断固拒否
「ミカツェルリア王子、お見合いは失敗でしたがどうでしたか?」
ウェルガーはミカツェルリア王子の今の心境を知りたかった。
「もう、あんな辛い想いをするのは嫌だから、お見合いは二度としない。」
それはウェルガーの期待していた答えとは真逆のものであった。ウェルガーはミカツェルリア王子にもっと見合いの数をこなしたいと言う前向きなものであった。ウェルガーはミカツェルリア王子に畳み掛ける様に王子を質問攻めにした。
「ではこれからどうやってお相手を見つけるおつもりですか?また、お見合い以外に有効な手段や手立てはありますか?」
ミカツェルリア王子に答える隙を与えなかったのがあだとなったのか、王子はウェルガーの質問郡に怒りを任せて一蹴した。
「俺の婚約者だぞ?お前が結婚するなら好きにすれば良い。でもな俺はもう見合いはしない。誰になんと言われてもな。例え父上の命でもな。」
ミカツェルリア王子はヒッポリナの事を相当引きずっていたようである。とは言え、確かにウェルガーの心配も的を得ていた。お見合い以外に有効な手段が無いのも事実。仮にもハンロスド王国の王子がナンパ等するというのはサンゴストもウェルガーも許可しないだろう。それは他国に行っても同じである。サンゴストもこう苦言を呈している。
「王子、見合い以外の方法では王家のプライドを守れないのも事実。一般人ならいざ知らず、王子は由緒正しきハンロスド王国の第一王子であられる。そんな王子にナンパ等と言った方法で嫁探しは容認出来ません。仮に王子が我々の容認出来る方法があるなら、今ここで、それを示して下さい。」
ミカツェルリア王子は、初めてのお見合いで参っているのかも知れないが、彼はきっとこれからこういう場面が続く事に抵抗があった。自分の心の負担がどうこうというより、自分の為にわざわざ時間を割いてくれている事に対する不誠実な対応がたまらなく嫌であった。と言うミカツェルリア王子の純真無垢な心がそうさせていた。ミカツェルリア王子はホテルの部屋に閉じ籠った。
しかし、いつまでもそうはしていられない。それはミカツェルリア王子が一番よく分かっていた。
「そんな自分の理想の女性にマッチした人が簡単に見つかる訳無いじゃないか。」
ミカツェルリア王子は心の中で呟いた。
「いないいないばぁか。」
と。




