王道や定説
さて、余談はこの辺にしておいて。青龍や水菜美もお互いに心の中に溜まっているものがあった。言いたい事を飲み込むのは良い事ではない。青龍はまだ水菜美の事が好きだと言う事を飲み込んでいたし、水菜美もまだ青龍が好きだと言う事を飲み込んでいた。
言いたい事があるにも関わらず、周囲の目を気にするあまりに、つまらないプライドの為に思っている事に正直になれないのである。そうなってしまうのは、人間の定めなのかもしれない。そう言う時には、どうすれば良いのか?答えは簡単である。迷いを振り切り想いを伝える。これに勝る手段は無いだろう。
ボクシングではジャブやアッパーでフィニィッシュする事が無い様に、野球でバッターに最も有効な球が渾身のストレートである様に、バレーボールではスパイクに勝る得点方法が無い様に、バスケットボールでダンクシュートよりも確実なシュートが無い様に、サッカーでPK以上に確実な点の取り方が無い様に、剣道で面以上に気持ちの良い勝ち方が無い様に、ラグビーで試合を決めるのがトライである様に、水泳でクロールに勝る泳法が無い様に、相撲で寄り切り以上に美し勝ち方が無い様に、卓球でスマッシュ以上の強力なフィニィッシュブローが無い様に、テニスのサーブがスピードで劣る事が無い様に、ボーリングのプロがストライクの出し方を知っている様に、バドミントンのスマッシュに勝るものが無い様に、ハンドボールで7メートルスローより確実なシュートが無い様に、スキージャンプで風より強い味方が無い様に、マラソンで黒人選手の強烈な体力が世界を席巻している様に、アイスホッケーでアメリカやカナダに勝る国が無い様に、プロレス以上のショータイムが無い様に、物事には王道や定説と言うものがある。今は分かり易くスポーツを例にあげたが、恋愛にも王道や定説はあると言う事が言いたかった。
想いを直接ストレートに伝える。それに勝る意思疏通の方法を人類は手に入れられていない。気がつけばもう寒い冬は終わりを告げ、季節は出会いと別れの春になろうとしていたが、まだうっすら雪は残る、そんな季節になっていた。




