第6部・第10章絶世の美女
キーティア王女が結婚式の為のドレスアップに入ったのは、結婚式の始まる数時間前の事であった。ゴードン王国の王女には代々受け継がれてきた「クリスタルウェディングドレスオブゴードン」と言うドレスを着るのがしきたりと言うか、伝統があった。もちろん、嫁ぐ嫁がないかに関わらず、嫁に行く時はこのドレスを着て結婚式を行う。
キーティア王女の母も祖母も、皆このドレスを着て結婚した。その他に2、3着のお色直しのドレスを準備すればスタンバイOKとなる。
今回のミカツェルリア王子とキーティア王女の結婚式は、ゴードゥロア国王とロスドル国王の話し合いにより、ゴードン王国王室御用達のホテルを貸し切って、行われる事になった。形としては、キーティア王女はハンロスド王国に嫁ぐ事になる為、せめて娘の晴れ姿位は地元で見ておきたい。そんなゴードゥロア国王の意向もあったのである。
財力のある無しに関わらず、一国の王女の結婚式ともなれば、それなりの人数でそれなりの料理が出て来る。もちろん、ミカツェルリア王子もキーティア王女もその事に無知では無かったが、ゴードゥロア国王が「私に任せろ。」とシャシャリ出てきて一任を願った為、二人はそれについては、深く突っ込めなかったと言う経緯がある。
確かに面倒を見てもらえるのはありがたいし、ミカツェルリア王子やキーティア王女にとって、労力がかかるプロデュースに力を注がなくてよいと言うメリットは大きかった。
ゴードゥロア国王は、今回のミカツェルリア王子とキーティア王女の結婚に関しての最重要人物である事は承知であろう。結局、結婚式もゴードゥロア国王のプロデュースで行われる事になった。はっきり言って、そこまででしゃばりだすとウザったくなるものではあるが、ミカツェルリア王子もキーティア王女もそうは思っていなかった。




