第6部・第7章前座
キーティア王女の心情はどうなっていたか?それを知らずにこれから行われる死闘を見ても多分勝ち負けの話にしかならない。キーティア王女の立場上、自らの気持ちを公に表す事は出来ない。言うなれば、自分の気持ちに蓋をしてただ、戦局を見つめる事しか出来ない。公にはなっていないが、彼女の心情を理解する上で重要な事を彼女は言っている。
「どなたが勝利しようとも私はその現実を受け入れます。しかし、私の為に試練を受けざるを得ないミカツェルリア王子には同情の念を禁じ得ません。」
つまりはキーティア王女は結果がどうなっても、その現実は受け止める。しかし、試練を受けざるを得ないミカツェルリア王子には同情すると言うに留めている。これは、ゴードン王国騎士団の実力者達よりもミカツェルリア王子に頑張って欲しいと言う気持ちの表れではないかと思う。
勿論、公にはその様な事を発する事はなくても、心の底では未来の夫になるかも知れないミカツェルリアに勝利して欲しい。そう願っているのではないかと推察出来る。
キーティア王女の心の奥底は知るよしもないのだが、彼女は少なくともミカツェルリア王子が勝ち自分を迎えに来て欲しいと望んでいた。自分の為に命をかけている人間がいて、その人間に何の思い入れもない人間がいるのだとしたら、それは余程の無神経である。そうでなければ無関心か嫌いな人か。いずれにしても、ミカツェルリア王子がキーティア王女にどう思われようとも、キーティア王女としてはゴードン王国騎士団No.2のケルスミーロの実力が分かっているだけにここからが正念場である事は手に取るように分かっていた。
自分の気持ちに蓋をしてあくまで公正中立な立場を装わなければならないキーティア王女の表の顔とミカツェルリア王子の勝利を願う裏の顔をキーティア王女は持っていた。その事に対して彼女は彼女なりに、葛藤しもがきながら闘技場に足を運んでいた。とにかく、この試練が早く終わって欲しい。そう願うしかなかった。




