はじめの一歩
青龍も水菜美も充分に議論を重ねた。未来に向かって二人は歩みを共にする覚悟も出来た。泣いて笑い怒った。それで良い。君の隣で、君の笑顔をずっと守っていたい。青龍は真の男に、水菜美は真の女になった。
どうしてこんな簡単な事に気が付かなかったのだろうか?ただ好きだ、ただ愛している。ただそれだけなのに。人間はつくづく愚かな生き物であると思う。思ってもいない時に沸々と想いのマグマが沸き立ち、必要であろうと思う時においては何も起きない。
それはきっと誰のせいでもないのかも知れない。人間と言う種がそう言う星の下にいる存在なのかもしれない。それは分からないが、きっと必要な時に必要な事が出来る様に日頃から注意を働かせておく事は必要である。
好きなだけでは足らない事も、愛しているだけでは足らない事も充分に分かった。これからどうすれば、水菜美を幸せにする事が出来るのかと言う事を考えて、同時進行で自分が幸せに成る為にはどうすれば良いのかを考える事が必要である。
共に歩む歩みを進めると言う事は、未来に責任を持つ事である。そんな覚悟も無いままに、ただ愛してるとか、好きだと言うのは、おままごとも同じである。そうならない様にもっと大切な事を伝えて守り抜かねばならないはずだ。明日明日何が起こるか分からない。そんな不安定生活をしていても、そうでなくとも、時間は平等に流れて行くものである。
その限られた時間内において、相手を想い自己実現の欲求を満たさねばならない。そのハードルが高く難しい事であっても、それは避けられない。良質な幸せを得る為には。幸せを実現するのは言葉にするのは簡単だ。口で取り繕うのはいくらでも出来る。そうではなしに、もっと具体的に自分にとって、何が大切なのかを行動で示して行く事が必要である。
自分には何が出来て何が出来ないかを理解しているのならば、それに越した事はない。青龍と水菜美がそこまでの高みに行く事は出来なくとも、幸せに成る為には必ずその道を通るはずである。何にせよ、二人の未来はまだこれからである。だからこそ、最初の一歩は大切に踏み出して欲しいのである。
ズッコケたはじめの一歩よりもきちんと地に足をつけた確かな一歩を、二人には踏み出して欲しい。それが様々な困難を乗り越えた青龍と水菜美なら出来ると思う。何度でも。




