消費者)よりも一手二手も先読みしたものでなければ当然売れない。流行り遅れのファッション誌など、需要は無い。

 特に若い女性等では、その傾向が顕著である。その為留土羅にとっては、最初からコツを掴むまでが途方もなく長く感じた事だろう。これは誰しもが通る道であり、留土羅だけではなく一端の編集者を目指す人ならば、誰もが越えなければならない壁である。その壁を諦めずに越えようと努力するかしないかで、一流編集者か二流編集者かと言う分かれ目になる。

 仕事と言うのは、その魅力に気付ければ楽しくこれ程幸福な事はない。しかし、そんな心境に辿り着けるのはほんの一握りでしかない。大多数の人間は仕事は生活の為に生業としてやっているものであり、決して幸せな時間などではなく、苦痛すら覚える時間であるのが大半だろう。人は思うほど仕事に期待はしていない。

 世の中の仕事はやりがいのあるもの・自分のやりたい趣味の延長として選ぼうとするのが、既に間違いの始まりなのである。仕事はそんなに甘ったるいものではない。留土羅は今正にそれを実感している事だろう。

 入社して半年が過ぎた。その間に何人もの同期が退社して行った。それが現実である。理想と現実の間で悩まされたからだろうと想像するのはあまりにも容易な事である。新人がこのピークを乗りきれば、その仕事は長く続くだろう。そして、仕事に対する慣れと言うものが出来て、次第にマイペースを掴んでいく。ことさらマラソンの様なものである。だから全力で走ろうとするとガス欠するのである。

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