第1部完・運命の糸
青龍と水菜美はお互いに成長した。そしてこれからも成長して行くだろう。青春の恋路は終わったが、人生の旅路はまだまだ続いていく。青春の恋愛経験は人間を豊かにする。それは確かである。どんな風に成長したか、それは自分で経験し体感するしかない。辛い事も苦しい事も酸いも甘いも全ては繋がる未来へと続くはずだから。そもそも今この瞬間を乗り越えなければ、未来なんて無いんだ。青龍は語る。
「はっきり言って俺と水菜美は特別なカップルじゃあない。寧ろ平凡なカップルだ。だってそうだろ?好きも嫌いも色々あったし、俺達の何処が特別なんだい?」
確かにその通りだ。二人はあるがままに、ありのままに、想うままに恋路を辿って来ただけなんだから。水菜美も青龍と同じ様な事を語っている。
「私も青龍も好きだからこうして恋をしてきた訳で、特別な部分なんてこれっぽっちも無い。もし仮に特別な事があるとすれば、それはきっとお互いを想う気持ちの強さね。」
二人はこれからも、何処へ行こうが何をしていても、想い続ける。未来の事は分からないが、二人の未来は明るいものになるだろう。と確信出来る。何故なら二人は運命の導き合わせたカップルだから。その運命の糸の赴くままに、想い続ける事が出来ればそれは恐らく繋がるだろう。繋がって大きな輪になる。
青龍と水菜美はそう言う星の元に生まれているのである。人は生まれた瞬間に人生の道程が決まると言われているが、青龍の場合は、その道中に水菜美がいただけの事である。だから、その運命に抗う必要はない。必要な愛だから、恋だから巡り会えたのである。
縁の無い人間ならば、人生において交わる事もないであろう。だから何かの縁で、交わったんだと言う事は、明らかに自分の人生に必要なピースなのである。そう言う巡り合わせや、人の縁と言うものは大切にするべきである。与えられた環境により、自分がどこまで力を発揮出来るか?そしてその環境において、巡り会える人物がどんな意味を持つのか考える事は大切であろう。
「友へ」
楽しかった事、苦しかった事、色々あったね。どんな時も、笑って、泣いて、語り合ったこの青春は、決して無駄ではないとそう言える時が来るはずだよね?
贈る言葉なんて、俺には無いけど、この言葉だけは、君に言っておきたい。
「ありがとう。そして達者でな。」
そしていつかまた会えるその時まで、元気でいて欲しい。最高だったよ。お前とこうして出会えた奇跡。いや、出会うべくして出会ったんだ。だからどうしたって?言う事ないくらい幸せなのさ。
いくつもの出会いと別れを僕らは繰り返す。そんな日々の中で僕らは大切な何かを手にして行く。ーby君井青龍




