世間知らずの御坊っちゃま
「ナンパって方法でやるしかないのか?」
ミカツェルリア王子は決まり悪そうにして、ウェルガーやサンゴストに訪ねた。
「王子、これと言った決まった形式がある訳ではありません。」
「王子の好きな様になさって下さい。我々護衛の目は気にせずに。」
「って言ってもよ、一国の王子がナンパして嫁を見つけるなんて格好悪くないか?せめて見合いするとかさ…。」
「見合いなど嫌だからとこの旅に出ようと言い出したのはミカツェルリア王子、貴方なのですよ?」
サンゴストはワガママ放題のミカツェルリア王子に渇を入れた。
「しかしながら、王子の言いたい事も全く分からないと言う訳ではありませんでした。外出を制限された王子は、言わば世間知らずの御坊っちゃまです。しかしそれは、生まれてこの方女性と恋をする事もなく、そうした気持ちを持てない環境に生まれた王子の運命であります。」
ウェルガーやサンゴストは棘のある意見をオブラートに包みミカツェルリア王子をなだめた。
「女の誘い方なんて分からんしな。」
「それで寧ろ当たり前です。ならば、旅を続ける中で見つけるのも良いではないですか?幸いにしてロスドル国王陛下は4年もの歳月を頂戴しております。世界はリドスラガ王国だけではありません。別にここで結論を出す必要は無いのです。」
サンゴストはウェルガーの冷静な思考と口調に感心をしていた。サンゴストの思っている以上にウェルガーはしっかりしていた。ミカツェルリア王子も、年の離れたサンゴストに言われるより、年の近いウェルガーに言われると、不思議と何も言い返せなくなっていた。最もミカツェルリア王子にとってはウェルガーもサンゴストも自分の家来であり、立場的には王子の方が上であるのは確かであるが。
そんな当たり前の事も分からなくはなっていなかったが、自分に自信の無い分野と言うよりも未開の分野への挑戦。と言う意味合いの強い花嫁探しはミカツェルリア王子のプライドの高さをくじくには充分であった。




