ゴードン王国の変革期
「先ずはよく戦ってくれた。4戦士は全力を尽くしてそなたの野望を打ち砕こうとしたが、叶わなかった。そなたの想いの強さが勝利した瞬間と言えるだろう。戦いを終える度に強くたくましくなっていったそなたの勝ちだ。キーティアと結婚するに相応しい人物である事は間違いない。」
「はい。」
「4戦士の喪失は我が国において小さくはないマイナスである。だがそんな事で弱体化する程、我が国は軟弱ではないのである。国難とも言えるが、これを機にゴードン王国は生まれ変わるであろう。とにかく見事な戦いぶりであったぞ。勝てて二人位かと踏んでいたが、まさかイグニート・ラングロスまで倒すとは思っていなかった。良くも悪くも予想が外れた様だな。」
「そうですか…。」
「これからミカツェルリア王子とキーティアが結婚する運びとなるが、そなたのような強い王子がいるハンロスド王家へ嫁がせる事には一抹の不安もない。あれだけ命を張れる人間に大切な王女を預けておくことが出来て寧ろ光栄である。ゴードン王国とハンロスド王国は敵対関係ではなくなる。4戦士は殉じたが、これも全ては私が命じた事であって、国家元首の命令によって殉じたが、代わりならいくらでもいる。心配すべきは4戦士亡き後のゴードン王国ではない。それよりも他国の王子に4連敗してしまう様な騎兵団長が世界一だとチヤホヤされてしまう騎士団の改革が、必要であると感じている。」
「なるほど。」
「ミカツェルリア王子のレベルが低いとか、4戦士の実力が足りなかったと言う事だけにあらず。ゴードン王国騎士団も分岐点に来ているのである。ミカツェルリア王子の勝利はその事を私に教えてくれた。ゴードン王国として騎士団の改革を進める事が亡き4戦士に報いる唯一の方法であると信じてやまない。明日のゴードン王国の未来の為に。ゴードン王国の存続の為に。」
ゴードゥロア国王もこの戦いを通じて考え方が変わった様である。それこそが何よりの変革である事をゴードゥロア国王は知らなかった。




