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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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第2部・破廉恥麦酒(ハレンチビール)~20歳以上の愛とは~・第1章慣れ

 何気無く就活を続けていた俺が、何となく合格(内定)を貰った会社に就職を決めた。その会社は(株)亜細亜出版と言う出版中堅の会社であった。正直な話、給料が貰えればどこでも良いと入社時は思っていた。たまたま一番最初に内定が出たのが亜細亜出版と言う会社であっただけの事であり、まぁ最もそんな事は会社の上司や社長には口が裂けても言えない事ではあったのだが…。

 申し遅れた。俺は阿野留土羅(アノルドラ)ドイツ人の母と日本人の父を親に持つドイツ系日本人だ。その名前から学生時代はアーノルドと呼ばれていた。見た目はドイツ人だが、日本語しか分からない。…と何度面接官に言った事か。ドイツには2回ほどしか行った事がなく、今もドイツ語は全く話せない。

 自分と同期入社は30人程はいただろうか?団塊の世代の大量退職に伴う措置で今年度は大量入社になったという。亜細亜出版は40歳の増澤(ますさわ)と言う男が社長を務めている。創業当時から女性ファッション誌を生業としており、将来的には、ライトノベル等ジャンルにとらわれない領域での勝負も視野に入れている。だが、そんな会社の戦略など末端の編集員には関係がない。

 出版業界では伝統的に強い古豪勢力が業界を牛耳っており、亜細亜出版の様な新興勢力は、苦戦を強いられている。そうした環境下である程度販売者を固定化出来る女性ファッション誌を持っているのは亜細亜出版最大の武器であった。社長が若いという事は当然社員も若い。社員の9割以上が20代~30代の若手で構成されていた。男女比は4:6で女性社員の方が多い。若い社員が多いという事は留土羅にとっては、好都合であった。

 どうしてか端整な顔立ちをしていたからか、50~60代のベテラン社員のうけがイマイチであった。勿論、顔だけのせいではなく、留土羅に悪い部分があったのかもしれないが、亜細亜出版に入社して良かったと思えていた。雑用ばかりだった入社直後は嫌になりかけたが、3ヶ月もするとようやく編集員の仲間入りをさせて貰えた。まぁ、誰にでも下積み時代と言うものは存在する。留土羅も間違いなくその段階にあったから、恋をしている余裕は無かった。

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