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佐久間五十六厳選ヒューマンストーリー集  作者: 佐久間五十六


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卒業と言う儀式

 学生時代の卒業式を覚えている人は、果たしてどのくらいいるだろうか?よほどの強烈な思い出でもあれば別であろうが、恐らく部分的にしか記憶は残っていないはずだ。学生時代の卒業式と言うのは意外と人の心に残らないのである。寧ろ、緊張していた入学式の方がインパクトが強かったと言う人も多いのではないか?

 いずれにしても卒業と言う巨大な儀式の割には思い出に残らないのには理由があると考えて良いだろう。第一に考えられるのは、受験と言う卒業以上に大切なビッグイベントがある事。第二に考えられるのは、卒業に学生の焦点が置かれていないと言う事。考えられるのは、大きく見るとこの二点に集約されるだろう。

 卒業式は儀式的なものである為、そうなるのも無理はない。問題なのは卒業に焦点を持っていかないと言う事ではない。問題はそうした実体がある事を知りながらも、卒業は美しいものであると言う根拠の無い虚像を作り上げている世間一般の風潮にあると考える。

 卒業は確かにめでたいものである。めでたいものであるし、人生の節目である事は確かだ。それでも、万人にとって美しいものであるかと言われると、そうでもない。だから世間一般の作り上げる卒業のイメージに踊らされるのは良い事ではないのである。

 卒業式はいつの間にか過ぎていた。と言う位の感覚がベストである。逆に心に残る大きなイベントがあっては、祝いの式典には相応しくない。とも言える。人生で万人にとって祝われる式典は数える程しかない。だからこそ、卒業をスムーズに乗り切る事は大切な事なのである。好いた、嫌われたの恋模様も卒業を前にすると盛り上がるが、それを利用するのはあまり好ましくない。

 卒業と言うのはあくまで粛々としたムードの中で行われるものであり、風のようにサッと通り抜ける位が丁度良いのである。人生で数回のこの晴れの日に、恋人と何かあっては未来への目的を達しているとは言えないのである。卒業における考え方は色々あるが、自分としては印象的な思い出を残すと言うよりは、卒業と言う儀式をきちんと滞りなく進めて行く事の方が大切な事だとは思う訳である。

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