ミカツェルリア王子がこだわる自由恋愛
ウィークルードスはのどかな田園風景の広がる田舎である。ただ、ミカツェルリア王子にとっては居心地の良い環境であった。その理由は分からない。が、きっと先祖はハンロスド王国の様な都会ではなく、ウィークルードスの様な田舎で暮らしていたことには違いないと思った。
こういうのどかな田舎町や村の方が都会よりも垢抜けた美女がいるのもまた事実で、都会人にはない純粋さや素直さを持っている事が多い傾向にある。地形や風土は人格形成に大きな影響を及ぼすが、せわしない都会よりも静かな田舎の女性の方が穏やかになるのは、自然と言えば自然かもしれない。
お見合いでの結婚はもうしないと決めていたミカツェルリア王子は、町を練り歩きナンパするしかなかった。王族としての品格が問われかねない行為だが、お見合い以外の方法となるとナンパしかなかった。
無論、ミカツェルリア王子の心境は複雑であった。嫁を決めるならばじっくりと、自分と結婚する意志のある者から、選択していく。つまり世間体的にも何もかもお見合いの方が都合が良いのである。ただ、ミカツェルリア王子はヒッポリナの事もあるし、辛い経験をしているだけに、よし素直にお見合いをしましょうとは、言えなかった。そんなミカツェルリア王子にウェルガーはそこを改めて問うた。
「王子?そんなに意固地になっていないでお見合いをしましょう!」
「ウェルガー?簡単に言うな。俺だって考えてはいるんだぞ?」
「天下のハンロスド王国王子がナンパでは国民に示しがつかないでしょう?」
「体裁なんてどうでも良いんだ。大切なのは出会いだ。」
「強がりにしか聞こえませんな?私だって王子には自由恋愛をしてもらいたいですよ?ですが立場上お見合いを推奨しているのは御理解下さい。」
「じゃあ、自由恋愛させてもらうよ?嫁が見つからないのならばそれもまた運命だ。」
「私はサンゴストさんとハンロスド王国を代表してお供しています。」
「だからどうしたウェルガー?」
「嫁が見つからないのならばでは、済まされないのです。」
「それに国王陛下もそう長くは生きられません。」
「ウェルガー!バカ!」
「だとしてもだ。俺は自由恋愛で嫁を決める。」
とは言え、ミカツェルリア王子としても先々の事を真剣に考えていないわけではなかった。




