審査基準
百聞は一見にしかずとは正にこの事だろう。決勝に残った7人のファイナリストの顔写真とプロフィールを見ている時ミカツェルリア王子は思った。
「皆美女ばかりだな。」
ミカツェルリア王子はどこか他人事の様な所があった。
「王子?好みのタイプはいましたか?」
「うーん。顔写真しか見てないからなんとも言えないけど。7番の娘は良い感じかもね。」
「リディアス・マセグ…ですか。なるほど。」
サンゴストはさも決まったかの様に言った。こんなやり取りを二時間ほど繰り返していると、遂にクイーンオブザワールドを決めるコンテストが始まった。7人の美女達がエントリーNo.順に現れアピールタイム30分を有効利用してクイーンオブザワールドを掴み取るため、必死にアピールしていた。自分の特技や得意とする事を披露する美女が多かったが、中には自分が今している仕事やコンテストには関係無いものをアピールする美女もいた。
何をやってはいけないと言うネガティブリストなるものは無かったが、コンテストで評価ポイントを抑えると言う審査基準は示されてはいなかった。だが出場者や各関係者の中では過去の優勝者の傾向等から周知の合格ライン、当選ラインと言うものは知っていて当たり前の常識であった。自分の特技や得意とする事をアピールするのは当たり前だが、これをすればポイントが高い。とかこうしたら評価が上がる下がると言う様な詳細までが分かっていた。
勿論、審査は厳正をきすため、その様な評価基準は長年大会を運営する中で極秘だったが、一部の審査員が審査基準を本にしてリークしたところ、ベストセラーとなってしまい、公のものになってしまった。その審査員は既に退役しているが、100回を数えたメモリアルイヤーのクイーンオブザワールドは果たして誰が手にするのか、注目が集まっている。前半の4人がアピールタイムを終え、クイーンオブザワールドは15分の休憩時間に入った。ここまでを観察すると、ミカツェルリア王子の眼鏡に叶う女性はまだいない様な空気間を王子は出していた。




